サッカー日本代表男子、
東アジアカップの3試合を観て思う事
(2015.8.22.)

8月の前半に、サッカーの東アジアカップがありました。

女子代表の試合については、すでに感想を書きました。
今日は男子代表の感想を書き、同時に提言もします。

この大会では、男子代表は2分1敗の成績で、「1勝もできなかったのは初めて」との事。

現在の男子代表は、世界ランキングで50位以下に定着しつつあるし、危機的な状況にあると言っていいでしょう。

この3試合で見えた現代表の問題点は、『連係の悪さ』、『選手達の献身性の不足』、『積極性の不足』、『ゲームメイカーの不在』です。

一言でいって、覇気がない。そして、チームにまとまりがない。

私が3試合から感じたのは、「チームを引っ張る存在がいないため、チーム全体がふわふわもやもやしている。 結果として連係が悪く、攻撃も守備もバラバラになっている。」という事です。

これは、海外組がいなかったという理由だけではすまされない、深刻な状況だと思います。

中国戦では、今大会のキャプテンを任されていた森重さんが、ようやくキャプテンシーを発揮して、ゲームをコントロールしました。

あれは良かったです。
男子代表の出来が中国戦で一番だったのは、森重さんの「俺がやるんだ」という責任感によるゲームメイクへの大胆な参加にあったと思います。

とはいえ、森重さんがキャプテンを務める事に、私は疑問があります。
なぜなら、彼は熱くなって我を忘れる時があるからです。

冷静さを無くしてカードをもらったりPKを献上したりする事があるので、良い選手だと評価しつつも「キャプテン向きではない」と考えています。

また今大会では、柴崎さんの欠点が完全に露呈しましたね。

本来ならゲームメイクをしなければならない柴崎さんは、ボールをもらっても前を向かず、消極的なプレイに終始し、相手選手が寄せてくるとすぐに後ろの味方に戻していた。

あの「全く意味のない、根性なしのバックパス」は、柴崎さんの最大の悪癖です。

あの悪癖がある限り、彼が世界の舞台で輝く日は来ないでしょう。
実にふざけたプレイです。

「柴崎! お前は日本でいちばん足元のテクニックがあるんだから、ボールをもらったら基本的にキープして、タメを作ったりしつつゲーム全体を組み立てろよ。何の考えもなく後ろに戻すなんて、お前はバカか。」と、深く失望しましたねー。

今大会では、最前線に置かれた選手(川又さんと興梠さん)が全くポストプレイが出来ていないのも、目立ちました。

このために、日本の攻撃はぶつ切れの、個人技頼みのものになってしまった。

こうした諸問題を解決する方法として、私はこれを提案します。

『青山さんと豊田さんを招集する。
 そして、どちらかをキャプテンに指名する。』

私はこの2人が、男子代表の救世主になれると考えます。
その理由を、ここから書きましょう。

私は、青山さんの能力をすごく高く評価しています。

彼は、パス技術があり、視野が広く、戦術眼があり、守備力も高く、献身的なプレイヤーで、ロングシュート(ミドルシュート)も上手い。

彼は、現役の日本人MFでは、最も完成度の高い選手だと思います。

私は、彼を呼ばないという1点だけで、「ハリルホジッチ監督は大した事ないのではないか」との疑念を持っています。

彼は1度ハリルジャパンに呼ばれて、素晴らしい活躍を見せました。

「さすが青山!」と唸るほどのプレイだったから、代表に定着すると思ったのに、なぜかその後は呼ばれない。

正直、青山を呼ばないという選択肢はないと思う。

私は、「本田+香川の2人と、青山の1人と、代表に入れるならどっちを取る?」と聞かれたら、青山を選びますよ。

青山さんは、90分を通して献身的にプレイでき、黒子に徹することも厭わない。
だから、安心してピッチに送り出せる。

目立ってやろうと色気を見せる本田、香川よりも、信頼できる。
私が監督ならば、青ちゃんは外せないです。

どんな相手にもビビらないタフな精神も、彼の素晴らしい点です。

日本選手で、最もゲームメイク力があるのは、中村憲剛、遠藤、青山、柴崎の4人です。

この中で最も守備力があるのは、青山です。

柴崎が低空飛行を続ける今、青山でしょ!

次に豊田さんです。

彼は、日本人では傑出したフィジカルの強さを持ち、最近はJリーグで安定して得点しています。

そして、ヘディングシュートの上手さと決定力では、ダントツのナンバーワンです。

今の代表は、すでに触れたようにポストプレイができていない。

そして、ヘディングで競り勝つことが出来ていない。

豊田ならば、その現状を打破できるはずです。

豊田さんは、不器用だし頑固なところがあるので、はっきりとした指示を出さずにピッチに送り出すと活躍できないタイプだと思う。

彼には、こう指示を出せばいい。

「今の代表に足りないのは、前線でボールをキープして、
 良い形で味方に繋ぐことだ。
 お前は身体をはって、その役目をしろ。

 あと、センタリングがきたら、競り勝ってヘディングシュート
 を決めろ。
 決められそうにないなら、味方にパスしろ。

 この2つが、お前の仕事だ。」

豊田さんは責任感が強いので、はっきりと役割を示せば、死ぬ気でやってくれる奴です。

私は、川又さんも興梠さんも、ほとんど評価していません。
なぜかというと、スペシャルなものを持っていないからです。

代表でプレイする者は、「これをやらせたら世界で通用する」というものが欲しい。

例えば、宇佐美さんだと、ドリブルからのシュートでは世界で通用する。
こういう要素がほしいのです。

豊田さんが前線でボールをキープしてくれれば、周りで動く宇佐美さんらも活きてくる。

豊田さんは、以前はパスセンスがいまいちに感じましたが、最近はそこも及第点のレベルまで上がってきた。

彼で特筆できるのは、精神的に安定している事です。

試合後のインタビューを聞くと、点を決めても決めなくても謙虚な姿勢を崩さず、常に落ち着いており態度に一貫性がある。
その姿勢を、私は高く評価しています。

青山、豊田は、素晴らしいものを持った選手ですが、私の見るところ、この2人にはキャプテンシーがある。

Jリーグを見ていると、この2人に最も精神的な落ち着きや、心の耐久度があると感じます。

代表のキャプテンは、時には厳しい批判にさらされます。
そういう時でも耐えていける強さが、必要なのです。

厳しい批判にさらされると、本田だと論争を始めてしまうし、長谷部や香川は心が折れてしまう。

内田や長友は折れない心を持つが、キャプテンのタイプではない。

こうやって考えていくと、青山と豊田に行き着く。

青山をキャプテン、豊田を副キャプテンにすれば、代表に重みが出てくると思う。

青山も豊田も地味だが、厳しい試練に黙って耐えられる奴だと、私は見ています。

サムライ・ブルーと名乗るならば、こういうタイプがキャプテンに相応しい。

現キャプテンの長谷部は、決して悪くはないが、マンネリ感が漂っている。

彼よりもキャプテンに向く青山に替えて、代表を活性化したほうがいいと思う。

本田もキャプテンを担えるだけの器はあると思うが、上記したように苦境になると吠えたり暴れたりする所がある。
どんな時でも冷静でいられるタイプではない。

話は変わりますが、私は最近の本田さんには失望しており、『代表から一時的に外したほうがいい』と考えるようになりました。

しばらく前から彼のプレイや態度に疑問を持ち始めていたのですが、先日にACミラン対バイエルンのプレシーズンマッチを見て、確信に変わりました。

この試合での本田さんの出来は、今まで見たことが無いほどに最低でした。

シーズン前の試合だという事を考慮しても、あり得ないレベルです。

試合中ずっとボールしか見ていなくて、「首を振って逆サイドを確認する」という作業を一度もしない今の彼は、もはや2流の選手です。

今のままだと、ACミランで活躍できないだろうし、代表にも必要ない。

彼は、「得点力のアップが課題」と語るまでは良かったが、だんだんと自分の事しか考えられなくなり、自分を見失ってしまった。

私が思うに、本田さんの良さは、『日本人離れしたボールキープ力』と『逆サイドまで見ておける視野の広さ』です。

この2つが、完全に消滅している。

最近の彼は、代表でも我儘なプレイが多い。
良さを取り戻すまでは、頭を冷やしてもらうためにも、代表から外しましょう。

男子代表は、『サッカーはチーム・スポーツである』という根本を、どこかに置き忘れてしまった。

「個の力」とか「縦に速く」とか、空疎なフレーズが一人歩きしている。

1対1で勝てる状況なら勝負すればいいし、前方にスペースがあるなら縦に仕掛ければいい。

そんなの状況しだいじゃないですか。

今の男子代表が主張しているのは、じゃんけんで「今のトレンドはグー」と言っているのと大差ないと思います。

グーばかり出しても勝てるわけないでしょ。
状況を見て臨機に対応するのがサッカーです。

「個の力」と「縦に速く」という虚しいフレーズの悪影響で、男子代表はチームの結束とゲームの組み立て(美しいパスワーク)が消えてしまっている。

どちらも日本の最大の長所だったのだから、弱体化して当然ですよ。

女子代表と男子代表の一番の差は、「頭の柔軟性」と「団結力」だと思う。

男子代表は、もっと頭を柔らかくして、チームへの献身性を重視すべきです。

最後になりますが、東アジアカップで唯一つ私が感動したのは、初選出された遠藤航さんのプレイです。

彼は、代表に定着させていいと思う。

サイドバックは、内田、長友、酒井高徳の3人が横並びでトップにいると考えてますが、そこに入っていける才能を持っている。

(酒井宏樹は大ミスをするので、全く評価していません)

あと、まだ代表入りしていませんが、湘南のGKをしている秋元さんは、試す価値があると思う。

私の家は湘南エリアなので、湘南ベルマーレの試合を多くチェックしているのですが、彼は良い技術を持っています。
身体能力が高くて、俊敏性は日本人GKではすでにナンバーワンかもしれない。

一皮むければ、代表でも見劣りしないレベルまで行けると感じています。


日記 2015年7~9月 目次に戻る