パリでのテロ事件 私が抜けていると思う視点 
(2015.12.15.)

1ヵ月ほど前に、フランスのパリで、大規模なテロ事件が起きました。

死者は130人となり、世界中が大騒ぎしました。

この事件後、フランスは愚かにも、犯行をしたとされるイスラム国を懲らしめる(絶滅させる)という名目で、シリアに空爆をした。

フランスはすでにシリア空爆を始めていたが、それをこれ見よがしに拡大し、テロとの戦いを演出した。

さらに愚行は続き、各国の首脳も、テロの背景に切り込むことなく、テロとの戦いに加わると宣言した。

私はこの状況を見て、「世界の国々のほとんどの指導者は、無知で無能なんだ」と悟りました。

少し衝撃的な事件が起きただけで我を忘れるし、どのような背景があって今の状況が生まれているかを考察をしない。

今回のテロ事件の背景には、『かつてフランスが、シリアなどの中東の国を植民地支配していたこと』と、『フランスがシリアに空爆をしたこと』があります。

この点は、非常に重要な視点なのだが、なぜか日本の大手メディアは取り上げない。

歴史を知らないのか、欧米メディアの主張をそのまま垂れ流しているか、どちらかでしょう。

フランスは、かつて中東地域をイギリスと共に植民地支配し、散々の悪事をした。

だから、中東の人々は、深い恨みを(口にはしなくても)抱いている。

これは、中国や韓国や北朝鮮などが、日本に対して恨みを抱いているのと同じです。

こうした歴史的な経緯があるのに、フランスはシリアに空爆をしました。

元々恨まれているのに、あらたに恨みを買うことをしたのです。

考えてみてほしい。

中国や韓国に対して、日本が空爆をしたらどうなるかを。

必ず、「再びあいつらは侵略をしに来た」と思われるでしょう。

「侵略しに来た」と認識したら、「やられる前にやってやる」とか「反撃しよう」と思っても不思議ではない。

多くのメディアは、「フランスで起きたテロは、どの国でも起きる可能性がある」と云う。

だが、この意見は、歴史を知らない者の暴論です。

「日本でもイスラム国のテロが起きる可能性がある」と云う人がいる。

だが私は、「その可能性は限りなくゼロに近い」と考えています。

現状では、日本がイスラム教徒の過激派に狙われる事はないでしょう。

しかし、安倍政権のようにアメリカに盲従し、歴史から学ばない姿勢で政治を行っていくと、将来には日本も狙われるようになるかもしれない。

安倍政権が成立させた安保法制の審議では、「いざとなったら、ホルムズ海峡に自衛隊の軍艦を出す」と日本政府は言ってしまった。

その後に、あまりにバカな(現実から乖離した)主張なので、安倍首相はその考えを撤回した。

撤回したので、日本人は「もう大丈夫」と思っているだろうが、中東の国は「日本は以前と違うぞ、動きが怪しい」とまだ警戒感を持っているでしょう。

日本は、中東の諸国から良い感情を持たれています。

これは、今までの日本外交の成功を表している。

私は、中東地域における日本の評価について、今までの貯金があるのを熟知しているので、
楽観しています。

この状態を維持している限り、日本がイスラム教徒のテロ攻撃にさらされる事は無いと見ています。

驚くことに、私のような意見を述べる人が、ぜんぜん居ない。

「日本も危なくなった」と、パニック状態で騒ぐ人ばかり。

これはフランス人でも同じで、「私達は過去の経緯から、中東の人々から深い恨みを持たれている。それを見つめなければいけない。今回のテロに対して報復の空爆をしても、さらに恨みを買うだけで何も進展はない。」とはっきり述べる人がいないようだ。

パニック状態になり、極右とされる政党が勢力を拡大する体たらくぶり。

フランスの大衆がいとも簡単に思考停止するのを目撃し、「いつも高い文化レベルを自慢しているが、この程度の知的レベルだったか」と、大いに失望しました。

パリでのテロは悲しい事件だが、シリアではもっと悲しい状況が続いているのです。

何百万もの人が、家を追われて難民になっている。

そんなシリアに対して、さらに難民を増やす空爆をするなんて、あまりにバカすぎる。

フランスは、今回のテロへの対応で、恥をさらした。

パリでのテロ事件を軽視する気はありません。

だが、それよりも遥かに大きな犠牲者が、シリアやイラクで出ているではないか。

今回の各国首脳の対応は、「フランス人は、シリアやイラクの人よりも、尊くて命の価値が大きい」と宣言しているに等しかった。

私は、同じ地球人として、本当に恥かしかった。

こんな下らない宣言をする連中に、吐き気をもよおした。

日本の多くの人が、「イスラム国を倒さなければならない、テロとの戦いは正しい」と云う。

あまりに軽薄な考え方だ。

イスラム国は、サウジアラビア、トルコ、イスラエルが支援をしています。

本当に各国が協力してイスラム国を倒そうとしているなら、勢力が拡大するはずがない。

もっと全体像を把握しなければならないです。

もともとイスラム国は、アメリカがイラクに侵攻してイラクに混乱を呼び、さらにシリアの
アサド政権を倒そうとして反アサドの武装勢力に武器を渡したことから、生まれました。

日本ではタブーになっているのか、ほとんどの人は指摘しないが、『イスラム国は、アメリカの支援した武装組織から派生した』のです。

アメリカはいま、「シリアの穏健派の武装組織」と認定する組織に、武器やカネを渡している。

そして、アサド軍やイスラム国と戦わせている。

アメリカは、自分の言うままに動く武装勢力を「穏健派」と呼び、自分に逆らう武装勢力を「過激派」と呼ぶ。

そして、自分たちが穏健派と認定した場合、どんなに残虐な行為をしても全く気にしない。

アメリカ史を学べば、これを理解できます。

冷静に考えれば、武装組織に穏健派も何もないと、すぐに気付ける。

武器を使って戦闘をしている組織に、穏健なんて、どう見てもおかしな話です。

だが、アメリカに追従する日本の多くのメディアは、アメリカの主張するままに「穏健派」と報道する。

そして、欺瞞が塗り重ねられていく。

シリアでは、アサド政権をロシアやイランが支援し、穏健派とアメリカが認定する組織を
アメリカやイギリスが支援し、イスラム国をサウジやトルコが支援しています。

サウジとトルコは、アメリカの同盟国なので、見方を変えれば「アメリカは2方面作戦を実施している」ともいえる。

要するに、シリアを舞台にして、大国たちの勢力争いが起きているのです。

これが本質であり、イスラム国のテロは派生物にすぎない。

シリアは、アジア・ヨーロッパ・アフリカの結節点になっていて、そこを支配すれば大きな影響力を持てます。

そのために、野望に満ちた国が、介入して自分の傀儡政権を作ろうとしている。

「イスラム国の打倒で各国が一致」と報じられても、それを信じてはいけません。

あれはポーズにすぎない。

本当にシリアに平和と民主社会を創りたいならば、各国は軍事介入を自粛し、シリアの各勢力に対話を促すでしょう。

シリアは、様々な宗教の人が(宗派の人が)共存する国であり、それをまとめるには大変な労力が要ります。

そこでの仲介をするのが、本当の支援です。

今、そうした支援をしようと手を挙げている国がいるか。1つもない。

正義づらをするアメリカやロシアを、信じてはいけない。

きちんと本質を見抜いた上で、「あなた方は、自分達の利益のために介入しているだけじゃないか」と指摘しよう。

もちろん日本政府は、アメリカの軍事作戦に同行してはいけません。

大国が醜い権力闘争をしている中に入っていくなんて、愚策そのもの。

「あいつら、本当のバカだな」と、クールに見ていていいです。

一番良いのは、私が上記した真実を、国際会議の場で堂々と日本の要人が言う事です。

これをした時に、日本は世界の舞台で輝く。

各国は、表向きは「日本は協調性がない」とか言うかもしれないが、
心の中では『日本って、凄いよ。真実を明らかにしてしまう勇気がある。』と感心するでしょう。


日記 2015年10~12月 目次に戻る