バレーボールのVリーグ女子は、レギュラー・ラウンドが終わりました。
私は同リーグについて、NHKとガオラで放送される試合を観ています。
だいたい(両方を合わせて)2週間に2試合くらいのペースで放送されていますね。
もっと放送を増やしてほしい。マジでJリーグよりも面白いよ。
さあ、レギュラー・ラウンドの感想、後半の始まりです。
まず第一の取り上げるのは、やはりこの人でしょう。
トヨタ車体の「竹田監督」です。
(※私は、トヨタ車体で圧倒的なキャプテンシーを発揮している竹田沙希選手を、敬愛の念を込めて竹田監督と呼んでいます)
ついこの間(1月23日)に、トヨタ車体の試合が放送されたのですが、私は驚いたのです。
というのは、竹田監督が大幅な進化を遂げていたからです。
彼女は以前からレシーブが上手かったのですが、さらに上手くなっていて、レセプションでは神の領域に(内なる神=自分の魂と完全に一体化する領域に)到達していました。
100%の確率で、セッターの居る場所に、柔らかいボールを届けていた。
彼女はスタミナに弱点があったのですが、そこも工夫するようになり、試合の終盤までパフォーマンスは落ちなかった。
自分の体力を、良い意味でセーブする術を覚えたようです。
レシーブに関しては、リベロを除いた選手では、近江あかりさんと新鍋理沙さんがリーグトップでした。
そこに割って入った竹田監督は、一気に頂点まで上りつめてしまいましたね。
スパイクも好調だし、スタミナ不足が解消されつつある今、彼女は日本代表入りしてもおかしくない。
メンタルの強さとキャプテンシーは、Vリーグでもナンバーワンなのは、多くの人が認めていると思う。
あの気迫と根性は、日本代表に必要な要素だ。
竹田監督が代表のユニフォームを着る姿を、私は見たい。
竹田監督を昨年11月の日記で取り上げた際に、「頑張るのは素晴らしいが、もっとチームメイトに役割を委ねたほうがいい」と書きました。
このアドヴァイスを見てくれたのか、以前よりも無理をしなくなり、セッターの藤田らにもチームの牽引をさせるようになりました。
藤田さんは、今までは特筆すべきものはないと感じていましたが、この試合ではやる気に満ちていて、顔つきから違いました。
彼女は昨年、日本代表の合宿に参加したのですが、私は「そこまでの選手か?」と疑問に思っていました。
この試合を見て、「これ位やってくれるなら、代表入りも理解できる」と感じましたよ。
トヨタ車体では、リベロの佐藤澪さんも素晴らしい。
記事の前半(①)でも書きましたが、2段トスが上達したし、レシーブの安定感も増した。
佐藤さんは、広範囲の守備を任されており、信頼されているのが伝わってくる。
身体が強靭なので、どんな体勢になってもきちんとレシーブできる。
このチームには、山田真里さんという名レシーバーもおり、私は期待しています。
ネットで調べたところ、彼女がリベロで出ることもあるようです。
ネット情報によると、怪我が完治しておらず、パフォーマンスはもうひとつらしい。
自分が観たわけではないので、真偽は分からない。
1月23日の試合では出番はなかった。
山田さんの良さについては、昨年11月の日記で書いたのでここでは省略しますが、彼女は身長が176cmもあり、そこにも注目しています。
私は、リベロに身長は求めていませんが、世界的には170cmを超えるリベロがたくさんいるので、「Vリーグにも2人くらいは170cm超えのリベロがいてもいい」と思っているのです。
多様な選手がいるほうが、面白いじゃないですか。
トヨタ車体は、昨年はリーグ最下位に沈み、今シーズンも下位にいた。
それが、最近は上昇気流に乗り、滑り込みセーフで「ファイナル6」に入ってしまった。
竹田監督が一皮も二皮もむけて、リーグ屈指の選手にまで進化した以上、ファイナル6・ラウンドで旋風を巻き起こす可能性もある。
私は今、竹田監督から目を離すことが出来ない。
今シーズンは、昨年王者のNECの低調ぶりも特徴ですね。
この理由は、守備の要の近江さんと、攻撃の鍵を握る柳田さんが、怪我で離脱したのが大きい。
近江さんが離脱したため、NECの守備は崩壊してしまった。
良いリベロが居ないのが、モロにばれてしまった。
近江さんと柳田さんは、最近になって復帰したのだが、まだ調子は上がっていません。
この2人が本来の働きをしない限り、NECの復調は無いでしょう。
NECというと、メディアは古賀を取り上げるのだが、チームの中心は島村と近江です。
古賀さんは、まだ所属チームの中心にすらなっていない。
メディアは持ち上げすぎだと思う。
柳田さんは、「両手首の骨折」というあまり例のない怪我で長期離脱していた。
復帰した今も、まだ両手首に包帯を巻いている。実に痛々しい。
いったいどんな事をしたら、両手の手首を一度に折ってしまうのだろうか。
すごく危険な事をしないと、あり得ないと思うのだが。
上記したように、Vリーグにおいてリベロ以外でレシーブ能力が傑出しているのは、竹田、近江、新鍋の3人です。
この3人は、『Vリーグが誇るオールラウンダー』です。
驚くことに、3人共に、日本代表から漏れている。
怪我明けの近江はともかく、竹田と新鍋は代表に入れたほうがいいと思う。
昨年は、鍋谷と内瀬戸が選ばれたのですが、竹田と新鍋のほうが遥かに完成度は高いです。
今年は、オリンピック・イヤーなので、若手にチャンスを与えるよりも、実力と実績のある選手を選び、最強の布陣を築くべきです。
だから、竹田と新鍋を入れよう!
日本代表のことを考えた時に、私が迷ってしまうのは『ミドルブロッカーを誰にするか』です。
おそらく、眞鍋監督にも同じ迷いがあり、だからこそハイブリッド・シックス構想を立てたりしたのだと思う。
現状だと、ミドルブロッカーで活躍しているのは、岩坂、島村、山口、伊藤の4人です。
他に、大竹と荒木がいるのだが、所属チームの守備が崩壊しているのもあり、活躍できていません。
活躍している4選手の特徴を説明すると、こうなります。
「岩坂名奈さん」は、ブロックは素晴らしいし、サーブも良い。
だがスパイクとレシーブはいまいち。
「島村春世さん」は、スパイクとサーブは素晴らしい。
だが、ブロックとレシーブはいまいち。
「山口舞さん」は、スパイクは神レベル。ブロックとレシーブも良い。
だがサーブは全然だめ。そして身長が一番低い。
「伊藤望さん」は、スパイクは素晴らしいし、サーブも良くなってきた。
だが、ブロックとレシーブはいまいち。
見れば分かるとおり、全選手に欠点があり、全幅の信頼を置ける人がいません。
オリンピックの金メダルを獲ろうとするなら、甚だ心許ないです。
私が期待しているのは、岩坂さんと島村さんです。
この2人が欠点を克服してくれたら、日本代表は格段に安定感を増すはず。
今まで「伊藤望さん」を取り上げたことは無いので、少し彼女について書こうと思います。
伊藤さんは、東レにいる若手のミドルブロッカーで、良いものを持っています。
彼女の特徴は、タフさです。
私は、彼女の疲れている姿を見たことがない。
彼女は、Vリーグでも屈指の筋肉質な身体つきで、長岡さんと並ぶレベルにあります。
肩幅の広さは尋常でなく、バスケットボールの選手並みに発達している。
昨年からクイック攻撃では活躍していたが、今期はサーブが上達してサービスエースを取れるようになった。
身体に恵まれているので、技術を向上させればブロックでも活躍できるでしょう。
彼女の性格は、とにかく明るい。
いつでも元気一杯で、彼女の前ではあの迫田が大人しく見えるほどです。
スパイクを決めると、喜びを爆発させて走り出し、自陣をくるりと1周します。
「スパイクを決める度にコート内を1周走るなんて、無駄に体力を消耗しているんじゃないか?」などと、野暮な事を考えてはいけない。
彼女は無尽蔵のスタミナを備えているので、体力に気を配る必要はないのです。
目立つ選手なので、以前から注目はしてました。
昨年はまだ技術が荒削りだったので、代表入りを勧めなかった。
でも、今シーズンはだいぶ成長を見せていますよ。
今年はオリンピック・イヤーなので、経験の浅い彼女を抜擢するのはちょっと厳しいのだが、代表に選出すると伸びそうな人の1人です。
代表選手の選考について言うと、セッターに関しては、昨年のW杯で起用した古藤と宮下を選ぶのがベストだと思ってます。
セッターは一番重要なポジションなだけに、安易に変えられません。
私は田代さんを買っているが、オリンピックが迫っているので、今年は選ばなくていいと考えています。
私は田代さんについて、昨年11月に「2年以内に代表入りする」と予言しましたが、実力は代表級なのに時間幅をもたせたのは、オリンピックの事を考慮したためです。
でも、田代のいる東レは、木村や迫田や高田という代表の常連が在籍しているので、彼女達との連係を重視して、選ぶのも面白いと思う。
眞鍋監督がセッターをどうするか、私は注目しています。
さて。
ここからは、私が以前から評価し言及している選手で、このところ苦戦している何人かを取り上げます。
まず、上尾の正セッターの「土田望未さん」。
所属する上尾は、今シーズンは守備が完全に崩壊していて、レシーブがきちんとセッターに繋がらない。
だから、彼女は走り回るのを強いられて、トスの組み立てが(ゲームの組み立てが)なかなか出来ない。
能力を活かせない苦しい環境だが、土田さんは地味ながら成長しており、俊敏さがアップしている。
彼女はとにかくトスのフォームが安定していて、何度見ても惚れ惚れする。
だが、素早く動くのが苦手で、味方のレシーブが乱れると安易にアンダーハンドでトスをしてしまう癖がある。
田代や宮下は、かなり苦しい(乱れた)ボールでも、オーバーハンドで出すことができる。
特に田代は、この点で傑出していると思う。
苦しい体勢でも、オーバーハンドで逆サイドまで上げられる、フィジカルの強さがある。
24日に放送された上尾の試合では、土田さんもオーバーハンドで上げる回数が増えていました。
そこに成長を感じた。
次に、日立の「佐々木美麗さん」。
彼女はいま、まさに苦戦中です。
私は彼女の才能を高く評価していて、日本代表入りを勧め、「スパイク、レシーブ、サーブの全てで高レベル」と書いたことがある。
ところが、今シーズンはサーブで狙われてしまい、レセプションの技術が未熟なのがバレてしまった。
実は、彼女がレシーブにやや難があるのには、すでに気付いていました。
「ちょっとまだ危ないが、練習する中で克服するだろう。持っている才能は素晴らしいから、あまり気にせずチャンスを与えるべきだ。」と考えていた。
そうしたところ、各チームは研究をしたらしく、サーブを佐々木さんに集中してきた。
佐々木さんは、まだ日立の中心選手ではないが、ムードメイカー(キー・プレイヤー)であり、そこを潰せば日立は苦しい。
それを見抜いて的確に狙ってくるのを目撃し、「やるじゃないか」と脱帽しましたよ。
そうして、サーブ・レシーブでミスをする佐々木さんは、出場時間が減っていってしまった。
美麗ちゃん、レシーブを練習するんだ!
私は、君の才能を信じている。
レシーブが上達すれば、日本代表にだって入れる。
日立では、渡邊久恵さんが注目され始めている。
彼女は昨シーズンからスパイクでは目立っていた。今シーズンはレシーブも良くなってきて、スタメンに定着している。
渡邊さんも良いよ。
それは分かっているのだが、佐々木美麗のほうがスケールの大きさを感じるので、そっちに注目しているのです。
佐々木さんは、サーブで個性的なボールの投げ上げ方をしていたのだが、今シーズンは止めましたね。
彼女に限らず、今シーズンは『スパイクを打つようなフォームで、力強く打つサーブ(スパイクサーブ)』が鳴りをひそめています。
バレーボール中継での解説によると、今シーズンはミカサのボールが使用されていて、そのボールは軌道が変化しやすい(変化させやすい)との事。
そのために、スピードとパワーを重視したスパイクサーブよりも、ボールの変化とコース狙いを重視するフローターサーブが流行っています。
(今シーズンは、ジャンプ・フローターが圧倒的な主流となっている。9割くらいの選手が、これを選択している状態です。)
Vリーグでスパイクサーブが最も上手いのは、長岡、新鍋、佐々木、栗原、マーフィーの5人です。
このうち、長岡以外はフローターサーブ(ジャンプ・フローター)に変えていますね。
スパイクサーブは見応えがあるので、少し寂しい。
でも、新鍋さんは明らかに昨シーズンよりもサーブが安定しました。
使用球は毎年変わるらしいので、またスパイクサーブが復活する日が来るのだろうか。
私としては、佐々木さんの独特のボールの上げ方が好きだったんですけどねー。
最後に、NECの「白垣里紗さん」です。
彼女も、佐々木さんと同じに、サーブで狙われて苦戦しています。
彼女がレシーブするとセッターに渡せる確率はかなり低く、狙われると連続失点になる事が多い。
そのために、スパイク能力は高いのに、出場時間は限られている。
レシーブ技術は、佐々木さんはすでにそれなりのレベルにあるので、練習すれば近日中に克服できるはず。
だが、白垣さんは厳しい。1年くらいみっちり練習しないと、Vリーグでは通用しないと思う。
最近のVリーグは、レベルが上がり、弱点があるとそこを突かれてしまう。
レシーブが未熟でも楽しくプレイできる時代は、終わりました。
白垣さんは、スパイクは向上してきた。
フォームが改善されて整い、力任せに打つことがなくなった。
地道にレシーブ練習をするしかないなあ。
そうすれば、監督も安心して起用できる。
今回は、こんな所で終わりにします。
私がシーズン当初に予想したように、今期は久光の独走はなくて、どこが優勝するか分かりません。
選手層では久光と東レが抜けているけど、優勝する保証はない。
NECが復調したら、すごい激戦になってワクワクできると思うので、立ち直ってほしい。
最後に思い出したが、久光のワンポイント・サーバーの「石橋里紗さん」の実力が、ハンパじゃないです。
20点を超えたあたりで、「ぷわっ~」という選手交代の音と共に現れるのですが、本当に嫌な所にサーブを打ち込みます。
あまりに凄いので、彼女が登場すると、私は「うっわあ、来たよ」とドキドキし、ボールを拾えずにコートに転がる相手チームの選手が目に浮かび、顔をしかめてしまうほどです。
いまVリーグで最高のサーバーは、彼女だと思う。