タイトルVリーグ女子のレギュラー・ラウンドが終了した
ここまでの感想②
(2016.1.26.)

バレーボールのVリーグ女子は、レギュラー・ラウンドが終わりました。

私は同リーグについて、NHKとガオラで放送される試合を観ています。
だいたい(両方を合わせて)2週間に2試合くらいのペースで放送されていますね。

もっと放送を増やしてほしい。マジでJリーグよりも面白いよ。

さあ、レギュラー・ラウンドの感想、後半の始まりです。

まず第一の取り上げるのは、やはりこの人でしょう。

トヨタ車体の「竹田監督」です。

(※私は、トヨタ車体で圧倒的なキャプテンシーを発揮している竹田沙希選手を、敬愛の念を込めて竹田監督と呼んでいます)

ついこの間(1月23日)に、トヨタ車体の試合が放送されたのですが、私は驚いたのです。

というのは、竹田監督が大幅な進化を遂げていたからです。

彼女は以前からレシーブが上手かったのですが、さらに上手くなっていて、レセプションでは神の領域に(内なる神=自分の魂と完全に一体化する領域に)到達していました。

100%の確率で、セッターの居る場所に、柔らかいボールを届けていた。

彼女はスタミナに弱点があったのですが、そこも工夫するようになり、試合の終盤までパフォーマンスは落ちなかった。

自分の体力を、良い意味でセーブする術を覚えたようです。

レシーブに関しては、リベロを除いた選手では、近江あかりさんと新鍋理沙さんがリーグトップでした。

そこに割って入った竹田監督は、一気に頂点まで上りつめてしまいましたね。

スパイクも好調だし、スタミナ不足が解消されつつある今、彼女は日本代表入りしてもおかしくない。

メンタルの強さとキャプテンシーは、Vリーグでもナンバーワンなのは、多くの人が認めていると思う。

あの気迫と根性は、日本代表に必要な要素だ。

竹田監督が代表のユニフォームを着る姿を、私は見たい。

竹田監督を昨年11月の日記で取り上げた際に、「頑張るのは素晴らしいが、もっとチームメイトに役割を委ねたほうがいい」と書きました。

このアドヴァイスを見てくれたのか、以前よりも無理をしなくなり、セッターの藤田らにもチームの牽引をさせるようになりました。

藤田さんは、今までは特筆すべきものはないと感じていましたが、この試合ではやる気に満ちていて、顔つきから違いました。

彼女は昨年、日本代表の合宿に参加したのですが、私は「そこまでの選手か?」と疑問に思っていました。

この試合を見て、「これ位やってくれるなら、代表入りも理解できる」と感じましたよ。

トヨタ車体では、リベロの佐藤澪さんも素晴らしい。

記事の前半(①)でも書きましたが、2段トスが上達したし、レシーブの安定感も増した。

佐藤さんは、広範囲の守備を任されており、信頼されているのが伝わってくる。

身体が強靭なので、どんな体勢になってもきちんとレシーブできる。

このチームには、山田真里さんという名レシーバーもおり、私は期待しています。

ネットで調べたところ、彼女がリベロで出ることもあるようです。

ネット情報によると、怪我が完治しておらず、パフォーマンスはもうひとつらしい。
自分が観たわけではないので、真偽は分からない。
1月23日の試合では出番はなかった。

山田さんの良さについては、昨年11月の日記で書いたのでここでは省略しますが、彼女は身長が176cmもあり、そこにも注目しています。

私は、リベロに身長は求めていませんが、世界的には170cmを超えるリベロがたくさんいるので、「Vリーグにも2人くらいは170cm超えのリベロがいてもいい」と思っているのです。

多様な選手がいるほうが、面白いじゃないですか。

トヨタ車体は、昨年はリーグ最下位に沈み、今シーズンも下位にいた。

それが、最近は上昇気流に乗り、滑り込みセーフで「ファイナル6」に入ってしまった。

竹田監督が一皮も二皮もむけて、リーグ屈指の選手にまで進化した以上、ファイナル6・ラウンドで旋風を巻き起こす可能性もある。

私は今、竹田監督から目を離すことが出来ない。

今シーズンは、昨年王者のNECの低調ぶりも特徴ですね。

この理由は、守備の要の近江さんと、攻撃の鍵を握る柳田さんが、怪我で離脱したのが大きい。

近江さんが離脱したため、NECの守備は崩壊してしまった。

良いリベロが居ないのが、モロにばれてしまった。

近江さんと柳田さんは、最近になって復帰したのだが、まだ調子は上がっていません。

この2人が本来の働きをしない限り、NECの復調は無いでしょう。

NECというと、メディアは古賀を取り上げるのだが、チームの中心は島村と近江です。

古賀さんは、まだ所属チームの中心にすらなっていない。
メディアは持ち上げすぎだと思う。

柳田さんは、「両手首の骨折」というあまり例のない怪我で長期離脱していた。

復帰した今も、まだ両手首に包帯を巻いている。実に痛々しい。

いったいどんな事をしたら、両手の手首を一度に折ってしまうのだろうか。
すごく危険な事をしないと、あり得ないと思うのだが。

上記したように、Vリーグにおいてリベロ以外でレシーブ能力が傑出しているのは、竹田、近江、新鍋の3人です。

この3人は、『Vリーグが誇るオールラウンダー』です。

驚くことに、3人共に、日本代表から漏れている。

怪我明けの近江はともかく、竹田と新鍋は代表に入れたほうがいいと思う。

昨年は、鍋谷と内瀬戸が選ばれたのですが、竹田と新鍋のほうが遥かに完成度は高いです。

今年は、オリンピック・イヤーなので、若手にチャンスを与えるよりも、実力と実績のある選手を選び、最強の布陣を築くべきです。

だから、竹田と新鍋を入れよう!

日本代表のことを考えた時に、私が迷ってしまうのは『ミドルブロッカーを誰にするか』です。

おそらく、眞鍋監督にも同じ迷いがあり、だからこそハイブリッド・シックス構想を立てたりしたのだと思う。

現状だと、ミドルブロッカーで活躍しているのは、岩坂、島村、山口、伊藤の4人です。

他に、大竹と荒木がいるのだが、所属チームの守備が崩壊しているのもあり、活躍できていません。

活躍している4選手の特徴を説明すると、こうなります。

「岩坂名奈さん」は、ブロックは素晴らしいし、サーブも良い。
だがスパイクとレシーブはいまいち。

「島村春世さん」は、スパイクとサーブは素晴らしい。
だが、ブロックとレシーブはいまいち。

「山口舞さん」は、スパイクは神レベル。ブロックとレシーブも良い。
だがサーブは全然だめ。そして身長が一番低い。

「伊藤望さん」は、スパイクは素晴らしいし、サーブも良くなってきた。
だが、ブロックとレシーブはいまいち。

見れば分かるとおり、全選手に欠点があり、全幅の信頼を置ける人がいません。

オリンピックの金メダルを獲ろうとするなら、甚だ心許ないです。

私が期待しているのは、岩坂さんと島村さんです。

この2人が欠点を克服してくれたら、日本代表は格段に安定感を増すはず。

今まで「伊藤望さん」を取り上げたことは無いので、少し彼女について書こうと思います。

伊藤さんは、東レにいる若手のミドルブロッカーで、良いものを持っています。

彼女の特徴は、タフさです。
私は、彼女の疲れている姿を見たことがない。

彼女は、Vリーグでも屈指の筋肉質な身体つきで、長岡さんと並ぶレベルにあります。

肩幅の広さは尋常でなく、バスケットボールの選手並みに発達している。

昨年からクイック攻撃では活躍していたが、今期はサーブが上達してサービスエースを取れるようになった。

身体に恵まれているので、技術を向上させればブロックでも活躍できるでしょう。

彼女の性格は、とにかく明るい。
いつでも元気一杯で、彼女の前ではあの迫田が大人しく見えるほどです。

スパイクを決めると、喜びを爆発させて走り出し、自陣をくるりと1周します。

「スパイクを決める度にコート内を1周走るなんて、無駄に体力を消耗しているんじゃないか?」などと、野暮な事を考えてはいけない。

彼女は無尽蔵のスタミナを備えているので、体力に気を配る必要はないのです。

目立つ選手なので、以前から注目はしてました。

昨年はまだ技術が荒削りだったので、代表入りを勧めなかった。
でも、今シーズンはだいぶ成長を見せていますよ。

今年はオリンピック・イヤーなので、経験の浅い彼女を抜擢するのはちょっと厳しいのだが、代表に選出すると伸びそうな人の1人です。

代表選手の選考について言うと、セッターに関しては、昨年のW杯で起用した古藤と宮下を選ぶのがベストだと思ってます。

セッターは一番重要なポジションなだけに、安易に変えられません。

私は田代さんを買っているが、オリンピックが迫っているので、今年は選ばなくていいと考えています。

私は田代さんについて、昨年11月に「2年以内に代表入りする」と予言しましたが、実力は代表級なのに時間幅をもたせたのは、オリンピックの事を考慮したためです。

でも、田代のいる東レは、木村や迫田や高田という代表の常連が在籍しているので、彼女達との連係を重視して、選ぶのも面白いと思う。

眞鍋監督がセッターをどうするか、私は注目しています。

さて。
ここからは、私が以前から評価し言及している選手で、このところ苦戦している何人かを取り上げます。

まず、上尾の正セッターの「土田望未さん」。

所属する上尾は、今シーズンは守備が完全に崩壊していて、レシーブがきちんとセッターに繋がらない。

だから、彼女は走り回るのを強いられて、トスの組み立てが(ゲームの組み立てが)なかなか出来ない。

能力を活かせない苦しい環境だが、土田さんは地味ながら成長しており、俊敏さがアップしている。

彼女はとにかくトスのフォームが安定していて、何度見ても惚れ惚れする。

だが、素早く動くのが苦手で、味方のレシーブが乱れると安易にアンダーハンドでトスをしてしまう癖がある。

田代や宮下は、かなり苦しい(乱れた)ボールでも、オーバーハンドで出すことができる。

特に田代は、この点で傑出していると思う。
苦しい体勢でも、オーバーハンドで逆サイドまで上げられる、フィジカルの強さがある。

24日に放送された上尾の試合では、土田さんもオーバーハンドで上げる回数が増えていました。

そこに成長を感じた。

次に、日立の「佐々木美麗さん」。

彼女はいま、まさに苦戦中です。

私は彼女の才能を高く評価していて、日本代表入りを勧め、「スパイク、レシーブ、サーブの全てで高レベル」と書いたことがある。

ところが、今シーズンはサーブで狙われてしまい、レセプションの技術が未熟なのがバレてしまった。

実は、彼女がレシーブにやや難があるのには、すでに気付いていました。

「ちょっとまだ危ないが、練習する中で克服するだろう。持っている才能は素晴らしいから、あまり気にせずチャンスを与えるべきだ。」と考えていた。

そうしたところ、各チームは研究をしたらしく、サーブを佐々木さんに集中してきた。

佐々木さんは、まだ日立の中心選手ではないが、ムードメイカー(キー・プレイヤー)であり、そこを潰せば日立は苦しい。

それを見抜いて的確に狙ってくるのを目撃し、「やるじゃないか」と脱帽しましたよ。

そうして、サーブ・レシーブでミスをする佐々木さんは、出場時間が減っていってしまった。

美麗ちゃん、レシーブを練習するんだ! 

私は、君の才能を信じている。
レシーブが上達すれば、日本代表にだって入れる。

日立では、渡邊久恵さんが注目され始めている。

彼女は昨シーズンからスパイクでは目立っていた。今シーズンはレシーブも良くなってきて、スタメンに定着している。

渡邊さんも良いよ。
それは分かっているのだが、佐々木美麗のほうがスケールの大きさを感じるので、そっちに注目しているのです。

佐々木さんは、サーブで個性的なボールの投げ上げ方をしていたのだが、今シーズンは止めましたね。

彼女に限らず、今シーズンは『スパイクを打つようなフォームで、力強く打つサーブ(スパイクサーブ)』が鳴りをひそめています。

バレーボール中継での解説によると、今シーズンはミカサのボールが使用されていて、そのボールは軌道が変化しやすい(変化させやすい)との事。

そのために、スピードとパワーを重視したスパイクサーブよりも、ボールの変化とコース狙いを重視するフローターサーブが流行っています。

(今シーズンは、ジャンプ・フローターが圧倒的な主流となっている。9割くらいの選手が、これを選択している状態です。)

Vリーグでスパイクサーブが最も上手いのは、長岡、新鍋、佐々木、栗原、マーフィーの5人です。

このうち、長岡以外はフローターサーブ(ジャンプ・フローター)に変えていますね。

スパイクサーブは見応えがあるので、少し寂しい。

でも、新鍋さんは明らかに昨シーズンよりもサーブが安定しました。

使用球は毎年変わるらしいので、またスパイクサーブが復活する日が来るのだろうか。

私としては、佐々木さんの独特のボールの上げ方が好きだったんですけどねー。

最後に、NECの「白垣里紗さん」です。

彼女も、佐々木さんと同じに、サーブで狙われて苦戦しています。

彼女がレシーブするとセッターに渡せる確率はかなり低く、狙われると連続失点になる事が多い。

そのために、スパイク能力は高いのに、出場時間は限られている。

レシーブ技術は、佐々木さんはすでにそれなりのレベルにあるので、練習すれば近日中に克服できるはず。

だが、白垣さんは厳しい。1年くらいみっちり練習しないと、Vリーグでは通用しないと思う。

最近のVリーグは、レベルが上がり、弱点があるとそこを突かれてしまう。

レシーブが未熟でも楽しくプレイできる時代は、終わりました。

白垣さんは、スパイクは向上してきた。
フォームが改善されて整い、力任せに打つことがなくなった。

地道にレシーブ練習をするしかないなあ。
そうすれば、監督も安心して起用できる。

今回は、こんな所で終わりにします。

私がシーズン当初に予想したように、今期は久光の独走はなくて、どこが優勝するか分かりません。

選手層では久光と東レが抜けているけど、優勝する保証はない。

NECが復調したら、すごい激戦になってワクワクできると思うので、立ち直ってほしい。

最後に思い出したが、久光のワンポイント・サーバーの「石橋里紗さん」の実力が、ハンパじゃないです。

20点を超えたあたりで、「ぷわっ~」という選手交代の音と共に現れるのですが、本当に嫌な所にサーブを打ち込みます。

あまりに凄いので、彼女が登場すると、私は「うっわあ、来たよ」とドキドキし、ボールを拾えずにコートに転がる相手チームの選手が目に浮かび、顔をしかめてしまうほどです。

いまVリーグで最高のサーバーは、彼女だと思う。


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