2月17日に憲法審査会で、丸山和也・自民党議員が発言したことが、問題となっています。
彼は「オバマ大統領は奴隷の子孫だ」と言ったが、人種差別にあたる発言だと、野党やメディアが騒いでいるのです。
彼の発言の要旨が、18日の東京新聞に載っていたので、私は読みました。
すると、発言で一番ひっかかる所は、奴隷が大統領になったとする部分ではなかった。
一番の問題点を皆が見逃して論議しているので、変な結論に到達しつつある。
「この発言は、日米関係に傷をつける。
アメリカ大統領という偉大なお方を、侮辱するのはけしからん!
アメリカ様はえらい! きちんと謝罪しないと。」
との、おかしな話になってきている。
みんな、丸山発言の本質に迫ろうじゃないか。
誤魔化してはいけない。
ここで、18日の東京新聞に出ている丸山発言の要旨を、紹介します。
○ 丸山和也が憲法審査会で主張したこと
「例えば、日本が米国の51番目の州になることに、憲法上どのような問題があるのか。
(米国の1州になれば)集団的な自衛権も、日米安保条約も、全く問題なくなる。
拉致問題すら起こっていないだろう。
国の借金問題も、行政監視のきかないような、ずたずたの状態には絶対になっていない。
米国の制度にあれば、人口数で下院議員の数が決まる。
おそらく「日本州」は、最大の下院議員を選出できる。
そうなれば、日本州の出身者が大統領になる可能性が出てくる。
という事は、世界の中心で行動できる。
今、米国は黒人が大統領になっている。
これは(元は)奴隷ですよ、はっきり言って。
米国の建国当初では、黒人・奴隷が大統領になるとは考えもしなかった。
ダイナミックな変革をしていく国だ。」
どうでしょうか。
上記の発言で、一番の問題は、オバマ大統領に言及した所だろうか?
オバマはアフリカから米国に留学した父を持ち、母は米国籍の白人で、奴隷だった黒人の子孫ではない。
そこを突いて、「オバマ大統領に失礼だ」と議論されているのだが、それは末節にすぎない。
(いちおう指摘するが、オバマに謝罪なんていらないよ。
彼は、日本の1議員の勘違いなんて、気にしない人だ。)
丸山和也・自民党議員の発言で、まず注目するのは、憲法を審査する場で、「アメリカの州になれば、すべての日本の問題は解決し、日本人はすばらしい力を得る」と強調していること。
こんな思想を持つ人が、国会議員をしていていいのだろうか。
憲法改正を論じていいのだろうか。
丸山さんは、アメリカを「地上の楽園」と見ているようだ。
あまりに無知です。
アメリカの州になっていれば、国の借金問題は生じなかった?
アメリカ政府が膨大な借金を抱えて、デフォルトの一歩手前なのを知らないのか!
アメリカに住む黒人は今でも、差別に苦しみ、若者の失業率は極めて高い。
オバマの例だけを見て、褒めちぎるなんて、見識を疑いますね。
総じて言えるのは、『丸山発言は、現実と乖離したものであり、アメリカを無条件に信奉するものだ』です。
彼の発言は、「アメリカ様、万歳!」に満ちている。
この極端な思想は、自民党の基礎認識になっており、彼らは要所でそれを披露する。
アメリカ議会で演説し、集団的自衛権の行使を約束してきた(日本国民よりも前に、アメリカ国民に政策を発表した)安倍晋三も、同じ思想を持つ人物です。
安倍をはじめとする極右で全体主義を志向する人々は、一見すると天皇を尊重している様に見える。
だが、明仁(現天皇)は全く異なる思想の持ち主で、彼らが担げる存在ではない。
よく観察すれば分かるが、安倍一派と明仁は、極めて仲が悪いのです。
安倍一派が、頼りきって担いでいる真の存在は何なのか。
それは、「アメリカの軍部および共和党」です。
今の日本では、全体主義を好む者などほとんど居ない。
だから安倍らは、日本人を味方にする事は不可能です。
それを知っている彼らは、アメリカのタカ派に援助をあおぎ、外圧をてこに目的を達成しようとしている。
安倍晋三らは、日本国内では少数派です。
彼らの極端な思想に同意できる日本人は、5%もいないでしょう。
だからこそ彼らは、常に嘘をつく。
国民に嘘をつくのを、何とも思っていない。
そして、最近の自民党議員たち(丸川珠代・環境相や高市早苗・総務相)のように、本音を言って国民から突っ込まれると、誠意のない(反省のない)見かけだけの謝罪や、論理として破綻した弁解をする。
私は完全に見抜いているが、安倍一派には愛国心はかけらもない。
病気療養を理由にして、口利き疑惑の説明から逃げている甘利明を見れば、よく分かるでしょう。
彼の態度には、国民と真摯に向き合う姿勢は、全くない。
私は、以前の日記でも書いたのだが、「アメリカ様、万歳! アメリカ帝国よ、永遠なれ!」と唱える日本人たちに、心底からうんざりしています。
この奴隷根性に染まりきった人々にかぎって、「崇高な日本の歴史は~」などとえらく真面目な顔で語り出す。
その異常さと無知ぶりは、とても直視できるものではない。
彼らの話に耳を傾けていると、気分が悪くなってきて、ゲロを吐きそうになります。
だから短時間しか聴けないのだが、それでも論理がめちゃくちゃなのは理解できる。
ある程度耳を傾けた経験から、彼らの論理展開はしっかりと理解しています。
「色々と言うが、結論は『日米関係こそ、すべてに優先されるものである』なんだろ」と、冷めた目で彼らの演説を見ていると、やっぱりその結論になる。
日本をアメリカの1州にしようとする、売国的な人々について、「愛国心に満ちた素晴らしい人々である。彼らに国政を委ねなさい」と、一部のメディアは声高に褒め称える。
冷静に眺めると狂気の発言なのだが、その宣伝を信じてしまう人が一定数おり、安倍政権を支えている。
そろそろ目を覚まそう、日本のみんな。
日本の現状を、総合的に判断しよう。
北朝鮮や中国が怖いからといって、アメリカの1州を目指してしまうのか?
それが日本が世界で輝く道なのだろうか?
日本は、アメリカに従属せずに、他のどの国にも従属せずに、やっていける。
日本の独立を尊重し、同時に他国の独立を尊重しようじゃないか。
この至極まっとうな状態を、なぜ目指さないのか。
中国の南シナ海への軍事進出は、目に余る。
日本は、大いに批判して反省を促すべきです。黙っている必要はない。
だが同時に、世界中に基地を持ち、世界のあらゆる地域に干渉してきたアメリカに対しても、批判をしよう。
米軍だって目に余るのでは変わらない。
日本は一昨日に、X線で天体観測をする人工衛星「ひとみ」を打ち上げました。
これは、アメリカのNASA(軍事にも大きく関わっている機関)と協力して実現した。
これについて、日本のメディアは皆が褒め称えている。
北朝鮮は先日に、ロケットの打ち上げ実験(ミサイル実験)を行った。
今回はどうだか知らないが、北朝鮮はロケット打ち上げを「人工衛星を上げるため」と説明したりする。
日本のメディアはいつも、これを激しく非難してきた。
ん? ちょっと待て。
あれっ?
日本と北朝鮮は、同じような事をしているのではないか?
それなのに、メディアの評価がぜんぜん違うぞ。
ロケット開発、ロケット発射、宇宙開発は、軍事と密接に関わっています。
衛星を打ち上げるロケットは、ミサイルに転用できる。
日本は様々な衛星を打ち上げることで、ミサイル技術を確保している側面がある。
それを無視して、北朝鮮だけを非難するのは、不当なのではないか?
こうしたダブル・スタンダードは、至る所に存在します。
安倍内閣は「報道の公平・中立が大事」と云うが、それならば干渉しなければいいのに、やたらと口を出す。
権力が口をはさむ時点で、公平でも中立でもない。
自分の気に入る報道には「これは十分に中立性を担保している」と言い、意に沿わない報道は「中立ではない」と文句を言う。
正にダブル・スタンダード(インチキ)の駆使です。
私達は、あらゆる事柄について、じっくりと精査し、本質を見極める必要があります。
最近の日本政府(安倍・自公政権)の発表は、全く信用できません。
政府高官たちは、意図的に嘘を(極端な解釈を)連発している。
そんな政府発表を無批判に垂れ流すNHKのニュースは、完全に死亡していますね。
私は、1年くらい前に「死亡確認」をしたと判断し、全く見なくなりました。
私の周りでも、「NHKのニュースはつまらなくなり、見なくなった」という人が多い。
国民の多数から信用を失っている時点で、安倍政権は終わっていると思うのだが、なぜか支持率は50%くらいある。
私は頭をひねりまくっており、「各社の行う世論調査は、きちんと世論を拾っていないのではないか」と疑い始めています。
話を元に戻します。
丸山発言のポイントは、「対米隷属の宣言」をしている事です。
これに怒らない人は、彼と同じにアメリカに隷属しているか、思考停止しているかですよ。
「アメリカの1州になれば、バラ色の生活が待っている。アメリカは素晴らしい国なんです。」
これが、発言の本質です。
私は、呆れてしまった。
丸山和也さんは国会議員であり、自らの活動で国政を良くしていける立場にある。
それなのに、「アメリカの1州になれば、行政監視が行き届き、きちんと行政が機能する」と言うなんて。
すごい無責任な発言ですよ、これは。
大手メディアは、こうした本当の問題部分を、指摘して下さい。