特別会計などについての記事を、『日本の問題の勉強』のページにアップしましたが、面白い内容なのでこっちにも転載します。
2年ほど前に勉強したのですが、ようやく記事にできました。
最近は、このウェブサイトの外部CSS導入の作業がついに最終段階に入り、今までに勉強した事を記事にする余裕が出てきました。
あと少しで、外部CSSの導入は完了します。
さて、甘利明の汚職で話題になっているURですが、特別会計の対象法人です。
URは、叩けばいくらでも埃が出てくる、スーパー・ブラックな組織です。
特別会計は、廃止にしないといけませんよ。
以下の記事は、2006年に出た池上彰さんの著書からの抜粋です。
10年経っているので各種の数字は変わっていると思いますが、日本政府の腐敗ぶりは変わっていません。
(『ニッポン、ほんとに格差社会?』池上彰著から抜粋)
一般的に「大きな政府」と云う時には、3通りの意味があります。
1つ目は、政府の規模が大きいこと。
2つ目は、社会福祉が充実していること。
3つ目は、社会にたくさん規制があること。
つまり、大きな政府であるかは、金額・人数、制度、規制の3点から見る必要があります。
日本の一般会計の予算を見ると、1995年には71兆円だったものが、毎年増え続けて2000年には85兆円に膨れ上がりました。
これは、バブル崩壊後に政府が景気対策と言って、公共事業を拡大したからです。
それが、01年から低下傾向になり、06年には79.7兆円にまで低下しました。
これは、小泉政権の「小さな政府へ」という路線のためです。
2006年の予算で見ると、社会保障関係費は20.6兆円で、全体の26%を占めています。
ちなみにアメリカの場合、予算が最大なのは社会保障費と軍事費です。
どちらも5000億ドルを超えており、アメリカが大変な軍事国家である事も分かります。
日本のGDPは500兆円を超えており、政府の歳出はGDPの16.4%です。
イギリスは30.5%、ドイツは12%、フランスは18%です。
日本の国家公務員の数は、2005年で96万人です。
これには、独立行政法人と日本郵政公社の職員も含まれています。
郵政公社が完全に民営化されれば、職員27万人は公務員でなくなります。
小泉内閣は2005年11月に、「国家公務員を5年間で5%減らす」という方針を打ち出しました。
他方、地方公務員の数は316万人です。
人口1000人あたりの公務員数は、35.1人です。
これは、アメリカは80.6人、イギリスは73人、フランスは96.3人、ドイツは58.4人なので、とても少ない数字です。
日本の公務員数や払われた賃金の総額は、先進国でも下の方なのです。
しかし日本は、決して小さな政府ではありません。
なぜなら、日本には『特別会計』という、別の予算があるからです。
私たちの年金や保険料、ガソリン税などは、一般会計ではなく特別会計に入ります。
この特別会計は、2006年時点で31もあり、予算額は412兆円にも上っています。
一般会計が80兆円ですから、はるかに大規模です。
ただし特別会計には、一般会計と重複する分がかなりあり、純粋な特別会計は205兆円です。
一般会計から特別会計に繰り入れた金額を除くと、残された一般会計額は34.5兆円です。
なんと特別会計は、純粋な一般会計の6倍の規模なのです。
205兆円+34.5兆円の239.5兆円が、真の日本の財政規模です。
特別会計は、「グリーンピア」などの無駄な施設を全国に建設するなどして、多額のお金を失っています。
グリーンピアの場合、実態は厚生労働省の天下り先づくりでした。
社会保険庁の幹部の高級車の維持費も、特別会計から出ていました。
一般会計は予算を組むのに四苦八苦しているのに、特別会計は無駄使いをしている。
特別会計は、国民に見えにくく、あまり議論されてきませんでした。
一般会計との間の資金の流れも複雑だし、会計方式もそれぞれ異なっています。
国民に見えないのにつけ込んで、官僚や国会議員たちが自分達の財布として利用してきました。
最近になって、ようやく問題視され始めたのです。
特別会計+一般会計は239.5兆円で、日本のGDPの46.9%にも達します。
これに地方の予算を足すと、GDPの60%にまで達します。
日本は、世界でも稀な巨大な政府を持っています。
公務員の数にも、隠れた人数があるのです。
それは、公益法人、非特定の独立行政法人、国立大学、認可法人、の職員です。
こうした組織の職員は、実態は公務員です。
これらの数は、合計すると110万人を超えます。
これを勘案して人口1000人あたりの公務員数を出すと、45人となります。
(45人という数は、上記した他の先進国の数よりも高くはない。問題はやはり特別会計の無駄使いです。)