3月4日に、鎌倉で行われた「いのちと原子力、私たちの未来への道」というシンポジウムに参加してきました。
私が尊敬する原発の専門家アーニー・ガンダーセンさんが、講演者の1人だったからです。
私にとって耳新しい情報は、メモしてきました。
今日は、それを書き、皆さんと分かち合おうと思います。
それにしても、「鎌倉」は歴史を感じさせる落ち着いた町で、素晴らしいですね。
シンポジウムが始まる前に、少し鎌倉を散歩したのですが、私が大好きな「歴史を感じさせる雰囲気」を持っています。
私の住む小田原も良いけど、小田原の3倍くらい洗練された落ち着きがある。
寺が多いのですが、建物が豪華なんですよ。
「やっぱり1度でも日本の首都になった場所は、豪華さのレベルが違うな」と思った。
鎌倉幕府の首都でこれだから、世界的な帝国の首都ともなれば、信じられないレベルになる。
大英博物館なんて、世界中の芸術品が集まっていますからね。
見方を変えると、それだけ多くの地域は富を搾取されたわけです。
話をシンポジウムに戻し、ここからはメモした事を列記していきます。
講演をしたのは、アーニー・ガンダーセンさん、メアリー・オルソンさん、スティーブン・リーパーさんの3人です。
○ アーニー・ガンダーセンの話
今回、私は日本に1ヵ月滞在して、各地で公演してきましたが、福島にいた1週間が一番大きな出来事だった。
福島の山にいる野生のイノシシの放射能汚染を調べたが、数値が高かった。
イノシシのいた所にあるコケを調べたら、1kgあたり50万ベクレルだった。
畑にいる牛のフンも調べたが、数値は高かった。
猿のフンは、1kgあたり5万ベクレルだった。
福島の山にいけば、放射線量は高くて、そこに住む動植物は汚染されている。
猿の目は白内障になっていたが、これも放射線の影響である。
福島では、汚染土(1つが1トン)が3千万袋もある。
南相馬の市役所の屋根は、去年に除染したのだが、そこのホコリを調べたら非常に高い数値だった。
この理由は、空中を漂うホコリである。
私たちが見た中で最大の数値のホコリは、名古屋で見つけた。
大きさは9ミクロンで、掃除機の袋から見つかり、200ベクレルの線量だった。
除染しても、ホコリ等で再び汚染されてしまう。
福島のコンビニの足拭きマットに付いている土からも、放射能が検出された。
つまり、放射性物質は動いているのだ。
私の息子や孫が福島に住んでいたら、福島から出るように言う。
旧ソ連のゴルバチョフ元大統領は、「ペレストロイカがソ連を滅ぼしたのではなく、チェルノブイリ原発事故が滅ぼした」と語っている。
菅直人・元首相も、「福島原発事故の時、日本が滅亡すると思った」と、私に話した。
原発の再稼働を止めて、歴史の方向を変えなければならない。
○ メアリー・オルソンの話
世界にたくさんある放射能の基準は、全て男性を基準にしている。
本当は、小さな女の子を基準にしなければならない。
その結論に至った経緯を話す。
私は、ローザリー・バーテル博士の許で学んだ。
米国科学アカデミーが出した『電離放射線の生物学的影響』(2006年刊)を見て勉強しなさいと、バーテル博士に言われた。
この論文は、広島と長崎の人々を50年にわたって調べたものを、まとめたものである。
私はこの報告書を見て、泣いた。
このデータしか、男性も女性も全て出ているものはない。
ガンの発症率と死亡率も書いてある。
このデータを見ていたら、あるパターンに気付いた。
1945年に(原爆が投下された時に)0~5歳だった人が、ガンになる確率が高かった。
さらに、女の子のほうが確率が高かった。
女性のほうが倍の高さである。
20ミリシーベルトの被爆では、ガンの発症率は0歳だと、10万人あたり男性は500人、女性は1000人である。
バーテル博士は、女性のほうが発症率が高い事について、「生殖機能が関係しているかもしれない」と言った。
理由はまだ判明していない。
○ スティーブン・リーパーの話
3.11が朝の2時に起きていたら、日本は無くなっていたかもしれない。
午後2時半だったから、技術者がたくさん福島原発にいたが、夜中は10分の1しか居ないからである。
東北の人々と話すと、だいたいの人は知人が今まで見たことのない病気になっている。
私の知人の女性とその女の子は、ずっと西に逃げて、岡山まで行ったら体調が良くなったと言っていた。
放射能については、それぞれが直感で判断するしかない。
逃げる人(移住する人)も尊重しなければならない。
○ アーニー・ガンダーセンの話
日本政府が被曝上限を1ミリシーベルトから20ミリシーベルトまで上げたのは、科学的な根拠のあるものではない。
○ メアリー・オルソンの話
高浜原発の再稼働では、MOX燃料を混ぜており、今のところは5%だが、30%まで上げようとしている。
○ スティーブン・リーパーの話
南相馬のある女性は、髪の毛が抜けて皮膚につぶが出ていた。
これは広島原爆の被害者と同じ症状である。
でもこの女性は、ストレスのせいだと思っている。
というのは、医者からストレスのせいだと診断されたからである。
そして福島の医者と話したところ、「放射能のせいだと言うな」との凄いプレッシャーを受けているとの事だ。
○ アーニー・ガンダーセンの話
私が日本に住んでいるならば、太平洋で獲れる魚は食べない。
汚染土を包んでいる袋は、徐々に劣化する。
3千万袋(3千万トン)も汚染土はあるが、袋を焼却してしまいカスを建設材料にする計画があるようだ。
もし燃やしてしまったら、放射性物質が空中にばら撒かれてしまう。
私はIAEAの人から聞いたが、焼却すると微粒子はフィルターで押さえられず出てしまうという事だ。
日本政府は「原発の安全基準を高めた」と言っているが、変わっていない。
原子炉自体は変わっておらず、数字を操作しているだけである。
柏崎刈羽の地震では、部品が2千も壊れた。
日本の原発は、大きな地震では保たない。
掃除の時は、乾拭きではなく水拭きをするのが大切である。
家の中のホコリを無くすのが大事で、空気清浄機も良い。
○ スティーブン・リーパーの話
放射能汚染の問題は、日本だけでは解決できない。
外国の人々も招き入れるべきだ。
原発を無くすには、節電が重要である。
福島原発の事故の後、日本では19%も節電に成功した。
各家庭に太陽光パネルを設置するのも重要である。
菅直人・元首相は、アメリカでの演説で「日本では原発以上の産業利権はありません」と言った。
アメリカの軍事産業みたいな存在が、日本の原発産業なのである。