タイトルゲイリー・ムーアの2010年モントルーでのライブが、心に染みる
(2016.3.28.)

半月ほど前に、ユーチューブにて『ゲイリー・ムーア Live Montreux 2010 HD』という動画を見ました。

これは、2010年のモントルー・ジャズ・フェスにおける、ゲイリーのライブ映像です。

ゲイリー・ムーアは、素晴らしいロック・ギタリストで、私は大好きなのです。

で、彼のアルバムは沢山持っているし、3つほどライブ・ビデオも持っています。

彼の演奏の素晴らしさは良く知っていたのですが、この2010年のライブは『別格の凄さ』です。

ゲイリーのギターと歌に、完全にノックアウトされました。

何回か視聴しているうちに、「これは人類史上の宝といえるレベルの演奏だ」と思うようになりました。

多くの人に観てもらいたいので、日記で取り上げることにします。

ゲイリー・ムーアは、長いキャリアを持つギタリストで、主にロックの世界で活躍しましたが、ブルースやジャズも演奏しました。

私がロック・ギターを弾いていた頃は、彼のギターに深く憧れて、たくさんの曲をコピーしました。

「最も影響を受けたギタリストを、ジャンルを問わずに10人あげろ」と言われたら、その中にゲイリー・ムーアは入ります。

今はギターは弾いていませんが、それでも「人生の師匠の1人」なのです。

彼の音は、常に明確で、暖かさや優しさがあり、虚勢や虚飾がなく、誠意に満ちています。

抜群のテクニックを持っている人ですが、そこよりも人間性に魅力を感じています。

技術的な部分では、リズム感の良さ、骨太でツヤとコクのある音色、歪ませてもうるさくならない音色の調整、情熱を感じさせるチョーキング、に憧れてきました。

こういった特徴・長所が、2010年モントルー・ライブでは最良の形で表現されています。

モントルー・ジャズ・フェスって、最初はジャズのフェスティバルだったけど、いつの間にか色んなジャンルのミュージシャンが出演するものになりましたよね。

ユーチューブには、このライブから4曲がアップされているのですが、どれも素晴らしい。

私が高評価するのは、この4曲が最新アルバムの収録曲ではなく、「彼の代表曲」な事です。

何十年も前に録音した名曲を演奏している。
そして、出来が本当に素晴らしい。

あとは、「レスポールを弾いている」のも大きいです。

レスポールというのは、エレキ・ギターの名器の1つなのですが、これを弾いた時のゲイリーは最高なんです。

このライブでは、レスポール弾きの名手である彼の、最高のパフォーマンスが聴けます。

画質と音質は、HDだからか、とても良いです。
とてもクリーンな状態で、見やすいし聴きやすい。

私は、このライブのギターの音は、人類史上でも屈指のクオリティだと思います。

音色の美しさ、深さ、温かさ、くっきりとしている音像、適度なひずみ。

これ以上のレスポールの音は、耳にした事がないです。

エリック・クラプトンが1960年代にレスポールを弾いていた時、その音色の素晴らしさは伝説となっていました。

当時の録音を聴くと、その素晴らしさを実感できるのですが、当時のクラプトンよりも、2010年のゲイリーの方が凄いと思います。

このライブを聴いていると、演奏の素晴らしさに、涙が出てくる。

ギターから表現されるものの美しさと純粋さに、理屈ぬきに感動してしまう。

ゲイリー・ムーアは、2011年に死去してしまったので、このライブは最晩年のものです。

だが、衰えやマンネリ感は全くありません。

彼は元々、時流に左右されず黙々と努力を続けるタイプで、成長を止めない人でした。

それが人生の最後まで続いた事が分かり、尊敬心で一杯です。

彼の身体には締まりがなく、表情にもかつての元気さがなくて、体調の悪さがうかがえるのですが、演奏は本当に力強いです。

若い頃よりも、演奏への集中力が増しており、1つ1つのプレイの精度は増している。

正に円熟のプレイです。

人生の最後にこんな凄い仕事ができるなんて、最高の男だと思います。

そして、「この人に憧れて真似をした自分は、間違っていなかった」と、自分の選択を誇らしく思いましたね。

ゲイリーの演奏は、真実の響きがあるので、これからも語り継がれていくでしょう。

(2016年4月3日に追記)

『ゲイリー・ムーア Live Montreux 2010 』について、ユーチューブで他にも2曲がアップされているのを見つけました。

全部で6曲がアップされていて、そのうち3曲がHD(高画質・高音質)です。

HDの方が圧倒的に音質が良く、技術の進化を感じます。

このライブは、共演者の力演ぶりも目立ちますね。

キーボードを弾いている人は、1980年代にゲイリー・ムーアのライブ・ツアーに参加していた方で、「まだ一緒にやっているんだな」と感心しました。

当時はフサフサの髪の毛でイケメン・タイプしたが、スキンヘッドに変身していて、「ほおっ、年月を経てこの路線に来たか」と思いました。


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