タイトルミュージカル「1789 バスティーユの恋人たち」を観た
その感想
(2016.4.22.)

4月19日に、ミュージカルの『1789 バスティーユの恋人たち』を観劇してきました。

私が敬愛している女優の「花總まり」が出演しているからです。

今日は、その感想を書きます。

あと、劇場の入口で花總さんの出したCDが売られていたので、購入してきました。

私は知らなかったのですが、今年の2月に彼女はファースト・アルバムを出していたのです。

この作品についての感想は、次回の記事で行いたいと思います。

『1789 バスティーユの恋人たち』の総評をまず行うと、「音楽は悪くないが、脚本と振り付けが良くない。海外で人気になった作品らしいが、優れた作品ではない。」です。

フランス革命が起きるまでを描いてますが、展開のさせかた(脚本)に陳腐さを感じました。

「こんな解釈や演出をするのか」という喜ばしい驚きが、全くないです。

振り付けも、日本のそこらの振り付け家がやったみたいな、ありきたりのものでした。

観ていて、胸が躍る瞬間がないんですよねー。

登場する人々にも、1つ1つの場面にも、魅力を感じなかったです。

作品が陳腐に見えたのは、主役の演技がダメだったのも大きいです。

小池徹平さんが主役を任されてましたが、明らかに力量不足です。

周りの役者のほうが、演技も歌も上手い。

「なんでこの人が主役に選ばれたの?」と、がっかりでしたよ。

小池さんの演技には、説得力がないです。

この歌劇では一番魅力的な人物のはずだが、「普通のお兄さん」にしか見えません。

どんな人物かを考えて演じているとは、全く思えなかった。

さらに、声に魅力がない(声を鍛えてない)ので、彼が歌っていると眠くなってくるのです。

彼が歌い始めると、自然にまぶたが落ちてきて、寝てしまう。

ラリホーみたいな歌でした。

彼の歌で寝てしまい、場面が変わって別の歌が始まり起きたのが、3回もありました。

そのうち2回は、花總まりさんの歌でした。

もう1人の主役(ヒロイン)を演じる夢咲ねねさんも、いまいちでした。

ひんぱんに音が外れていて、歌に入り込めなかった。

彼女は、宝塚時代から「踊りは素晴らしいが、歌に難がある」女優でしたが、それが変わっていません。

あれだけ音を外すのは、さすがにマズイよ。

花總さんは、さすがに安定感があったし、良かったです。

恋人(フェルゼン)と共に国外に逃げる選択がある中で、残ることを選んだ後に1人で歌う場面は、とても充実した美しい歌に仕上げていました。

でも、彼女はどう演じるかで苦戦していましたね。

彼女はマリー・アントワネットを演じているのですが、最初は放蕩三昧の最低の女なのが、最期には立派な人物になります。

息子が夭折したのをきっかけに改心するのですが、心境の変化の過程を脚本がきちんと描いていないため、ピンと来ないのです。

夫の国王は最期までアホなままだし。

この作品では、どの人物も説得力を感じません。

主役はフランス革命を起こす人々のはずですが、中心となる小池さんの演技がひどいからか、彼らの怒りが溜まって革命に立ち上がるまでに、「グーッ」と盛り上がっていかないのです。

放蕩三昧のアントワネットや、政治オンチの国王や、権力欲の塊で変態的な性癖の国王の弟は、どうやっても魅力的な人物にはならない。

だから、革命を起こす側が魅力的なキャラにならなければならないのに、そうなっていない。

結果として、『魅力的な人物のいない、寒い話』になってます。

最初から最期までピンと来なかったのは、ほとんどの役者が歌をちゃんと歌えていないのが大きかったです。

役者のほとんどは、メロディを覚えるだけで、どのようなコード進行やリズムになっているかを理解していないと思いました。

リズムが曲の途中で変わっても、それを感じていないし、常にリズムに乗れてません。

この作品は、バックビートを強調した曲(リズム)が多い。

だから、もっとそれを意識して歌ったり踊ったりした方がいいです。

踊りについて言うと、最初のほうの場面で娼婦で出てきた、太めの体型のギョロっとした目の女性が、割と良かったです。

彼女は、痩せれば良いダンサーになると思う。

あとは、民衆の1人として踊る男性に、力強くはっきりと踊り、心理がこちらに伝わってくる役者が1人いました。

基本的に、民衆の側は、熱く激しく力感豊かに踊ったほうがいいと思います。

そうする事で、支配階級への怒りや、民衆のもつ地に足のついた感覚を表現できる。

それを表現すれば、国王らの退廃した世界との対比を生み出せる。

終盤になり、「皆で立ち上がるぞ!」と盛り上がる場面は、地の底から「グオーッ」と湧き上がるくらいのエネルギーがほしい。

いま出しているエネルギーの、4倍くらいでちょうど良いです。

個々の曲は良質だと思うから、演者の解釈や歌唱力が上がれば、それなりに観られるものに仕上がると思います。

私の観たのはS席ですが、12500円という高値です。

現状だと、このミュージカルの値段は5500円ですよ。

2倍にクオリティを上げないと、値段相応の内容になりません。


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