女子バレーボールのオリンピック最終予選
全7試合の総評
(2016.6.1~2.)

先日に終了した女子バレーボールのオリンピック最終予選では、日本代表の試合ぶりについて、すでに2回にわたって感想を書いています。

本日は、全試合の総評という形で、これまで言及しなかった事を書きます。

まず日本の守備についてですが、1つだけ絶対に修正したほうがいい事があります。

それは、『味方がスパイクを打つ場面で、皆がこぼれ球を拾おうとサポートに寄りすぎるため、自コートの後ろがガラ空きになること』です。

なぜか分からないが、味方がスパイクを打つ瞬間に、選手全員がガーッと寄っていって、ひとかたまりになる時がある。

その結果、相手のブロックに止められたボールが自コートの後ろのほうに弾かれると、誰も拾えずに失点となってしまう。

ごく単純な連係ミスであり、中学生のバレーボールですらほとんど見ない光景なのだが、なぜか日本代表が頻繁にこの形で失点している。

全員が一直線にスパイカーに寄っていく姿を、何度も見て、「サポートしたい気持ちは分かるけど、それは無いな……。」と、絶句してしまった。

スパイカーをサポートするために寄っていくのは、3人で十分ですよ。

残りの2人は、後ろに留まって空いたスペースを埋めないと。

それ以外は、守備は悪くなかったです。

リベロの2人は合格点をあげられる出来だったと思うし、サポート・レシーバーの座安も良かった。

ウイングスパイカー陣は、木村を初めとして、レシーブで頑張っていた。

やばくなると座安が代わってくれるので、大崩れする場面はなかった。

ミドルブロッカーも、レシーブは悪くなかった。

島村さんは、まだ下手だけど、以前よりもかなりレシーブ力が付いてきましたね。
動き方がこなれてきたし、練習を重ねてきたのが見てとれました。

次に攻撃面ですが、こちらは『正セッターの宮下のトス精度の低さ』が一番の課題だと思います。

宮下のトスがいまいちのため、多くの選手が気持ちよくスパイクを打てていない状況です。

これを解決するには、正セッターを田代に替えるのがベストです。

田代の実力は、オランダ戦でしっかりと証明された。

代表歴の浅い田代を正セッターにするのは、勇気のいる事だと思いますが、「宮下のトス技術では日本はメダルを獲れない」と私は感じています。

宮下のトスは、2本に1本が乱れている。
そしてクイック攻撃の場合、4本に1本しか良いトスを上げられない。

宮下さんが全力でプレイしているのは、ひしひしと伝わってくる。
その点は高く評価しているが、あのトスの精度ではまずい。

田代だと、トスの乱れが少ないので、安心して観ていられます。
この安心感が、セッターでは重要なんですよ。

オリンピックの前に、日本は数試合を行うと聞いています。

そこで、田代を試すべきだと思う。
そして、そこで結果を出したら、思い切って彼女を正セッターにしよう。

スパイカー陣では、やはり長岡の安定感と技術力が際立っていましたね。

出場すれば、常にスパイクを決め続けて、特に苦しい場面での決定力が高かった。

正直、今の日本で一番重要な選手です。

「もし長岡が怪我で離脱したら、日本がオリンピックでメダルを獲れる可能性は無くなる」、こう思っています。

長岡さんは、とても真面目な性格で、疲労が蓄積されてきても、それを口にしない可能性がある。

スタッフの方々は、彼女がベスト・コンディションでオリンピックに出られるように、十分な配慮をしてほしい。

彼女はすでにあらゆる分野で素晴らしい能力を備えているので、身体を良好に保つレベルで、無理のない練習をして下さい。

練習のしすぎで怪我をした、という事は絶対に避けるべき。

今大会では、『迫田さんが活躍できなかった』のが印象的でした。

私は、「長岡に次ぐウイングスパイカーは、迫田だ」と思っているので、観ていて心が苦しくなった。

苦しんでいる彼女を救うために、ここからしばらくは、彼女を観察する中で気付いたことを書いていきます。

迫ちゃん、君は凄い能力を持っている。
それを確信しているから、これから擁護・援護する。元気を出してくれ。

彼女が本来の活躍を見せられなかったのは、『普段とは違う右サイドで使われたこと』と、『優しい性格がマイナス方向に働いたため』です。

迫田さんは、いつもは(所属チームの東レ・アローズでは)左サイドでプレイしている。

右サイドでも出来るけど、とても窮屈そうですね。

彼女は、不器用なタイプなんですよ。

練習をして多彩なスパイクを打てるようになったけど、元々は力任せに打つ事しかできなかった。

そんな人に、普段とは違うことをさせるのは、リスクが高い。

私の見るところ、古賀と鍋谷はかなり器用なタイプだし、江畑も柔軟性が割とある気がする。

だから、右サイドを任せる(長岡のバックアッパーをさせる)のは、この辺りが良いのではないだろうか。

迫田は、左サイドに置いた方がいい。

そこならば、もっと活躍できるはず。Vリーグでは素晴らしいプレイを見せていますからね。

迫田さんの日本代表における低調さは、今に始まったことではない。

Vリーグで見せる格好良いスパイクを、代表ではなかなか見せてくれない。

これは、彼女のメンタル面が大きく影響している。

で、眞鍋監督の態度を見ていると、どうも叱咤して対応しているようだ。

おそらく多くのバレーボール・ファンは、迫田さんについて、こう認識しているのではないか。

「明るくて元気一杯の、爽やかで前向きな女の子」。

コート上で華麗にジャンプしまくり、力強いスパイクをスパンスパンと打つ彼女を見ていると、そう見える。

だが、私は今シーズンのVリーグを観る中で、「本当の彼女は違う」と理解した。

迫田さんは、とてもチームメイトに優しい。
仲間がどれだけミスをしても、全く怒ったりイラついたりしないのです。

それに、インタビューでの受け答えを聞くと、とても大人しい。
普段は、兎みたいに小さくなってジッとしている。

びっくりする位に、『優しくて繊細で地味な人』なんですよ。

おそらくバレーボール選手になっていなければ、公務員の事務職あたりで働いていると思う。

こういう性格なので、すごくチームメイトに気を使う。

具体的にいうと、スパイク決定率が40%でも、「6割のスパイクを決められなかった、皆に迷惑をかけてしまった」と気に病んでしまう。

これを、眞鍋監督とか代表のチームメイトは理解しなければいけない。

すぐに落ち込むので、優しい言葉をかけ続けて、温かい態度で接してあげないといけないのです。

彼女に対して、「エースなんだから、ちゃんと結果を出せ」とか「何をやってるんだ!」みたいな厳しい言葉を吐くと、マイナスに働く可能性が高いです。

『可愛い兎さん』だと認識して、常に頭を撫でてあげましょう。

迫ちゃんは、闘争心や競争心はほとんど無く、仲間への想いを基にして努力・成長していくタイプです。

自分が不調でベンチに下げられた時には、悔しそうな顔よりも、申し訳なさそうな顔をする。

彼女は、消極的な所や、弱気な所がある。
その一方で、目立たない日陰のポジションにずっといても我慢できる、忍耐力や忠誠心がある。

この性格・特徴を、監督らはしっかりと理解してほしい。

彼女に対しては、チームメイトの中でライバルを設定して「あいつに負けるな」と煽るのは、最悪の結果を招きます。

優しくて仲間想いが強いので、「皆と一緒にやろう、皆を助けてあげろ」と言えば、やる気を出すはずです。

さて、話は変わります。

オリンピック本番では、「ベンチ入りできる人数は12人になる」と、TV解説者が言っていました。

となると、最終予選では14人がベンチ入りしていたため、2人を削らないといけない事になる。

この問題について、ここからは書きます。

削る2人のうち、1人は古賀さんで決まりでしょう。

最終予選で最も存在感のなかった選手だし、私はしばらく前から言っていますけど、彼女のレシーブ力には大きな不安がある。

古賀さんについては、多くの方は「スパイクは世界レベル」と考えていると思います。

ところが私は、「スパイクでも、世界で通用するレベルにない」と感じています。

今期のVリーグで、彼女は特筆する活躍をしていません。

昨シーズンはデビューしたばかりで、各チームは対応できてなかった。
しかし今シーズンは、彼女の特徴を把握して、対策を立ててきた。

そうしたところ、古賀さんは「普通の成績」しか挙げられなかったのです。

厳しい言い方になるが、とうてい日本代表でエースになれる実力ではない。

大手メディアは、Vリーグをチェックしていないのでしょう。
そうでなければ、あそこまで古賀を持ち上げることは出来ない。

古賀さんのスパイクには、力が無い。

私は、彼女がスパイクでブロックを弾き飛ばしているのを、見た事がない。

長岡や迫田や江畑や木村は、ブロックを弾き飛ばせるパワーを持っている。

そのパワーがある上で、フェイントとかコース打ちをするから、効き目が高いのです。

古賀は、そうではない。

力が無いから、コース狙いをするか(ブロックアウト狙いを含む)、フェイントを入れるしかない。

いざとなったら思いっきり強いスパイクが打てるのと、最初からコース狙いしか出来ないのは、全く違う。

今の古賀には、器用さしかない。
相手チームにコースやフェイントを読まれてしまうと、何もできなくなってしまう。

古賀さんは外すのが確定として、もう1人は誰にするのか。

普通で考えると、鍋谷さんか座安さんでしょう。

セッター2人、リベロ2人、ミドルブロッカー3人は、変えられないと思う。

だから、それ以外を削るのですが、サポート・レシーバーの座安を外すと、守備がかなり不安定になると思うのです。

座安さんは、残した方がいいと思うんですよねー。

チームをまとめたり落ち着かせたりする能力があり、そこでも大きな貢献ができるから。

そう考えると、ウイングスパイカーをもう1枚減らすしかない。

鍋谷さんを外すのが普通の選択ですが、彼女はウイングスパイカーの中では守備力が高く、サーブも木村に次ぐ上手さです。

正直、「外すのは惜しいなあ」と、最終予選を観る中で思うようになった。

こうなると、石井さんか迫ちゃんが外れる対象として浮かんでくる。

残念ながら、『可愛い兎さん』の迫ちゃんも、リスト・アップされてしまう。

これとは別に、最終予選ではメンバーから外れたが素晴らしいスパイカーの「江畑」と、レシーブ能力が極めて高い「新鍋」も、ウイングスパイカーの候補としてまだ残しておきたい。

竹田さんも、レシーブとスパイクの両方で活躍できる良い選手だけど、彼女は今まで代表でプレイしていないので、さすがにこれから招集するのは難しいです。

ミドルブロッカーに関しては、私は最終予選の前に「ブロックの上手い岩坂を入れるべき」と進言しました。

でも、7試合を通じてブロックはかなり良かった。
ミドルブロッカー以外の貢献もあり、背の高いチームが相手でも機能していた。

だから、島村、山口、荒木の3人で良いと思います。

山口さんは、Vリーグの期間中は、膝の怪我のために本来の輝きがなかった。

だから心配していたのですが、どうも膝は回復したらしく、俊敏さが戻ってきていますね。

眞鍋監督がどう決定するか、楽しみにしています。

オリンピックまでに代表戦が行われるそうなので、そこで江畑さんは試されるんじゃないかな。


日記 2016年4~6月 目次に戻る