数日前に、アメリカ大統領を決める選挙があり、共和党候補のドナルド・トランプが当選しました。
民主党候補がヒラリー・クリントンという汚職まみれの人物のため、予想できた事だったが、日本の有識者の多くは「ヒラリー当選」の予想だったらしく、驚きをもって報じられていた。
私は、民主党の候補者の1人だったバーニー・サンダースを推していました。
彼こそが、新大統領になるべき人物だった。
アメリカの問題点を的確に認識し、その解決策もきちんと打ち出していたからです。
バーニーの演説や政策には、誠実さや本気で社会を良くしようとする情熱を感じた。
だから、この日記においても今年の2月に彼を取り上げました。
バーニーとヒラリーが民主党の予備選挙で激しく争っている時、「バーニーが民主党候補になれば、トランプに勝てる」との世論調査結果が出た。
それなのに民主党幹部たちはヒラリー支持一辺倒で、バーニーをこき下ろす事に一所懸命だった。
国民から(特に若者から)なぜバーニーが支持されているかを学ぼうとする姿は、全くなかった。
これを見て、「ああ、こいつらは共和党に勝つ気がないんだな。裏では共和党と繋がっているし、改革よりも既得権益を守るほうが重要なんだな。」と理解した。
日本のメディアもそうだったが、バーニーは1番良い政策を出していたのに、大手メディアはそれを取り上げず、「あいつは社会主義者で、異端児だ」とばかり報じていた。
はっきり言って、腹黒いものを感じましたね。
ヒラリーとトランプの選挙戦について、日本のメディアは「政策論争がない」と批判していたが、政策で勝負するバーニーを無視しておいてそれはないだろう。
日本の政治でも同じであり、政策で勝負する日本共産党は無視しておいて、自民党と民主党の泥試合ばかり報じて「政策論争がない」と嘆く。
日本のメディアの多くは、ポーズが達者で、世評を上げる事にばかり執着していて、トランプとそっくりです。
それなのに自分と似ているトランプが大統領になったら、「これからどうなるのか」と騒いでいる。
私は、バーニーが敗北宣言してヒラリー対トランプの構図になってからは、米大統領選挙から興味を失った。
「どっちが当選しても、ろくでもない政治になるのは一緒だ」と冷めた目で見てきた。
食べ物で例えると、バーニー・サンダースはカレーライスで、トランプはゴキブリ、ヒラリーはクモだ。
「ゴキブリとクモのどちらを君は食べる?」と迫られたアメリカ国民には、同情を禁じ得ない。
カレーライスがメニューにあったのにそれを選ばなかったのだから、完全に自業自得だが、それでも同情してしまった。
きついよね、この2択は。
これを見た人には、「大統領候補者をゴキブリやクモに例えるか、失礼じゃないか」と憤る方もいるかもしれない。
だが私としては、ゴキブリとクモに対して申し訳ないと感じる。
彼らは誠実に真面目に生きており、嘘をついたり自分を飾ったりしない。
トランプとヒラリーよりも、はるかに上等だ。
霊的な見地からいうと、嘘をついたり真の自分を見せない事は、生命の本来の輝きを表現しない事である。
私から見れば、ゴキブリやクモの方が、トランプやヒラリーよりもはるかに輝いている。
だが、食べたいとは全く思わない。
聞くところによると、ゴキブリを食べる民族もいるという。
だから、トランプを積極的に支持する「ゲテモノ好き」がいるのも不思議ではない。
だがそんな人は少数で、ほとんどの人は「ヒラリーよりはまし」という感覚で投票したのだと推察する。
ヒラリーは汚職まみれだし、女性という以外に魅力が(長所が)ない。
さらに、「ヒラリーが当選したら、すでに夫のビルが8年間も大統領をしているし、クリントン王朝の誕生みたくなってしまう」との意識が、アメリカ国民にあったのではないだろうか。
ブッシュ家が親子で大統領になった時、息子ブッシュの暴走がひどかったため、「権力を一部の者に握らすと大変な事になる」と国民は気付いた。
だから今回は、ブッシュ家からジェブ・ブッシュが出馬して、メディアが「共和党で最有力」と煽ったが、国民は全く支持しなかった。
ブッシュ家で懲りた国民は、クリントン家で同じ過ちが繰り返されるのを避けたのだ。
日本を顧みるならば、首相という最高ポストで「岸家の世襲」が行われ、安倍晋三の驕った政治に国民は苦しめられている。
副首相の麻生太郎も、「吉田茂からの世襲」である。
冷静に見ると、政治権力の移動について、日本は北朝鮮とあまり変わらんな。
民主党に政権交代した時も、首相になった鳩山は世襲議員だった。
さて、話は日本のトランプ大統領誕生への反応に移ります。
日本の政治家やメディアの多くは今、「日米同盟の堅持が必要なのに、トランプ大統領だと同盟関係が崩れるかもしれない」と恐怖している。
その恐怖を隠そうともせず、それを声高に語って憂国を気取っている。
なぜ日米同盟が必要だというのを、前提にするのか。
そこがおかしいんだよ。
そもそも、対等の関係じゃないのに「同盟」という言葉を使っているのが、インチキだ。
日米同盟の実体は、「日本はアメリカの属国として暮らしていく」という宣言に他ならない。
この宣言を表明し続けないと日本は成立しないと考えるなんて、それこそ自虐史観だ。
トランプになったら米軍が日本を出ていく?
大変に結構な事じゃないか。
米軍が去り、日本が「占領下」からようやく解放されるのなら、祝日にしてもよい位の喜ばしい日となる。
その時こそ、「戦後レジームからの脱却」が達成される瞬間です。
私は確信しているが、トランプら新たなアメリカ指導部は、日本から米軍を撤退させる事はしないでしょう。
日本を属国にする事でたくさんの利益を得ているのに、撤退するはずがない。
世界史を見ると、外国軍が撤退するのは、その国で独立運動が盛り上がった時だけです。
日本では「愛国者ぶっている売国奴(安倍晋三など)」が過半数を占めていて、独立運動が盛り上がっていません。
アメリカの洗脳政策に、見事にはまりこんでいる。
だから、このままなら米軍は日本から去らない。
それは祝福ではなく、悲劇です。
アメリカが行ってきた洗脳工作が見事に機能している実例は、沖縄で米軍の基地建設に反対する活動家に対して「土人」と発言した機動隊員への反応に現れていますね。
大阪府知事の松井一郎らは、驚くことに、その機動隊員を「ご苦労さま」とねぎらった。
「これ以上日本を汚す外国軍よ、出ていけ」と言っている人々が、土人という植民地支配下の現地人みたいな言葉で呼ばれ、そう呼んだ者がねぎらわれるなんて凄いぞ。
松井一郎には全く自覚がなさそうだが、彼のした事はこう言ったのと同じです。
「私はアメリカに忠誠を誓っています。
私はアメリカを批判する人々とは違います。
あいつらは土人という未熟な未開な人々ですよね。
米軍は素晴らしいし日本を守ってくれている。
それをしっかりと教育しなければ。
ええ、彼らは教育対象だし、逆らうなら弾圧対象です。」
土人という言葉は、明確に差別・侮蔑用語です。
さらに、植民した者(征服した者)が現地人を呼ぶときに使う事が多い。
それを受け入れるということは、そう呼ばれた者が下等で野蛮な、矯正すべき人間であることを認める事である。
私は安倍政権や松井氏などを観察していて、「この人達は、沖縄県民を二級市民と見ているのではないか」と思わざるを得ないのです。
同じランクの人間と見ている感じがしない。
この異常な価値観は、沖縄がかつて琉球という独立国だった歴史背景や、沖縄が戦後にアメリカ軍の支配下に長く置かれた事情も影響していると思う。
ぶっちゃけた話、日本政府は一度(日本が敗戦し、沖縄を特別な米軍領土と認めた時に)、沖縄を見捨てた。
それ以来、沖縄は「日本からアメリカに捧げた貢物」になってしまった。
この歴史を受け入れているからこそ、アメリカ軍が沖縄で非道なことを繰り広げても、それに無頓着でいられるのだ。
私のように「沖縄の人々も対等な日本人である」と考えていたら、沖縄が叫んでいる「これ以上、堪えられない。アメリカ軍を何とかしてほしい」との悲鳴に心を動かされるはず。
この悲鳴を黙殺できる感覚は、普通ではない。
アメリカの洗脳工作により、「米軍は神聖な冒してはならない存在である」「沖縄は実質的にはアメリカ領土である」と、松井一郎らは信じているのでしょう。
なぜか日本では、保守派とか愛国者を自称する者に、米軍の肩を持つ者が多い。
「外国から来た駐留軍にずっと居てほしい」という愛国者がいるなんて、普通の国では考えられないことですよ。
戦後日本に特有の独特の世界観を持っている人々なのですが、世界史的な視点で見るならば、こうした者達は騙されている悲しい人々です。
いま安倍政権はロシアと交渉して北方領土を返してもらおうとしています。
これは上手くいきませんよ。
ロシアはずっと、「日本から米軍が居なくなったら、誠実な外交交渉をします」と言っている。
この立場は私には理解できる。
安倍政権みたいなアメリカから強く要請されたら何でもしちゃう政権だと、信用できないもの。
米軍が我が物顔で闊歩している国が、それをいつまでも許している国が、「独自の外交をできます」と言っても、説得力はゼロです。
日本人の私が、「安倍晋三らは、日本人よりもアメリカ政府を見ている。いざとなったら日本を裏切る」と思っているのだから、ロシアはもっとそう思うでしょ。
「色々と言っているが、いざとなればアメリカの言いなりだろ」、これが世界の指導者たちの常識だと思う。
日本政府の行う、「TPP丸飲み、先行批准」や「核兵器廃絶への反対票」を見るだけでも、それは十分に分かりますよ。
そろそろ日本はアメリカから独立しよう。
繰り返しになるが、それこそが「戦後レジームからの脱却」だ。
アメリカ大統領選では、オハイオ州をとる者がいつも勝利していて、そこが重要な州とされている。
私が発言に共感しているアーサー・ビナードさんは、オハイオ州の出身だがこう言っていた。
「オハイオ州の人々は、世界や日本の事なんて考えず、オハイオ州が良くなる事を考えて投票している」
これは、とても自然な態度だと思う。
アメリカ大統領が誰かで、日本の状況が変わるなんて、不自然だ。
アメリカ大統領は、「日本に良い政策をする人」を基準には選ばれてない。
そんな存在に重きを置かず、日本の政治は日本に住む皆が動かしていけばいいんだよ。
ずばり本音を言うが、多くの日本人が「トランプが大統領になった。どうなるのだろう?」と右往左往する姿を見て、バカバカしくて仕方ないのです。
日本の行く道は、自分たちで決めればいいだけじゃない。
私には確信があるのだが、トランプは日本から米軍を撤退させたがらないし、駐留経費をもっと負担しろと日本に要求してくる。
日米貿易や経済協力についても、日本に譲歩を求めてくるだろう。
TPPどうこうよりも、日本から搾り取る政策をとってくると見ています。
で、問題なのは、安倍政権だと口は達者なので色々と詭弁を弄するだろうが、アメリカに譲歩しまくるのが明らかな事です。
このままだと、日本の未来は暗い。
アメリカに正面からきちんとものが言える政党が、政権をとる必要がある。
やはり最有力なのは共産党でしょう。
民進党は、自民党よりはましだけど、アメリカに弱いのは一緒だからねー。
ドナルド・トランプには、弱者への配慮も、他国への共感もない。
それは発言から明らかです。
彼は生活苦にある白人労働者たちから支持されて当選したが、本質的に労働者や弱者に関心のない人です。
それを見抜けず投票した人々は、これから「騙された」「裏切られた」と思う日々を送ることになる。
アメリカはすでに斜陽の状態なのに、トランプという我儘で未熟な人物をトップに据えてしまった。
アメリカ国民はこれから4年は苦しみを味わうでしょうね。
ただしトランプは経営者として有能らしいので、国民の暮らしは低迷しても、経済指標だけは良くなるかもしれない。
業績や売上は伸びて、経営者や株主は大金を手にするが、一般社員はほとんど給料が上がらず重労働を強いられる。
企業でいうとこんな状態になると思う。