なでしこジャパンがW杯出場を決めた
アジアカップ第3戦の感想
(2018.4.16.)

女子サッカーのアジアカップが開催中ですが、4月13日に行われた第3戦で日本はオーストラリアと1対1のスコアとなり、グループリーグを突破しつつW杯への出場権を獲得しました。

いや~、安堵しました。
女子サッカー関係者および女子サッカーを応援してきた皆さま、本当におめでとうございます。

とりあえず、2016年のオリンピック出場を逃して以来続いてきた日本女子サッカー界の下降が止まり、水平状態になりました。
ここからは上昇局面に転じられるかの勝負になりますね。

オーストラリア戦では、スタメンを見た時、隅田さんが外れていたから「お、いけそうだ」と思いました。

前回の記事に書きましたが、私はスタメンのうち隅田さんと市瀬さんが実力的に通用してないと思っていたし、「そこが穴に(弱点に)なってる」と見てました。

思い返すと、高倉体制になってからのなでしこジャパンは、昨年まではメンバーとポジションの変更がありすぎて、チームとしてばらばらで穴だらけでした。

「このままではやばい、やばすぎる」と深刻に心配したから、自分なりに精一杯の感想や提案を書きました。

嬉しいことにその後、私が高く評価する選手たちが代表に集まり、スタメンも改善されてきました。

2月の記事では、『私の考えるスタメン構成』と銘打って、私が実力者と認める選手たちを挙げて「この方々をスタメンにしようよー」と提案しました。

本当に感謝してますが、オーストラリア戦では市瀬さん以外はこの提案通りになっていました。

自分が信頼している選手が10人もピッチにいるから、当然ながら期待するし、相手が強いのを自覚しつつも安心感がありました。

オーストラリア代表は、いまアジアでは最も世界ランキングで上位だし、W杯の優勝候補とまで評されています。

そんなチームが相手でしたが、私は試合前に「なでしこジャパンはチームとして仕上がってきている。隅田が外れて猶本か宇津木が先発すれば、必ず良い勝負ができるはずだ。さらに市瀬が外れて高木が先発したら勝てる可能性も十分ある。」と考えてました。

結果的に私から見たら半分だけの改善でしたが、この効果は大きかったですね。

ボランチが宇津木さんに替わったことで、守備に粘り強さが出たし、陣形全体のバランスが取れました。

高倉監督になってから一度も体現できなかった『粘ってしのいで自分達の時間がくるのを待つタフなサッカー』が、オーストラリア戦では出来ていました。

これって、かなり重要な一歩だと思います。
強豪国を相手にする時には絶対に必要なスキルだから。

高倉監督をはじめ、多くの人が手応えを感じたのではないかな。

私の見るところ、市瀬さんがまだ弱いんだよなあ。
だいぶ動きが良くはなってきたんですけどね。

この選手は、マークしてる選手から目を離し裏の(背後の)スペースに走られて、そこにパスが出て自分が置いてけぼりになるという、CBが一番してはならないミスをしょっちゅうします。

あれを繰り返している限り、代表に相応しいCBとして私が認める日は永遠に来ません。

オーストラリア戦でも1回あったでしょ。
油断していて裏に走った選手に全くついていけず、大ピンチを招いていました。

右SBの清水が俊足を活かして戻り、身体を投げ出してシュートを止めたから失点にならなかったけど、あれは完全に1点を失う状況でしたよ。

この試合で、清水さんは素晴らしいカバーリングを続けていて、何度もピンチを救っていました。

清水さんの代表入りを求めていた私としては、とても誇らしい気分でした。

あと、右サイドMFで出場した中島さんも、地味ながら素晴らしい動きをしてました。

運動量がとても多く、休みなく集中してプレイを続けていました。

得点した阪口やアシストをした長谷川に目がいく人が多そうだけど、オーストラリア戦のMVPは中島と清水だったと思います。

粘りの守りを続けて相手が疲れるのを待ち、少ないチャンスで得点を決めるという、見事な運びで日本は先制点をとりました。

あのままリードを守れれば最高でしたが。失点して1対1で終了となりました。

日本の失点場面は、右サイドで清水がボールを持つ選手と1対1になってましたが、そこに相手選手が寄ってきて2対1の数的不利になりました。

あれは、近くに居た宇津木が近づいてサポートしなければいけなかった。

宇津木が早くに危険を察知して寄っていれば、2対2の状態で守りきれました。

さらにシュートをGKの山下がこぼしちゃったんだよねー。
ミスが続いたから失点までいきました。

ちなみに宇津木さんは、寄せが遅かっただけではなく、寄せる際に両手を大きく広げて、道を通せんぼするみたいな構えをしました。

自分がペナルティエリア内にいてボールホルダーに寄せる場合、両腕を身体につけるのが基本です。
なでしこの選手って、それが出来てない人がチラホラいて、けっこうPKを取られるんだよね。

試合終盤で疲れてるのは分かるけど、チームの年長者がああいう雑なプレイしちゃ駄目。

なでしこジャパンはグループリーグを突破し、いよいよ次は準決勝ですが、チームの状態は上向いているし、かなり期待しています。

連戦の疲れからパフォーマンスが落ちる選手も出てくると思うし、途中交代で入れる選手をどうするか等、監督の采配がさらに重要になってきますね。

ここからは選手よりも監督の真価が問われるんじゃないかな。

このアジアカップで優勝すれば、その選手たちで来年のW杯に挑むという筋書きができます。

もし優勝すれば、今回のメンバーのほとんどがW杯に行くことになるでしょう。

そういう意味では、選手たちにとってもここからが本番ですね。

W杯の出場が決まったし、私はゆったりした気持ちで観戦させてもらいますよ。

正直、ここにきて急激にチーム作りが進みましたが、鮫島がCBをしたり、熊谷が招集外になってたり、櫨が前線でプラプラしてたり、隅田や中里という普通の選手がチームの中心みたくなったりしてたので、「これは駄目かも…」と匙を投げそうになった時もありました。

不死鳥のように蘇ったな、なでしこジャパンは。

ほんと、一安心です。
心臓発作で倒れた人に必死で救命措置をして、息を吹き返して起き上がったのを見て汗をぬぐい安堵のため息をつく。そんな状態です、今の私は。

なお、切迫した救命活動の中で、あけすけに選手の力量不足を指摘したりと、ずいぶん酷い事も書いたと思います。

だが、ほんとに必死だったんです。
放っておいたら死ぬ(W杯の出場を逃す)んじゃないかと診ていたから。

良かったよ、出場権を得られて。簡単な道じゃなかった。

そういう意味では選手達を誇りに思います。
まだまだ改善の余地があるし、このままじゃW杯で優勝できないけどね。


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