(『物語イランの歴史』から抜粋)
イランは、天然ガスの埋蔵量では世界2位、石油では世界5位である。
外国にとって魅力的な国である事は、間違いない。
アメリカは、クリントン政権時代の1996年に、『イランとリビアへの制裁法』を成立させた。
しかし日本は、石油輸入の87%を中東から行っている。
軽々しくアメリカに同調しない方がいい。
アメリカとイランの根強い不信の背景には、イランが「イスラエルの抹殺」を唱えることがある。
日本は、イランに対して、「イスラエルの抹殺は現実にそぐわない。イスラエルとパレスチナの共存を認めた方がいい。」と強く訴えていくべきだ。
イランが信頼されない理由の1つには、イスラム過激派への支援もある。
イスラム過激派が台頭する背景には、中東諸国の「貧富の格差」や「政府の腐敗」がある。
イスラム勢力は、社会福祉を貧困層に供給することで、支持基盤を拡大してきた。
イスラム過激派の力を減じたいならば、中東諸国の問題に目を向けて、その改善のために協力する必要がある。
イランを友好的な国にするには、封じ込めによって経済を悪化させない方がいい。
経済が悪化すれば、保守派が台頭する。
イランには、外国に侵略する気配はまったく感じられない。
歴史的に見ても、近現代においては、イランが他国に侵略した事はない。
イランを、「悪の枢軸」のイメージで捉えてはいけない。
イラン政府には、外国をテロの対象にする姿勢は見られない。
イラン人がアメリカに反感を抱くのは、アメリカにも責任がある。
アメリカは、革命後のイランを「狂信者の国」「テロ支援国家」と蔑んできた。
2002年のソルトレーク冬季五輪でも、アメリカのテレビキャスターは、イラン選手団の入場時に「悪の枢軸からの唯一の参加国です」と言ってのけた。
日本は、イランに援助をして信頼関係を作り、時には批判できるスタンスを確立すべきである。
イラン人に「日本に何を望むか」を尋ねると、「経済・技術の援助をしてほしい」との声が圧倒的に多い。
イラン人たちは、日本人がイラン人を意識するよりも、はるかに日本の事を考えている。
イランのどこでも、「日本はとても良い」との言葉を耳にできる。
イランには、日本への強い共感がある。
(2014年2月23日に作成)