(『中東戦争全史』山崎雅弘著から抜粋)
第2次中東戦争の戦死者と負傷者は、英仏が戦死32人、負傷者129人。イスラエルは戦死100人、負傷者700人だった。
エジプトは、戦死3000人以上、負傷者7000人以上だった。
エジプトは、軍事的には完敗だったが、スエズ運河を守りぬいたという政治的な勝利があり、ナセル大統領の威信は強固になった。
イスラエルも、膨大なソ連製の兵器をエジプトから奪取し、チラン海峡の港が国連の管理下に入ったため、チラン海峡の封鎖もなくなった。
イスラエルにとっても、収穫があった。
対照的に、英仏両国は失ったものが大きかった。
国際的な威信は低下し、スエズ運河の強奪も失敗した。
この戦争は、地球を支配する大国が、英仏から米ソに移行した事を物語る出来事であった。
これ以降、中東情勢は、米ソの思惑に翻弄されていく。
(2014年2月25日に作成)