第一次中東戦争後に、クーデターが起きて軍が政権を握る

(『シリアとレバノン』小山茂樹著から抜粋)

シリアは1946年にフランスから独立したが、多くの国民は自らを宗派や民族で認識し、国民意識は希薄なままだった。

シリアでは、各地が自給自足の体制をとっていて、自己完結していた。

このような国を統治したのは、大都市出身のベテラン保守的政治家だった。

彼らは名門出身のスンニ派で、概して現状維持の主義だった。

そして、ナショナル・ブロック党に属する者が多かった。

イスラエルの独立の伴う、1948年の第一次中東戦争では、シリアはアラブ側で参戦したが敗戦した。

この敗戦は、シリア政治を混乱させた。

49年には連続して3回のクーデターが起き、軍部が政権を掌握した。

この時に権力を持った軍人たちは、下層階級の出身者が多かった。

このクーデター後、マイノリティ社会からの軍人志望者が急増し、シリア軍の中でマイノリティ・グループの力が強くなった。

マイノリティの軍への進出の背景には、急速な学校教育の普及があった。

1940~50年代に、全国で学校は急増した。

士官学校への入学は、中卒の資格が必要だった。

中学校が増えて中卒者が増加した結果、士官学校の入学生は上層階級出身者から下層階級出身者へと一変した。

(2016年2月4日に作成)


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