タイトル水滸伝⑤
武松など

(以下は『新・水滸伝』吉川英治著からの抜粋
2026年3月24日~4月7日に作成)

🔵武松は故郷に帰る途中、虎を殴り殺す

人を殺して逃げた宋江が、柴進の屋敷に匿われてから数日後。

宋江は、柴進の食客になっている男に絡まれた。

この男は武松といい、故郷の清河県で暴れてこの屋敷に逃げ込み、1年ほど暮らしていた。
おこりの持病持ちである。

柴進が駆け付けて仲裁したので武松は大人しくなり、相手が有名な及時雨・宋江だと知ると武松は恐縮して詫びた。

このあと宋江と武松は意気投合し、義兄弟の約を結んだ。

それからしばらくして、武松は「もうほとぼりも冷めた頃ですし、故郷にいる兄がどう暮らしているか気がかりなので、一度見てきます」と言って、柴進の所を去った。

武松が陽穀県まで来ると、景陽岡という峠に近頃は人食い虎が出ているという。

危ないと止められた武松だが、酒に酔った勢いで夜にその峠をこそうとし、頂上に着くと休憩して寝入ってしまった。

大虎が現れて目を覚ました彼は、格闘の末に虎を殴り殺した。

夜明けに彼が峠を降りて、住民に虎を殴り殺したと話すと、大騒ぎになった。

虎の死体が回収され、県の役所からも役人が大勢来て、武松は駕籠に乗せられると役所へ運ばれた。

県知事から感謝状が渡され、一千貫の賞金も与えると言われた。

「そいつはありがたいこってすが、虎一匹を殺したのはたまたまです。
賞金は退治に骨折ってきた猟師さんや、虎に食われた遺族で分けて下さいや。」

武松のさっぱりした態度に県知事はいたく感心し、就職をもちかけた。
「むむ!見上げたものだ。武松とやら、お前を県の都頭(歩兵長)に取り立てたいが、どうじゃ?」

「じつは清河県に住む兄に会いたくて戻ってきた途中でして」

「清河県なら隣県ではないか。
では書記よ、今日から武松を都頭に任じる。さっそく手続きしなさい。」

🔵武松は兄夫婦と暮らすことに

就職の決まった武松は、宿所も用意してもらった。
その数日後に近くの公園で散歩していると…。

その公園で饅頭を売る男が、「あっ、武松じゃないか」と寄ってきて抱きついた。

武松は相手を見ると笑顔になった。「兄さんじゃないか。どうしたんです、こんな所で。」と驚きつつ尋ねた。

「女房をもらって引っ越したんだよ。こういうわけだ」と、兄は説明し始めた。

武松の兄・武大は、身体がとても小さく奇形で、醜男でもあった。

そのため子供の時分から近所の子供たちに虐められたが、いつも武松が怒って相手をこらしめていた。

この関係は大人になってからも変わらず、武松がいつも守ってきた。

ところが去年、武松がいない間に、武大は思いがけなく女房をもらった。それも大変な美人である。

この女は潘金蓮(はんきんれん)といい、清河県の大金持ちの家に買われた奴隷だった。

家の主人が潘金蓮に言い寄るので、金蓮がその家の妻に告げたところ、主人は妻にこっぴどく怒られて家人たちからも笑われた。

これを恨んだ主人は、報復として金蓮を町で一番の醜男で皆からバカにされている武大の女房に押し付けたのである。

ところが武大はお人好しなので、金蓮が嫁に来たのを喜び、飯の支度から買い物まで自分がして面倒を見た。

これが町中の話題となり、「あの小男が、あのちんちくりんが」 と騒がれバカにされたので、武大はついに生まれ故郷を逃げ出し、隣県に来たのだった。

「兄さん、そいつはご苦労だったね。
だがそんな別嬪を女房に持ったなら一生の得だよ。」

「そうだよ武松、私もそう思っている。
金蓮はまだ若く、お前の妹みたいな年齢だよ。」

再会した兄弟は、連れ立ってよもやま話をしながら、武大の家に向かった。

歩いていると、すれ違う人たちが武松を見ては、「あれが虎退治の豪傑だよ」と囁き合う。

それを見た武大が言った。
「虎退治したのが、お前とはなあ。俺も鼻が高いで。」

武大の家に着くと潘金蓮が奥から出てきた。
その男を蠱惑するような艶姿に、武松は「これでは世間から妬かれたり騒がれるのも無理はない」とドキッとした。

武大はさっそく妻に弟を紹介した。

「ほら、お前にもしょっちゅう話してたろ。これが弟の武松さ。」

「ま。こちらが弟さんですの。」

「初めてお目にかかります。兄はたいそう幸せらしく、俺も嬉しくてたまりません。」

「金蓮、お前も聞いているだろう虎退治の話を。あれをしたのは武松なんだぜ。」

「へえ、いま大人気の都頭さんは、弟さんだったんですか。」

金蓮は話をしながら、兄と似ておらず長身で筋骨隆々の武松を見て、ひどく惹かれた。

「武松さんはおいくつですの?」

「25ですよ、ははは」

「あら。私が23だから、じゃあ私と2つ違いですね」

その晩、武松は兄夫妻にもてなされた。

兄夫婦が「下宿なんてしてないで、この家で一緒に暮らそう」と言うので、武松は下宿先を引き払い、「今日からご厄介になります」と挨拶して一つ屋根の下で暮らし始めた。

🔵潘金蓮に口説かれる武松

武大は毎日、荷を担いで饅頭売りに出かける。
武松も県役所へ毎日出勤するが、武大よりも出るのは遅く、帰りは早い。

自然、潘金蓮と武松は家で2人きりになる時間が多くなった。

すると金蓮がめっきり綺麗になりだした。
そして武大は放っておいて、武松の世話を焼き始めた。

武松が夕方に帰ってくると、風呂に入れば金蓮が背中を流しに現れ、風呂から出れば酒の支度もする。

「いや嫂(ねえ)さん、兄さんが帰ってから一緒に飲みましょうぜ」

「夫は今夜は遅いのよ。二人で飲みましょうよ。」

武松は彼女の誘いに乗らず、慎んでいた。
だが金蓮の思いは募るばかりだった。

冬になり、朝から大雪のある日。
雪なので饅頭売りに出たがらない武大を金蓮は無理に送り出し、帰りが遅くなるようわざと2つ3つの用事も言いつけた。

そして料理を用意して武松が帰るのを待った。

その日は兵営祭りの日で、武松の勤務は午前中だけ。
早めに赤ら顔で帰ってきた。

武松は兄の饅頭売りは休みだと思っていたらしく、
「兄さん、みやげを買ってきた。一杯飲ろうや」と家に入るなり兄を呼んだ。

ところが出て来たのは金蓮だけで、いつもよりもさらにまめまめしい。

金蓮は酒肴を並べると言った。
「ねえ、私にもたまには兄さんにするように優しくして下さらない?
今日は飲ませずにはおかないわよ。」

「嫂さん、どうかしてますね今日は」

金蓮は手酌で酒を何杯も飲むと、素早く武松へ姿勢(しな)だれかかった。
ねっとりと甘えかかる。

「わかんないこと?抱いてってば」

武松は彼女を抱えて立ち上がると、彼女を高々と持ち上げてから床に投げ捨てた。

「たいがいにしやがれ、この女奴隷め!」

金蓮は武松を睨むと、「よくも恥をかかせたわね!こんなに親切にして可愛がってあげたのに。よくも酷い目にあわせたわね」と言って、台所の方へ行ってしまった。

夜になって武大が帰ってくると、金蓮は門口へ走り出て泣いて見せた。

「どうした。何かあったのかい?」

「あんたの弟がへんな真似をしたのよ。ごらんなさい、私のこの髪を。あんたが帰ってきたから、みだらな真似をされずにすんだけど」

武大は動揺したが、すぐに笑った。
兵営祭りだから弟は飲んで帰ってきて、少し冗談でも言ったのだろうと考えた。

「弟は明日になったら頭をかいて謝るよ。
お前もいつまでもつンつンしているのはおよし。」

その晩、布団に入ると武大は激しく金蓮から求められた。
金蓮の媚叫や狂態が余りなので、武大は階下で寝ている弟に聞こえないかとビクビクした。

翌日、武松は荷物をまとめて出ていき、下宿生活に戻った。

🔵武松は仕事で長旅に出ることに

それから40日ほど経った頃、武松は県知事に呼ばれた。

知事は辞令を取り出して言った。
「兵を一小隊つれて、首都・開封まで行ってくれ。
この公文書を役所へ届けつつ、私の親戚にこの宝財が入った箱を届けてほしいのだ。」

開封に行ってくるには、2~3ヵ月はかかる。

武松は出発する前に、あれ以来行ってない兄の家が気にかかるので、久しぶりで訪ねた。

行くと武大はおらず、金蓮だけが居た。

「嫂さん、いつかはすみませんでした。いくら酒の上でもね」

「もういいわよ、そんな過ぎたこと。まあお上がんなさい、夫もじきに帰るでしょう。」

「嫂さん、これはほんの手土産ですが」

「あら、私にまで。すみませんね」

武松が手土産を持って、照れ臭そうに訪ねてきたのを見て、金蓮はすっかりはき違えてしまった。
私に未練があるのだと。

金蓮はあたふたと鏡台へ向うと、化粧と衣装を凝らした上で戻ってきて、妖艶な媚びを始めた。

武松はまた始まるのかと気が重くなったが、そのうち兄が帰って来た。

弟を見た武大は大喜びである。
「おお弟よ、よく来てくれたな。どうしたい近頃は」

「兄さん、実は2~3ヵ月のお別れです。公命で開封まで行って来ます。
どうも兄さんに気まずい思いをさせてるようで、気がかりでした。いつかのことは堪忍しておくんなさい。」

武松が頭を下げたので、さすがの金蓮もちょっぴり沈んみりした様子。

しばしの別杯というので、その夜は3人で仲よく杯を交わした。

🔵金蓮が西門慶と不倫、武大の死

武松が出発してからしばらく経ち、春が訪れて山の雪も解け始めたある日、金蓮は門口へ出ていた。
ひさしの簾(すだれ)が外れたので掛け直していたのである。

簾を掛けている間に、釘が弱っていたのか一方がバサーと落ちた。

金蓮が「あっ」と簾を避けてよろめいたところ、通りがかりの男が「危ない」と言って彼女の体を支えた。
2人は目が合うと、なんとなくニッと笑い合った。

「すみません、とんだ粗相をして」

「いえ、なあに」

ほんの行きずりの出来事だったが、男は感じるものがあり、すぐ隣りの茶店に入った。

そして茶店の主人の王婆さんから、金蓮がどんな女なのかを聞き出した。

この男は、老舗の生薬問屋の主人で、苗字は西門という珍しい姓で、名は慶である。
32歳の男前で、金持ちの遊び人。カネの羽振りが良いので有名だった。

いっぽう茶店の王婆さんは、かなりのやり手で、裏では妾の周旋やあいびき宿もしていた。

西門慶が金蓮に目をつけたと知った王婆さんは、カネをもらって仲介役を買って出た。

西門慶は金蓮を口説いて肉体関係を持ち、王婆さんの店の2階で密会を重ねる日々となった。

彼らの住むこの町には、鄆哥(うんか)という13~14歳の小僧がいた。

彼の父は戦傷で寝たきりで、彼は町で果物を売り歩いて家計を支えていた。

ある日、鄆哥は客から西門慶と金蓮が王婆さんの店で不倫していると聞き、それをタネに金を儲けろとけしかけられた。

それで王婆さんの店に行き、西門慶の旦那に会いたいと言ったところ、王婆さんは「この野良犬め」とビンタを食らわせて往来に突き飛ばした。

鄆哥はベソをかきながら「見てやがれ、くそババア」と言って逃げ出すと、武大がいつも饅頭を売っている公園へと向かった。

鄆哥が不倫の件を武大に話したところ、武大は最初は信じなかった。
老舗の大旦那がまさかウチの妻となんて、と。

しかし鄆哥が強く言うので、現場に踏み込むことにした。

武大が王婆さんの店の2階に行くと、不倫の最中だった。

怒った武大が西門慶の胸ぐらをつかんだところ、西門慶は長身で武術もやっており、武大のみぞおちをばっと蹴とばした。

「ううむ...」と武大は体を丸く縮めて倒れてしまった。

王婆さんと金蓮が、武大を金蓮の家に運んで寝かせたが、武大はそれきり起き上がれず寝たきりの状態になった。

すると金蓮はまた、王婆さんの家で西門慶と密会するようになった。

放置された武大は悔しさで泣きながら、「見てろ、俺が死んでも弟がいまに帰って来る。武松よ、息のあるうちに帰ってきてくれ、この仇をとってくれ」 と独り叫んでいた。

金蓮と西門慶は「このままではまずい」と危機感を持ったが、王婆さんが悪知恵を働かせた。
「西門の旦那、おたくは薬問屋だから砒霜(ひそう、砒素を含む)もおありでしょう。その一服を金蓮さんにお預けすれば上手くやりますよ。」

武大は劇薬の砒霜を飲まされ、殺された。

🔵武松は兄の死因を調べる

武大の死を聞いて役所から検死に来たのは、隠亡頭の何九叔(かきゅうしゅく)であった。

西門慶は何に大金を渡し、うまく処理するよう頼んだ。

何は死体を見て「これは殺人だ」と気付いたが、このまま訴え出ても役人たちと太いパイプを持つ西門慶に揉み消されると思い、妻の助言に従って武大の遺骨の一片を証拠として持ち帰った。

武大の葬式が終わり、それからしばらくすると、武松が陽穀県に帰ってきた。

武松はさっそく兄の家へ挨拶に来たが、入口から土間へ入ってみると、祭壇に「亡夫・武太郎之位」と紙位牌が貼ってある。

全身がゾクッとした彼は、奥へむかって大声で言った。
「嫂さん、あっしだ。武二郎(武松)です。いま旅から帰って来ましたよ。」

金蓮は武松の前へ出てくるやいなや、泣いてみせた。
「あの人は夜半に胸が痛いと言い出し、私は必死に看病したけれど、とうとう逝ってしまったんですよ。
私もひとり残され、どうしていいのか分かりません。」

「どうも夢のようだな。なんとも変だなあ?あんなに達者な兄が胸の痛みぐらいでコロリと逝ってしまうなんて」

武松は白装束に着替えて武大の家に戻ってくると、武大の位牌に酒をそそぎ、声を放っておいおいと泣いた。

翌日、武松は検死を担当した何九叔の家を訪ねた。

「九叔、すまねえが、ちょっとその辺まで顔を貸してくれまいか」

九叔は心のうちで「さては」と、すぐに合点した。
それで西門慶からもらい手を付けずにいた大金と、持ち帰っておいた武大の遺骨を懐に入れて、「どうもお待たせしました」と連れ立って外へ出た。

飲み屋に入った2人は、個室を指定して、2人きりで飲み始めた。

少しすると、武松は懐に手を入れて隠し持っていた短剣を取り出すや、いきなり卓へ突き立てて言った。
「九叔、白(しら)を切ると承知しねえぞ!」

「とんだごあいさつですね、都頭さん。
武大さんの死因の件でしょう?」(※都頭は歩兵長のこと、武松の役職)

「やっ、それじゃあ、やっぱり」

「まあ都頭さん、気を落着けて、こいつをご覧下さいよ」

九叔は大金と遺骨を取り出して卓に置いた。
その人骨は紫ばんだ斑点をおびていた。

「このカネは、生薬問屋の西門慶から口塞ぎでもらったものです。

武大さんの死体は一見して病死じゃあなかった。
苦悶の形相で、鼻や口に吐血した塊が残っていたし、五体は紫斑が点々です。
砒霜を盛られたなと、すぐに見当がつきました。

でも不審を申し立てれば、西門慶は役所でも顔が広いし賄賂を使って揉み消してしまう。
それで後日の証拠に、骨の一片をこっそり盗んでおいた次第です。」

「いや、すまなかったな」
武松は深く頭を下げて、短刀をしまった。

武松は確認した。
「つまり、下手人は嫂の金蓮と西門慶なんだな?」

「それと隣りに住む王婆さんですよ」

「もっと動かぬ生き証人は誰かいめえか」

「果物売りの鄆哥っていう小憎に訊くといいでしょう」

ほどなく2人は店を出て、貧民街にある鄆哥の家へ向かった。

鄆哥が果物売りを終えて帰ってくると、2人のおじさんが佇んでいたので、
「やい、なんだって人の家の覗いてるんだよ。おや、九叔の親方さんだね」

「鄆坊、こちらは都頭の武松さんだ。
お前に訊きたいことがあるそうだから、正直にお話ししろ。」

「あっ、あのことだな」

武松が銀子5両を渡すと、鄆哥はすっかり喜んで知っている事を喋った。

この日、武松は何九叔と鄆哥を連れて県の役所へ行き、知事に逐一を訴え出た。

大いに驚いた知事は役所の高官を集めて会議した。
ところが皆が西門慶と腐れ縁の関係にあり、「さあ?」と生返事。

知事もきれいな身ではなく、結局、武松の訴えは却下されてしまった。

この話を聞いた西門慶はただちに役人にカネを配ったので、いよいよ役人は取り合わなくなった。

🔵武松は金蓮と王婆さんに自白させ、金蓮を殺す

兄が殺されたと、証人や証拠と共に訴え出たのに却下された武松は、やり場のない怒りを沸らせた。

明日が兄の四十九日という日、武松は動いた。
従卒3人を連れて買い物に出ると、供え物などを持ちきれないほど買いこんだ。

翌日、彼は従卒を連れて兄の家へ行くと、「嫂さん、こんちわ」と声をかけて入った。

出てきた金蓮はどきっとしたが、うまく扱ってやろうと考えた。

武松は兄の祭壇に様々な供え物をすると、「嫂さん、今日は四十九日だ。近所の衆にもお礼を言いたいんだ。」と告げた。

「あら、お礼なら私がしてあるのに」

「弟の俺も黙っておけませんやね。この家に皆を招きましょう。
おい従卒、準備にかかれ」

武松はそう言って従卒たちに食膳の支度を命じると、自分は近所の人たちを引っぱってきた。

近所の人たちは、皆が西門慶と金蓮の不倫に気付いており、どうなることかと内心ヒヤヒヤである。

食事が始まると、武松は自ら杯をすすめてしきりにくだけて見せるが、誰も浮いてこない。

武松は突然に「皆さんの中で文字が書けるのはどなたですか?」と訊ねた。

酒屋の胡正が文字が書けると知った武松は、「ご苦労ですが、書き役をお願いします」と言って、筆墨と紙を突きつけた。

とたんに武松は左右の袖をたくし上げ、短剣を取り出して鯉口を切ると、金蓮の襟元を掴まえた。

「皆さん、どうか、じっとそのままに。
金蓮、よくもおれの兄貴に砒霜の毒を盛って殺しやがったな!」

「ちっ、お離しよ、この気狂いめ!
何さ!人聞きの悪い」

武松は金蓮を押し倒すと、短剣のヒラで女の頬を2つ3つ叩きつつ言った。
「まっすぐに言うんだ」

金蓮は悲鳴を発して、「言っちまうよ。言うから堪忍して」と自白しだした。

王婆さんは歯がみしたが、もうどうしようもない。
とどのつまり、王婆さんも一切を白状するしかなくなった。

2人の自供を胡正が筆記した。

武松は入念だった。
出来上がった自供書に2人の爪印を捺させ、署名させた。

さらに立会人として、そこにいる近所一同の署名も乞うて入れた。

ここまで済ますと、武松は金蓮の胸を刺して殺し、首を切り取って武大の祭壇に供えた。
「兄貴、見ていなすったか!」

だが武松はすぐに立ち上がり、金蓮の首を従卒に渡して布に包ませながら言った。

「皆さん、とんだものをお見せしてすみません。
手前はこれから用達しに出ます。すぐに戻りますから、ここで休んで居ておくんなさい。」

もう近所一同は気も魂もない顔で、嫌と言う声もなかった。

🔵武松は西門慶と決闘し殺す

武松は従卒たちを番人として兄の家に残すと、金蓮の首を抱えて西門慶の店へ向かった。

「ええと、西門慶さまのお店はこちらさんですね。大旦那はおいでですか?」
武松は店に入ると尋ねた。

出てきた番頭は武松の血臭い風態におののいたが、「大旦那は商用でして、行きつけの獅子橋のお茶屋へ出かけております」と答えた。

武松はすぐさまそのお茶屋へ向った。

「ごめんよ。西門慶の旦那はどちらのお座敷においでかね」
お茶屋に入ると武松は尋ねた。

女中に案内されて2階へ上がると、何人もの歌妓や女中に囲まれて客2人が上機嫌ではしゃいでいた。その1人が西門慶だった。

武松が部屋に入ると、それを見た西門慶が「やや!武松だな」と驚いた。

「ふふふ、ひどい驚き方じゃねえか」

「なにしに来やがった!」

「てめえの好きな肴を持ってきたんだ。
それっ、この世の名残りに会っておけ」

潘金蓮の生首を包みから出すと、西門慶に目がけて抛り投げた。

歌妓や女中は逃げ出し、もう1人の客は腰を抜かした。

武松は短剣を抜いて西門慶へ迫った。

腹を刺そうとしたところ、西門慶の片脚が長く伸びて武松の顎を一蹴した。

武松はよろめいたが、「味な真似を」とばかりに短剣の突きをくり返す。

しかし又も西門慶の一蹴が成功し、短剣がどこかへ飛んでいった。

だが武松は素手のほうが強い。
西門慶をつかんで持ち上げると、往来に面する欄から投げ落とした。

頭から落ちた西門慶は即死。
武松は金蓮の首を抱えて往来へ跳び下りると、西門慶の首を掻いて、2つの首を持って走り去った。

🔵自首して出る武松

武松は武大の家へ戻ると、霊前に2つの首を供えて、「兄さん、これで成仏しておくんなさい」と泣きながら言った。

彼はずっと待っていた近所の衆に、
「とんだご迷惑をおかけして申しわけございません。ごらんのとおり兄の仇を討ち取りました。
手前は自首して出ます。この家の家財は全て、皆さんでお分けなすっておくんなさい。」と述べた。

そして王婆さんを自分で引っ立てて自首した。

武松は1ヵ月ほど牢に入れられたが、人々の同情が集まった結果、死罪にはならなかった。
彼の身柄は東平府に送られ、そこで判決を仰ぐことになった。

宋朝では、府は県の上位にある。
東平府のトップは陳文昭という人だった。

陳も武松に同情的で、判決は背打ちが40打、刺青を額に入れて孟州に流罪、と決まった。

これに対し王婆さんは悪質として死刑になった。

🔵護送される武松、追剥ぎ夫婦をこらしめる

小役人の二人が孟州まで武松を護送していくことになった。

出発したのは6月の初夏。

護送役の2人は言った。
「武松さん、孟州まで20日もかかる。道中は、人里離れたらなんでも気ままを言いなせえよ。」

2人は武松をいたわり、武松もまた2人に餞別でもらった物から持ち金まで、ことごとくを分け与えた。

3人は仲良く旅をして、孟州の手前まで来て、峠で一軒の居酒屋に入った。

ここで酒を飲んだ3人は、こんにゃくのように正体なく伸びてしまった。
酒にしびれ薬が入っていたのである。

この居酒屋は、旅人に毒酒を飲ませて殺し、持ち物を奪う追剥ぎが正体で、女の母夜叉・孫二娘と、亭主の菜園子・張青の夫婦が店主であった。

じつは武松は、兄が先日に毒殺されていたので警戒心があり、酒を飲んですぐに「はてな?この味は?」と感づいた。

それで飲むふりだけして、ぐたっと倒れて偽態した。

だから近づいてきた夫婦をなんなく叩き伏せた。

夫婦は泣いて懺悔し、花和尚・魯智深が店に来た時にも看破されて、こっぴどい目に あったと告白した。

張青が心底から謝ったので、武松も軟化した。
「よし助けてやるが、まず俺を護送してきた2人を早く手当しろ」

「でも武松さん、あの2人はあのまま逝かせたほうがいいんじゃありませんか?」

「どうしてだ」

「いまお話した魯智深は、二龍山の宝珠寺で楊志と共に山賊を率いているそうです。流刑地に行かずに二龍山へ行くなら、手前がご紹介しますよ。」

「いや、そんなケチな真似はしたくねえ。
俺が逃げたら、よくしてくれた東平府の陳文昭さまの落度になる。
それにあの小役人2人も、途中でなに1つ俺に辛くしなかった。
はやく毒消しを飲ませてやってくれ。」

これには張青夫婦も感動し、さっそく2人を蘇生させ、翌日にはお詫びの酒宴を張った。

🔵武松は頼まれて蔣門神を倒す

武松が孟州の流刑地に着いて、手続きが終わり牢獄内に入ると、囚人の1人が彼に言った。

「おい、新入り。最初に獄吏や監察にごあいさつのカネを渡したほうがいいぞ。
お約束の棒百叩きは、まともに食ったら血の泡を口から吹くんだ。」

「そうなのかい。俺は生まれつきへそ曲がりなんだ。
まあ、いいようにやってもらうよ。」

武松は、管営(牢獄の長官)の前に連行された。
そこには10人ほどの軍卒も控えていた。

「定めおかれた刑法の1つとして、牢に入る流人には百打の棒をくだす掟だ。
覚悟はいいか。」

「しっかりやってくんな」

「こいつ!」と、棒を持った軍卒が武松を打ち始めようとしたその時、なにを思ったか管営が「待て!」と止めた。

管営の側にいる24~25歳の若者が、耳うちして制止させたらしい。

百打は中止となり、そのまま武松は独房に入れられた。

思わぬ成り行きにぽかんとした武松が独房にいると、豪華な食事が運ばれてきた。

翌日からも豪華な料理が続き、酒まで来る。

不審に思って食事を運ぶ軍卒に聞くと、管営の息子、あの時耳うちした者が命じているという。

「そいつは一体誰なんだい?」

「金眼彪のあだ名を持つ施恩さまです」

「その施恩さんは、なんだって俺に好意を見せるんだ?」

すると扉が開いて入って来た人がある。
「そのわけは、この施恩からじかにお話しましょう。」

軍卒はあわてて食器箱を提げて立ち去って行った。

「武松さん、つまらん疑念をおかけしてすみません。あなたの名はとうに存じており、お人柄もしかと見届けました。
あなたへお願いがあるのです。」

「いったい何です。おっしゃってみて下さい。」

施恩は語り出した。

孟州には快活林という盛り場があり、そこは顔役たちがそれぞれ縄張りを持ち、子分を養っていた。

施恩はその縄張りの1つを持ち、子分も70~80人いて、縄張り内で働く者たちからつけ届けをもらっていた。
その収入は莫大で、少ない月でも銀子で200~300両。

この孟州に近頃、張という将軍が赴任してきた。

張将軍には蔣門神というあだ名の子分がいて、この男は大男で角力が上手く、えらくケンカが強い。

施恩は縄張りも自分の店も蔣門神に奪われてしまった。

「あらまし心得ました。ご安心下さい。
この武松は力ずくで非道を押し通そうとする奴を見ると、叩きつぶしたくなる性格です。」

そこに管営をする施恩の父も入って来て、
「伜は不肖な者ですが、有為な男と見たら助けてきた奴です。
これも縁でしょう。どうか伜をお見捨てなく、弟と思ってお叱り願います」と頼んだ。

こうして武松と施恩は義兄弟となり、施恩父子は武松を屋敷に招いて歓待した。

翌日、武松はさっそく蔣門神を訪ねて、決闘した。

蔣門神はこのところ女色と酒にすさみきり弱っていたから、武松の拳法に敗れて地面にはいつくばった。

「俺の言う3ヵ条を呑むなら、命だけは助けてやる。どうだ?」

「おっしゃっておくんなさい」

「第1は、この縄張りを施恩へ返上することだ」

「分かりました」

「第2は、盛り場の顔役をここに集めて、大衆の前で地に額をつけて詫びを言え」

「おっしゃる通りにいたします」

「第3は、ここを立ち退いて2度と孟州に面を出すな」

「異存はございません」

こうして施恩は縄張りを取り戻したが、もう武松は牢に入ることはなくなった。
自由に外出が許され、施恩の店に入り浸って酒を飲む日々となった。

🔵武松、罠にはめられるが逆襲する

秋に入ったある日のこと。

孟州の総督をする張蒙方の使いが、武松のところへやって来た。
張総督が会いたがっているという。

総督の屋敷へ赴くと、張は「武松よ、どうだ我輩の身辺に仕えて、軍人に戻る気はないか」と言う。

武松は誘いに乗り、「冥利です。犬馬の労もいといません」と答えた。

それから少し経った日、張総督の屋敷で仲秋の宴が開かれた。

張は自分の愛妾の玉蘭に酒をつがせていたが、下座にいる武松を見て、「武松、お前は酒好きだと聞いておる。玉蘭、大きい杯で武松に酌いでやれ」と命じた。

武松はすすめられるままに何杯も飲んだ。

張はたわむれて、「武松よ、もし玉蘭が好きになったら、そちの妻に娶(めあ)わせてつかわすぞ」 と言った。

「めっそうもない!」、武松の言い方が余りに真剣だったので、座の者たちはどっと笑った。

正直者の武松は皆の酒の肴にされているとも知らず、玉蘭が面白がって酌ぐままに 大杯を何度となく飲み干してみせた。

その日の深夜、さんざん飲んだ武松が自室で前後不覚に横たわっていると、「泥棒!」との声が聞こえた。

がばっとはね起きて、駆けていくと玉蘭が倒れていた。
彼女は「あっちです、曲者は」と指さして急き立てる。

武松がその方向の松林へ走り込むと、罠が張ってあってもんどり打って倒れた。

そして現れた無数の兵たちに縛られてしまった。

牢に入れられた武松が聞かされたのは、「総督の家で盗みを働き自室に隠していた。さらに玉蘭からも盗もうとしたが、ついに捕縛された」との、身に覚えのない罪状であった。

牢に入って40日ほどした日、牢屋付きの康という与力が彼にささやいた。

「施恩さんの父子が蔭ながらお前さんの身を案じ、役人達へ賄賂を渡して助け出そうとしているが、相手が総督なので難しいようだ。くれぐれも短気を出さないようにとの伝言だ。」

「ありがとうござんす。
しかし与力さん、総督はなんであっしを冤罪の罠に陥したのでしょう?」

「そりゃあ張蒙方・総督と配下の張・軍団長が、同じ一族だからだよ。
あんたが倒した蔣門神は、張軍団長の子分だった。蔣門神が施恩から奪った縄張りは、その稼ぎの何割かが張家へ流れていた。
それをあんたに断たれたんだから、巻き返しとしてあんたの生命を断ちにきたんだよ。」

これを聞いて武松は「俺はバカだった」と独り頭を叩いた。

ほどなく、武松は恩州の牢城へ送られることになった。

孟州を出発して3日目、武松と2人の護送役を尾ける3名の男が現れた。

「おいでなすったな」と気付いた武松は、道中の小便休憩中に襲ってきた3名の刺客と護送役2名を河に投げ飛ばすと、孟州へと急ぎ戻った。

孟州へ着くと、その晩に総督邸へ忍び込んだが、ちょうどその日は酒宴が行われて蔣門神や張軍団長も来ていた。

その酒宴が終わった深夜、張総督の夫妻、愛妾の玉蘭、張軍団長、蔣門神の5人が斬り殺された。
夜明けに発見されて大騒ぎとなった。

現場の白壁には血潮をもって「これをなせるは打虎・武松なり」と書いてあった。

総督と軍団長が殺されたとあっては、中央政府の威信にも関わる。
たちまち武松の逮捕令が広く全国に配布された。

🔵武松、二龍山へ落ちることに

逃亡した武松が身を寄せたのは、孟州の州境にある峠茶屋の夫婦、菜園子・張青と母夜叉・孫二娘であった。

「それ見なさい。あの時に俺たち夫婦がすすめたように二龍山へ行っていれば、こんな事にはならなかったのに!」と張青は嘆じた。

武松は薄く笑って、「だが兄弟、男は後悔しねえもんだ」と居直った。

そのうち張青の子分が報せに来た。
「孟州の城内外はしらみつぶしの探索だ。
武松の足どりを告げた者には三千貫の賞金、との触れが出たばかりですぜ。」

張青は舌打ちして、「ここも安心していられそうもねえ。やはり二龍山に行くのがいいですぜ」と勧めた。

「じゃあ1つ、二龍山にいるっている魯智深と楊志へ宛てて、添え状を書いてはくれまいか」

「おやすいこった。しかしその身装(みなり)じゃあ、道中がおぼつかないな」

「どうしたらいいんだ?」

「いっそ頭陀(行者の姿)におなんなさい。
ずっと前にここで殺めた行者の服装一式がちょうどある。」

すると女房の孫二娘も言った。
「行者になるため、髪を切りそろえて額の刺青は前髪で隠し、念入りに小さい膏薬でも額に貼っておけば、お尋ね者の武松さんとは見えませんよ。」

こうして武松は行者姿になり二龍山へ出発した。

頃はすでに10月に入り、落葉が舞っていた。

🔵武松と宋江の再会、孔兄弟

20日余り旅を重ねた。

その日、武松は山里の飲み屋へ入り、独りで飲んでいた。

そこに地元の若者4人が来店した。
リーダー格の男は長身で、24~25歳の白面の美丈夫である。

彼らの卓には次々と豪華な料理が並べられた。

それを横目で見ていた武松は、「俺には肉の一片も出さねえとこを見ると、俺を銭なしのうらぶれ行者と思って出し惜しみしているな」と店主に不満をぶつけた。

「困りますね、言いがかりをおつけになられては。不満があるならよそへ行って下さい。」

「なにを!」武松は軽く殴ったつもりだったが、怪力なので店主は顔をかかえながらふっ飛び、4人の卓へぶつかって引っくり返った。

怒ったリーダーの美丈夫は、立ち上がると「戸外(おもて)へ出たまえ」と武松に言った。

2人は店の外でケンカを始めたが、武松が投げとばし、マウントポジションをとって鉄拳を乱打したので、若者はうんともすんとも言わなくなった。

「顔を洗って出直して来い」と言って、武松は若者の帯をつかんで飲み屋の前にある川に放り投げた。
連れの3人は青くなってその体を拾いに行った。

武松は大笑いしながら店に戻ると、4人の卓にある料理と酒を腹一杯になるまで平らげ、腰を抜かしている店主を尻目に店を出て歩き出した。

いつしか夜になり、武松は酔ったまま歩いていたが、作ってあった落し穴に落ちた。

そこを80人もの百姓たちに囲まれて、捕縛されて村の地主の屋敷へと運ばれた。

その地主はまだ若く、毛頭星のあだ名を持つ孔明という男であった。

この弟が、先ほど武松にケンカで負けた白面の若者で、孔亮という名。あだ名は独火星であった。

孔兄弟は武松を大木に縛り付けると、藤の鞭で武松を打ち始めた。

そこに現われたのが、この屋敷の客人になっていた宋江である。

「およしなさい、孔のご兄弟。そんな手下しを自らしては、つまらんではありませんか。」

「いや先生、こいつは捨てておけんのです。村のしめしのためにもです。」

「いきさつは聞きましたが、孔亮どのを屈伏させたほどの腕前ならば見所があるかもしれません。私にその人を見せてくれませんか。」

そう言って武松を見た宋江は驚きの声を上げ、
「すぐに縄を解いて下され。これは私の弟分だ。」

「げっ!先生の弟分ですって?」

「この辺りにも人相書が出廻っているでしょう。これが打虎・武松です。」

すぐに縄が解かれ、武松は負傷の手当を受けた。
宋江と武松は、かつて小施風・柴進の屋敷で出会い、義兄弟の約を結んでいた。

「武松にこの白虎山の孔家で再会しようとは」と、宋江も驚倒した様子であった。

もっと驚いたのは孔兄弟で、「全く夢にも思わず、武松どのにご無礼をしてしまい、お詫びの言葉もありません」と恐懼してやまなかった。

宋江が仲をとって「武松よ、これを縁だと思って孔兄弟と義を交わして行くがいい」と言ったので、武松もヘり下って床にひざまずごうとすると、
兄弟は「とんでもない。どうか上座にいて下さい。武松どのの数々の武名はつとに伺っております」と下にも置かずもてなした。

かくして武松は孔家に1週間ほど滞在したが、その間に宋江から身の上を聞かされた。

「故郷における私の罪の詮議も収まったので、弟の宋清はすでに宋家村に戻っている。
故郷の鄆城県では、清風鎮の長官をする小李広・花栄という人と旧知なのだが、彼がぜひとも清風鎮へ来てくれと誘ってきているのだ。
それで近日中にそちらへ出向くつもりだ。」

「しかし先生、こちらの家はそれでいいんですか?」

「うむ。孔兄弟には剣法や兵学を教授していたが、それはあらかた終わったからね。
どうだい武松、お主も一緒に清風鎮へ行かないか?」

「いや、よしましょう。
私の罪科(つみとが)は重いから、先生に巻き添えを食わせては申し訳ない。
もし天下に大赦令が出たら、またお目にかかろうじゃありませんか。」

「じゃあ君も、まじめな良民に戻りたい希望はあるんだな?」

「そりゃあ先生、誰にだってそういう願いはありますよ」

宋江と武松は孔家を辞去し、再び旅に出た。

武松の目的地は二龍山、宋江は清風鎮だが、数日は同じ道を共に歩いた。

瑞龍鎮という田舎町に着き、道を尋ねると、西に行けば二龍山、東に行けば清風鎮とのこと。
2人は別れの酒を交わすため居酒屋に入った。

宋江は、武松の暴力沙汰は酒のせいと見ていたので、「くれぐれも酒に呑まれるなよ」と親身になって戒めた。

店を出る際、2人が孔家からもらっていた餞別の包みを解いてみたところ、銀子50両ずつという大金だった。
2人は孔家に感謝しつつ西と東へ袂を別った。


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