水滸伝⑦(以下は『新・水滸伝』吉川英治著からの抜粋
2026年4月9~21日に作成)
🔵宋江は故郷に帰り、家族と再会
父親が亡くなったとの手紙を旅の途中で受け取り、急いで故郷の宋家村へと向かった宋江。
彼が宋家村へと帰り着くと、まず道端で年寄りの張じいさんと会った。
宋江を見た張じいさんは、「よく帰ったのう。あの事件(※宋江が犯した殺人事件)も1年半が経って、お許しの布令が出たとか。」と大喜びである。
「いや、あの事件が許されても、私は父親の死に目に会えなかった不孝者です。
村の衆へ会わせる顔がありませんよ。」
「なにをおっしゃる?
あなたの父上とは、たった今そこでお別れしたばかりじゃよ。」
「そんなはずはありません。弟の手紙で父の死を知り、帰ってきたのですから。」
「あははは。なにかの冗談でしょう。」
驚いた宋江が、半信半疑の気持ちで我が家の門に入ると、弟の宋清が出て来た。
「父上は?」
「奥にいます。たった今帰ってきたところです。」
「きさま!なんというバカな手紙を私によこしたのだ!戯れもほどにせい!」
すると奥から老父が走り出てきて、宋江の手を握り、その手を自分の頬に当てて謝った。
「かんべんせい。あの手紙はワシが宋清に書かせたのじゃ。会いたさにのう。
ちょうど石勇という男が来たので、彼に手紙を渡して託したのじゃよ。」
宋江の心もほぐれて、
「ああ、よかった…。長らくの不孝をお許し下さい。」