ジローラモさんが明かす、カルチョのホントの話

(『ZONE 2014年4月号』から抜粋)

以下は、パンツェッタ・ジローラモさんが母国イタリアのサッカー界について、ホントの話をした記事の紹介です。

質問者

イタリア・サッカー界といえば、八百長やマフィアをよく耳にします。

ジローラモさんの地元ナポリのチームも、関係していますか?

ジローラモ

昔は、金持ちが町で自慢したくて、サッカー・クラブの会長になっていた。
サッカー・チームの会長はステータスだからね。

マラドーナ時代のナポリの会長は、建設会社のコッラード・フェイルライーノという人で、その会社はマフィアと繋がっていた。

マラドーナを連れてくる時には、麻薬の問題があった。

彼が麻薬をしているのは皆が分かっているから、皆で彼を守った。
麻薬問題が表に出始めたのは、会長との関係がダメになってから。

次の会長はホテルの経営者で、その次は通信会社の経営者だった。

通信会社の経営者は、通販番組で売っていた絵が偽物で逮捕されちゃった。ほんとペテン師(笑)。

その後に破産して、今の会長になってからはイタリアで一番キレイなチームだよ!

質問者

2013年10月にインテルの会長が、マッシモ・モラッティから、インドネシアの大富豪エリック・トヒルに代わりましたね。

ジローラモ

これは、FIFAが定めた「ファイナンシャル・フェアプレー制度(FFP)」の影響だね。

前会長のモラッティがインテル株の70%を売ったのは、クラブが借金だらけだったから。

借金がたくさんあると、CLやELに出られなくなるから困るんだよ。
だから株を売って借金をクリアにした。

質問者

ユベントスのヴチニッチ選手と、インテルのグアリン選手のトレードが話題になりましたね。

ジローラモ

結局、そのトレードは中止になったネ。

「何でライバルのチームに良い選手をあげなければいけないんだ!」と、インテル・サポーターが猛反対したからだよ!

だってヴチニッチよりもグアリンの方が高く売れる選手だからね。

この件で悪いのは、インテルのマルコ・ブランカです。
彼は、モラッティの孫と結婚した人ネ。

ブランカは、選手移籍の裏でめちゃくちゃ儲けているんだヨ!

今回もトレードを成立させて裏金をもらおうとしていて、サポーターはそれが分かったから怒ったんだネ。

ブランカは、これでクビになったよ。

質問者

2013年11月に、3部のチームのノチェリーナが、開始20分でフィールドプレイヤーが6人になり、試合が中止になりました。

ジローラモ

ノチェリーナの会長は、マフィア絡みで儲けた金で経営しているんだヨ!

それがバレて、サポーターが怒り、「次の試合をボイコットしないと酷い目に遭わせるぞ」と選手を脅したんデス。

それで選手達は、試合が始まってすぐに、レフェリーに暴言を吐いたりして退場し、ピッチに6人しかいなくなった。

規定で7人以上いないと試合ができないから、中止になったんだヨ。

ノチェリーナはリーグから追放されて、会長は3年半の活動禁止処分。

フロントと選手も処分されたよ。

質問者

サッカークラブと政治家の繋がりは、どうなんですか?

ジローラモ

ACミランは、八百長問題でセリエBに落ちた時に、ベルルスコーニが買ったんだ。

あの人は選挙に出ようとしていて、有名になりたかったからね。

八百長問題で当時の会長は刑務所に入るはずだったんだけど、ベルルスコーニがコネを使って刑務所に入らなくていいようにしたんだヨ。

その見返りとして、ACミランをタダで買収できた。
ブラックな世界だね!

世界のどこでも、大金の回るスポーツ界は汚い。

ボクシングとか、相撲だってそうだったでしょ!

質問者

八百長って、どんな風にしているのですか?

ジローラモ

イタリアにはサッカーくじが何種類かあるんだ。

サッカーくじは世界中のどこでも買えるので、シンガポールとか中国とかの国で、イタリアの元サッカー選手と繋がる悪い人がいるんだよ。

元イタリア代表のシニョーリは、関わっているネ。

セリエCの選手は給料が低いから、Cの選手に「給料の10倍をやるから、負けろ」と言うんだよ!

シニョーリは顔が広いから間に入って、お金をもらってる。

この八百長は、外国を経由しているから、なかなか取り締まれないんだ。

質問者

マフィアと繋がりの強いチームは、どこですか?

ジローラモ

繋がりが強いのは、南部のチームだネ。例えばパレルモとか。

パレルモにいたミッコリ選手は、マフィアのボスの息子と一緒にいるところを、よくパパラッチされていた。

ある事件の犯人がその息子だったんだけど、その時はミッコリの奥さんの携帯電話を使ってたんだヨ!

これがバレて、ミッコリは移籍したんだ。

○ 村本のコメント

イタリアは、2006年W杯の前に大規模な八百長が発覚して(ユベントスやACミランが主導していた八百長がバレた、大事件でした)、「サッカー界をクリーンにしなければいけない」と言って改革をしました。

しかし、それは口先だけのものだったのですね。

非常に残念です。

(2014年9月12日に作成)


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