（『ＺＯＮＥ 2014年4月号』から抜粋）
第三者による選手保有への規制は、最近よく話題に挙がるテーマである。
『第三者による選手保有（ＴＰＯ）』とは、選手の経済的利益を、クラブ以外の第三者が支配する状況を指す。
第三者には、個人・法人・投資ファンドの例があり、選手を保有してクラブに貸し出す。
通常だと、移籍金はクラブに支払われるが、ＴＰＯの場合は第三保有者に支払われる。
ＴＰＯの是非については、激しく議論されている。
ＦＩＦＡやＵＥＦＡの規定では、一定条件を付してＴＰＯを許容している。
一方、プレミアリーグとリーグアンは一切禁止してきた。
プレミアが禁止に踏み切ったきっかけは、２００７年の「テベス・マスチェラーノ事件」だった。
ＴＰＯのデメリットは、沢山ある。
最大のデメリットは、「スポーツの健全性に悪影響を及ぼすこと」である。
例えば、ＡＣミランとインテルの選手を同時に保有する第三者がいた場合、その第三者の指示で八百長が行われる恐れが生じる。
次に挙げられるのは、「ファイナンシャル・フェアプレー制度の理念と合致しないこと」だ。
テベス・マスチェラーノ事件では、テベスの移籍先となったウェストハムは裕福なクラブではなく、テベスの獲得は不自然だった。
結局この移籍は違反と認定され、ウェストハムは高額の罰金を科されたが、テベスの活躍でウェストハムは残留を勝ち取った。
次に挙げられるのは、「第三保有者とその背後にいる投資家について透明性を欠き、マネー・ロンダリングに利用される恐れが高いこと」だ。
さらなるデメリットとしては、「第三保有者が頻繁に選手を移籍させて儲けようとするため、クラブチームのチーム編成が不安定になること」が挙げられる。
選手の世界労働組合である『ＦＡＦＰｒｏ』は、ＴＰＯに懐疑的である。
この背景には、選手を商品として捉える第三保有者への不信感がある。
（2014年11月14日に作成）
（以下は『フットボリスタ 2007年11月14日号』から抜粋）
サッカーの代理人とは、選手に代わってクラブと交渉し、選手から年棒や移籍金の一部をもらう職業だ。
コスタリカで、マッテオ・キンタバージェという代理人が世間を騒がせた。
彼はコスタリカ代表クラスの選手たちと、次々と代理人契約を結んだ。
さらに1部リーグのチームの買収にまで乗り出した。（これは失敗した）
キンタバージェは、選手に家や車を買い与えて契約を結び、外国のクラブに移籍したら移籍金の50%をもらうという条項を加えていた。
他にもキンタバージェは、コスタリカの不動産やホテルをアメリカ人投資家に高く売りつける詐欺で、1000万米ドル以上を手にした。
彼は17人のアメリカ人投資家に訴えられて、有罪となって服役中だ。