コートジボワール戦の感想④ 本田圭佑選手の話

(『ナンバー2014年6/30臨時増刊号』から抜粋)

コートジボワール戦のピッチ上で、高い位置からプレスを掛けるザック流に最も従っていたのは、本田だった。

だが、後方の選手たちは自陣に引きこもってしまう。

これは、ザック流に反する。

コンセプトに従っているのは本田なのだから、選手達に「もっとラインを上げろ」と要求しても良かった。

だが本田は、何度か声を出して促したものの、掴みかかるほどの剣幕ではなかった。

敗戦の2日後に、本田は語った。

本田

「失点してもいいと思うんですよ。でも、攻めきる必要がある。

 攻めきる事が出来なければ、目標を達成する事は不可能です。

 負けた事よりも、『自分たちの良さを出し切れずに終わった
 こと』の方がショックです。

 自分たちは他の選択肢を取れたのに、取らなかった。

 その準備をできなかったのが、自分としてはショックだった。」

「勝敗はすでに試合前に決まっている」との哲学を持つ本田にとって、周到な準備はアイデンティティそのものだ。

では、何の準備が不足していたのか。

多くの選手は慎重になりすぎて、自陣から出て来なかった。

もし本田がもっと大声を出して周囲を鼓舞していたら、仲間の闘争心に火が付き、あそこまで臆病にならずにすんだのではないか。

この疑問をぶつけると、本田は語った。

本田

「『自分がもっと厳しくあれば、あの状況が回避できた』、
 とは思っていない。

 自分としては、もう少しぶっ飛んだアイディアが必要だった
 と思う。

 むしろコートジボワール戦では、リラックスが必要だった。

 日本人の良さである真面目さが、悪い方向に出てしまったから。

 監督から指示された対策のすべてに対応しようとして、
 自滅してしまった。 」

コートジボワール戦において、ザック監督は『相手のサイドバックが上がってきたら、岡崎と香川が自陣に戻って対応しろ』と指示していた。

だが、それを忠実に行うあまり、攻守両方が中途半端になってしまった。

あえて戻らずに、裏を狙う姿勢を見せる事で相手を下がらせる、といった工夫が必要だった。

本田

「少ないチャンスで優勝するチームもあれば、20本のチャンスを
 作って格好良く優勝するチームもある。

 我々が狙っているのは、後者の理想を貫く方。

 そのスタンスを貫けば、勝ち上がれる自信がある。」

○ 村本尚立のコメント

本田さんの言う「ぶっ飛んだアイディア」とは、「監督の指示を時には無視すべきだ。指示通りにやれば良いわけじゃない。」という事なのでしょうか。

実際問題としては、サッカーという自由度の高いスポーツにおいては、状況によっては監督の指示を実行できない事もあります。

『選手がどこまで独自に判断していいか』は、難しい問題ですね。

今の日本選手を見ていると、リラックスしたら監督の指示以外の事を判断していける、とは思えないのですが…。

自分で的確な判断をするには、指導者の意見を鵜呑みにせず自分で考えていく訓練が必要ですが、それには意識の高さと教養が必要です。

そこまでの人間力が、日本のプロ・サッカー選手たちにあるかなあ。

サッカーだけじゃなく、全てのスポーツ選手に共通している問題ですよ。

冷静に見れば、「監督の指示のすべてに対応しようとして、自分たちのスタイルを見失い、スタミナ切れで自滅した」なんて、初歩的なミスですよ。

小学生とか中学生のサッカーじゃないんだから!
もっと、ちゃんとしようよ!

(2014年11月16日に作成)


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