(『ナンバー2014年6/30臨時増刊号』から抜粋)
ファンハールはオランダ代表監督に就任すると、ロッベンと個人面談をして、「君はバイエルンでは右でプレーしているが、オランダ代表では左でプレーしてもらう」と伝えて了承を取りつけた。
ファンハール
「私は、なぜ選んだか、どこで使うか、どういうプレーをしてほしいかを、明確に伝える。
だから選手がこちらの望むプレーをしなければ、『選んだ理由を話したのに、それを見せていない』と問いつめるんだ。」
ファンハールは、これまで多くの選手をコンバートして、飛躍に導いてきた。
バイエルンでは、シュバインシュタイガーをSMFからボランチへ、アラバを中盤から左SBへ転向させた。
W杯予選が始まると、ファンハールはDFラインを低く設定した。
4-3-3を採用しながらも、ボールを失うとあえてDFラインを下げて守る。
ロッベンらのスピードを生かすには、ボールを奪った時に前方にスペースが広がっていたほうが好都合だからだ。
ファンハール
「あえて前にスペースを作ることで、攻撃のスピードを有効に使えるんだ。
これこそが、バルサ・スタイルと異なる点だ。
私は中継点を少なくして、ゴールにもっとダイレクトに迫りたい。
そのためには、相手を誘い出してスペースを作ることが必要だ。」
ファンハールは、オンラインで試合を見られる『スカウト7』と契約し、オランダ代表候補50人の動向をカバーし続けた。
オプタ社やアミスコのデータシステムも使い、毎週ごとに各ポジションのランキングを決定した。
スタッフ選びにもこだわり、ダニー・ブリントとクライファートを右腕にした。
ファンハールは、全体練習とは別に、FW・MF・DFごとに分けてトレーニングする事を好む。
DFとMFはブリントが、FWはクライファートが担当し、試合当日には個別ミーティングが行われる。
2014年3月に中盤のダイナモだったストロートマンが怪我で離脱すると、5バックを採用し、5-3-2に変更した。
より守備的にし、さらに前方にスペースができた。
W杯初戦のスペイン戦では、この戦術が的中して、5対1で快勝した。
(2014年12月5日に作成)
(『ZONE2014年9月号』から抜粋)
オランダ代表は伝統的に、4-3-3のシステムを使い、グラウンダーのパスを繋ぎながらポゼッション率を高め、ウインガーのサイドアタックを武器にして攻撃的に戦ってきた。
しかしファンハール監督は、W杯の前になって5-3-2のシステムを用い、カウンター型のチームに変更した。
ファンハールの5-3-2は、守備的なフォーメーションだが、攻撃時には3-4-1-2になって高度に機能していた。
グループリーグ3試合で10ゴールを決め、参加国中でトップとなった。
ただし、今回のオランダ代表はビルドアップに四苦八苦しており、「結果は素晴らしかったが、内容には問題あり」という声も多い。
(2015年12月30日に作成)