(『ZONE 2014年9月号』から抜粋)
質問
2014年のW杯を終えて、今の率直な思いを教えて下さい。
森重
結果を出せなかった事は申し訳ないし、残念で仕方ない。
ただ、代表で過ごした1ヵ月間で、色んな事を得られたと思います。
質問
同じメンバーで過ごす中で、感じた事はありますか?
森重
それぞれの思いは、ひしひしと感じていました。
一人一人が強い決意を持っている集団でした。
どうやったらチームが勝てるのかを、それぞれが常に考えていたと思います。
その一方で、リラックスする時間も持てていました。
そうした環境づくりや、雰囲気づくりが出来ていたので、いつまでもこのチームでやっていたいなと思いました。
質問
どんな思いで初戦のコートジボワール戦のピッチに居ましたか?
森重
とにかく相手に勝ちたいという一心でした。
日本にも勝つチャンスはあったと思いますが、チャンスをものに出来なかった。
同点に追いつかれたあの失点シーンで、自分がボールをはじき返していたら、勝っていたかもしれない。
まだまだ甘いんだなと。
質問
結果的には、ピッチに立てたのは初戦だけでしたね。
2試合目以降に、チーム内に亀裂が走ることはありませんでしたか?
森重
全くなかったと断言できます。
メディアに向けてそれぞれが声を発信してきましたが、チーム内で意思疎通は取れていました。
大会を通して感じたのは、『日本代表は、メンタルのコントロールがまだ苦手なのかも』という事でした。
質問
大会中には、「自分たちのサッカー」という言葉が多く聞かれました。
森重
4年間取り組んできた事を、W杯中に変えることはできない。
今までやってきた事を出せれば勝てるという自負もあったけど、出せないで終わってしまった。
4年間やってきた事がダメだったのではなく、それを大会で生かせなかった面をフォーカスした方がいい。
質問
やってきたサッカーを出せなかった原因は何でしょう?
森重
1失点で、状況が180度変わってしまう所だと思います。
そうしたメンタル面は、今の日本の弱さです。
質問
W杯で感じた事を、どう活かしていきたいですか?
森重
出場してみて、自分と日本に何が必要なのかが、少しは分かった気がします。
それを今は自分の中に留めておいて、しっかりと取り組めばいいかなと。
色んな事を感じましたが、誰にどう伝えるかが難しいし、どこまで伝えるかというのもある。
代表での経験をクラブチームに落とし込む人もいますが、それが全て正しいとは思いません。
時間が経ったら考えが変わるかもしれませんが、自分が理解して表現できていないのに、それを周りに伝えようとしても多分うまく行かない。
まずは、自分が表現できる様になってからです。
質問
改めて、ザックジャパンで過ごした1年間を、どう振り返りますか?
森重
ザッケローニ監督は、日本のサッカー文化に無かったものを、取り入れようとしてくれました。
日々の言葉の端々からは、日本の事を調べて学んでいる様子が伝わってきました。
日本人の特性を分かった上で、新しいサッカーを教えようとした監督だったと思います。
質問
この1年間、代表に入り続けて心境は変化しましたか?
森重
やっぱり、レギュラーになりたいという思いはあります。
ザックさんの下では、試合に出たり出なかったりでしたから。
質問
「日本代表はセンターバックが弱点だ」と言われる事については、どう思いますか?
森重
それは自分も理解しているし、反論はありません。
しっかりと認めた上で、自分がどういう仕事ができるのかを考えていきたい。
(2015年12月21日に作成)