(『ZONE2014年9月号』から抜粋)
かつてのドイツ代表のスタイルは、「フィジカルの強さ」と「マンマーク+リベロのシステム」に集約されていた。
だが、恵まれた体格に基づく戦術は、1990年代後半からは世界で通用しなくなった。
ドイツは改革に踏み切り、「パスサッカー」へと方針を180度変えた。
そして、監督となったレーブは、若手の選手にチャンスを与えてきた。
レーブ
「我々は速いテンポで、毎試合プレーする。
だから、チームの平均年齢を下げる必要がある。
私は、『質(才能と走力)は経験に勝る』と考えている。」
レーブの就任以来、代表デビューを飾った選手数は60人を超える。
レーブは、『ロングボールではなく、グラウンダーのパスで崩す』という方針の下、彼らをふるいにかけてきた。
2014年W杯では、ドイツは1試合平均で663本のパスを記録し、スペインと共に飛び抜けたトップである。
そこに、走りぬく犠牲心と高いフィジカル能力が融合して、優勝を手にした。
ドイツは、大会7試合で18得点4失点。
優勝は必然だったといえる。
フェリペ・ドラモンド(オンジ・エン・ジア紙)
「バイエルンがベースとなっているドイツ代表の強さは、簡単には真似できないと思う。
ドイツやスペインのように、自国にすばらしいクラブチームがあると、代表はそのチームを基盤にできるので連係面で有利になる。」
ゾーン・ローランド(フリーランス)
「ドイツのサッカーは、カウンターとポゼッションを上手くミックスさせている。
結局、どんな戦術を使うかが重要なのではなく、戦術をどのように使うかが重要なのだ。」
マリオ・アルバノ(ラ・プロバンス紙)
「今大会は、攻撃的なサッカーをするチームが多かった。
ドイツ代表は、バイエルンのグアルディオラ監督を通して、ポゼッション・サッカーを取り入れている。
スペインほどパスが繋がるわけではないが、アグレッシブで前への推進力が高い。
新しいタイプのスタイルだが、ポゼッション・サッカーの流れが変わったわけではない。」
ロベルト・ビーズリー(サンデー・サン紙)
「ドイツは、スペインのスタイルを模倣して本家を追い越し、新しいスタイルを作り上げつつある。
2年後のユーロでも、ドイツは優勝候補だ。」
(2015年12月21日に作成)