(『ナンバー2014年6/25臨時増刊号』から抜粋)
「本番から逆算して、チームをトップフォームに持っていく」
5月21日のキャンプ初日に、ザッケローニ監督はこう決意を語った。
まず追い込みから始めて、選手にトレーニングで徹底的に負荷をかけた。
「肉離れするんじゃないか」との声がチーム内から漏れるほどの荒行だった。
同時にキャンプ初日から、4-2-3-1のフォーメーションをおさらいした。
ミーティングルームでは、「35m以内に全体を収め、高いラインを保ってコンパクトに戦う」とホワイトボードに書いた。
これは、『いかなる強豪が相手であろうとも、攻撃的なスタイルで臨む』という、明確な意思表示であった。
6月2日のコスタリカ戦では、前半からボールを動かして相手を疲弊させ、後半に入ってから3点を取り勝利した。
ザックは喜び、「主導権を握って自分たちのサッカーをやるんだ、という気持ちがあったのが良かった。ボールを奪われた時にカウンターをされる可能性もある中で、それは評価できる。」と会見で言った。
6月6日のザンビア戦では、一転して不機嫌になった。
4対3で勝ったが、ザックはこう話した。
「チームのロジックに従ってプレーすれば、勝利の可能性は高まる。
逆の場合ならば、敗北の可能性が高まる。
今日の試合は、後者だった。
4ゴール奪っての勝利だが、そこに興味はない。
ロジックに則っていたかどうか、だ。
自分たちのサッカーに集中させる事を考えていきたい。」
ザンビア戦では、前線からの連動した守備が達成されなかった。
6月10日。
コートジボワール戦(W杯の初戦)まで4日と迫る中、ザック監督はその日を完全オフとした。
100%のコンディションに仕上げるためのプログラムの一環だった。
オフ明けの11日に、ようやくコートジボワールの情報が選手に伝えられ、対策が具体的に伝えられた。
キャプテンの長谷部は、こう述べた。
「(コートジボワールの情報を)監督がここで入れてきたのは、オフを挟んで初戦に向けてやっていくぞっていうメッセージもあると感じています。」
(2014年11月12日に作成)