オランダ代表の不振
ロッベン選手の解説

(『ナンバー2017年12月7日号』から抜粋)

オランダ代表は、2018年W杯のヨーロッパ予選で負けて、W杯出場を逃した。

ユーロ2016に続き、2大会連続でビッグ・トーナメントへの出場権を逃したのである。

2010年W杯で準優勝し、14年W杯でも3位になった国に、何が起きているのか。

アリエン・ロッベン選手に話を聞いた。

ロッベン

「これはオランダ・サッカー全体の危機だ。

代表監督の能力うんぬんではなく、育成の取り組みが関係している。

ここ4年ほど、育成の水準が低下し、地盤沈下している。

すべてが必然で、まさしく負のスパイラルだ。

今のオランダ・リーグは、プロデビューした若手が、わずか数ヵ月で外国に移籍している。

クラブの幹部たちは、若手が成熟する前に売却しているんだ。

そして若手の流出は、外国の安い選手で穴埋めされている。

この結果、リーグの質が弱まっている。

才能ある選手でも、あまりに早く国外に出ると、出場機会を得られず、才能を磨けない。

その一方で、国内に残された選手は、質が十分ではない選手とプレーするので成長できない。

2018年W杯の予選で、オランダが入ったA組には、フランス、スウェーデン、ブルガリア、ベラルーシがいた。

何と言っても、5節でブルガリアに敗れたのが痛かった。

フランスには2敗したが、自分たちには自信が圧倒的に不足していた。

最後のスウェーデン戦では、スタメンで最も年齢が高いのは自分だった。
時代は移り変わっていくものなんだよ。

私が代表にいた14年間は、W杯で準優勝もしたし、96試合で37ゴールを決めた。

(所属しているクラブである)バイエルンでのプレーに集中するため、オランダ代表は引退するが、代表でのキャリアを誇りに思う。

オランダ代表が復活するには、ある程度の我慢が必要だと思う。
育成年代の改革が必要だ。」

2018年W杯のヨーロッパ予選では、イタリアも出場権を得られなかった。

イタリアは60年ぶりに、本大会に不参加となる。

この歴史的な敗退をうけて、ブッフォン、バルザーリ、デロッシは代表引退を表明した。

イタリアのベントゥーラ監督は、自分のシステムに固執し、主力選手の心を掴めなかった。

インシーニェを起用すべきだったと、誰もが口をそろえる。

しかしイタリアの最大の敗因は、選手の枯渇だ。

大舞台で試合を決めることのできる選手が見当たらない。

現代表は、スペインやドイツのBチームにも勝てないだろう。

育成システムを改革するしかない。

(2022年11月23日に作成)


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