(以下は『週刊サッカーマガジン2007年12月4日号』から抜粋)
サッカー男子日本代表の海外遠征は、どのくらいのカネがかかっているのか。
遠征先にもよるが、選手・スタッフ共に、1人あたり1日に20万円と言われている。
つまり40人の選手団で遠征すれば、1日で800万円かかる。
2週間の遠征ならば1億円を超す。
ただし、全ての遠征で日本サッカー協会が費用を出すわけではない。
ワールドカップなどの国際大会や、招待された遠征では、費用は主催者側が負担する。
逆にキリンカップのように日本が招待する場合、対戦国の費用は日本サッカー協会が支払う。
日本代表が国内で使うホテルは、あるていど固定されている。
安全面から、1フロアを丸ごと借りることが多い。
食事も、一般客のこない大広間を使う。
さらに宿泊中は、アイシングのため大量の氷が必要だ。
こうしたリクエストに応えられるホテルが選ばれている。
海外遠征では、基本的に4ツ星クラスのホテルが選ばれる。
大きな大会では、専門のコックが同行するのが当たり前になっており、コックはホテルの調理場を借りる。
かつてのオフト・ジャパンは、3ツ星ホテルを使っていた。
日本サッカーの発展により、4ツ星ホテルにランクアップしたわけだ。
日本代表には、企業のスポンサーが付いている。
これらは「オフィシャル・スポンサー」、「オフィシャル・サプライヤー」、「サポーティング・カンパニー」と呼ばれる。
最も有名なスポンサーは、「キリン」と「アディダス」だろう。
「KIRIN」と「adidas」の文字が、選手やスタッフの服やバッグに入っている。
キリンは昔からキリンカップを開催してきたし、アディダスは代表のユニフォームを提供してきた。
他にもソニー、ファミリーマート、JAL、大和証券グループ、セゾンカードも、オフィシャル・スポンサーだ。
上記の7社はいずれも、2007年4月~2015年3月末までの8年契約を結んでいる。
この7社が支払う契約金は、8年間で総額500億円と言われている。
キリンは年間35億円、アディダスは年間20億円とされ、他は2億円ほどという。
日本で行われる、日本代表の親善試合は、日本サッカー協会が主催する。
このチケット収入は、同協会に入る。
さらに代表戦では、各試合ごとにスポンサーからカネが入るし、スタジアムでのグッズ売り上げや、テレビ放映権料も収入である。
テレビ放映権料は、1試合で1億円と言われている。
その一方で代表戦は、選手たちへの報酬支払いや、対戦国に支払う遠征費、「マッチフィー」と呼ばれる対戦料が大きな支出となる。
「マッチフィー」は、対戦国やそのメンバーによって金額が変わる。
スーパースターのそろうブラジル代表の場合、1億円が要求されると、かつては言われた。
ブラジル代表は最近、中東で親善試合を行うことが多いが、高額のマッチフィーが目的である。
日本代表戦を国内で行った場合、日本サッカー協会はいくら儲けるのか。
対戦国や入場者数にもよるが、親善試合だと1試合あたり4億円と言われている。
なおW杯のアジア予選や、アジアカップの予選だと、パンフレットなどグッズ売り上げは主催者が取る。
日本サッカー協会に入るのはチケット収入だけになるので、収入は2億円に減ると言われている。
ちなみにW杯のアジア最終予選といった、注目される試合は、チケット代を高めに設定するので、より儲かる。
(以下は『週刊サッカーマガジン2007年11月27日号』から抜粋)
日本代表のオシム監督の年棒は、1億円と言われている。
支払いはユーロで行われるが、ユーロ高のために支払い額が上がり、日本サッカー協会は大打撃を受けてしまった。
ちなみにトルシエとジーコが監督だった時は、年棒は米ドルで支払われていた。
ジーコが監督だった時は、ジーコは副業にも熱心で、CM出演の他に、書籍、DVD、グッズも販売して、年収は5億円以上とも言われた。
日本代表選手が、日本代表の試合や練習でケガをした場合、治療費は日本サッカー協会が支払うことになっている。
所属クラブで治療する場合、かかった費用をサッカー協会に請求する。
代表選手は、長時間をホテルの中ですごすことになるが、海外のホテルではインターネット使用料金が別に請求されることが多い。
自由時間に選手たちが使うインターネットや電話の料金は、もちろん選手たちが支払う。
ちなみにジーコ監督もホテルにパソコンを持ち込んで、自身のHPを更新したりしていたが、回線の接続が苦手で、広報担当者がいつもやらされていた。
選手たちからも回線接続を頼まれ、各部屋を回りながら接続してあげていたと言う。
日本代表は、様々なグッズを販売している。
レプリカ・ユニフォーム、Tシャツ、タオル、バッジ、文具などだ。
その売り上げは、日本サッカー協会の収入となる。
現在(2007年)は、中村俊輔のグッズが、背番号が10なのもあって売り上げが良い。
売り上げに応じて、選手にも一定額が支払われる。
日本代表選手の日当は、1.5万円と言われている。
これは活動日数に応じて支払われる。
例えば、2007年のアジアカップの場合、集合日から解散日まで30日間にわたり、日当だけで1選手あたり合計45万円が支払われたことになる。
日本代表選手には、さらに出場勝利給がある。
これは試合に出た時間と、勝敗に応じて支払われる。
親善試合の場合、勝利すると1人あたり20万円が支払われ、引き分けだと10万円、負けるとゼロ円となる。
ただし出場時間が試合時間の75%未満だと、勝利給は半額になる。
勝利給は、大きな大会になるほど上がる。
例えばアジアカップだと、グループステージでは30万円、決勝トーナメントだと50万円である。
W杯の場合は、アジア1次予選は30万円、最終予選は50万円。
本大会は100万円である。
日本代表選手には、さらにプレミア給が支払われることがある。
これは、W杯の本大会出場を決めた時などの、臨時ボーナスである。
2004年のアジアカップで優勝した時は、全選手に300万円が支払われた。
2005年にドイツW杯への出場権を得た際は、選手たちに1千万円が支払われたとされている。
(2024年6月17、27日に作成)