イタリアリーグ「セリエA」の話

(以下は『Number 2005年4月7日号』から抜粋)

CLの決勝トーナメント1回戦で、ACミランとマンUが対戦した。

マンUは11月からイングランド・リーグで無敗を続け好調だったが、ミランが2試合とも1-0で勝利した。

ミランの勝因は、マンUの中盤を形成するロイ・キーンとスコールズを封じ込めて、FWのルーニーとファン・ニステルローイにボールを渡さなかったことだ。

現在のミランは、DF陣が強力で、かつてCLを獲った時の守備にも劣らないレベルだ。

移籍してきたヤープ・スタムが、ミランの守備をさらに固くした。
弱点だったロングフィードの対応も、彼が入ってから脆さが見られなくなった。

スタムは2001年夏に、マンUからラツィオに放出された。

ミランのガッリアーニ副会長は、スタムを移籍金1000万ユーロでラツィオから手に入れた。

スタムは今32歳だが、活躍しているのでミランは2007年までの契約延長で合意した。

スタム、ネスタ、マルディーニらのいるミランのDF陣は、直近の9試合で3ゴールしか許していない。

ミランのFWは、シェフチェンコとインザーキがケガで離脱しているが、クレスポが代わりにゴールを獲っている。

クレスポはチェルシーからレンタル移籍中で、アンチェロッティ監督の希望で入団した。

アンチェロッティはパルマの監督時代に、アルゼンチンからやって来たクレスポを育てている。

チェルシーで出場機会のないクレスポを見て、アンチェロッティはミランの幹部に獲得を求めたのだ。

ミランは来季の新戦力として、パルマにいるジラルディーノの獲得契約をすでに成立させている。
だからクレスポがミランに完全移籍するには、ゴールを量産するしかない。

ミランはこの2年間で、CL、イタリア・リーグなどで優勝している。

(以下は『フットボリスタ 2007年3月7日号』から抜粋)

ACミランにロナウドが加入して1ヵ月弱だが、彼は4kgの減量に成功し、身体の動きは回復しつつある。
(※ロナウドはレアルマドリードから冬の移籍期間の1月末に移籍してきた。)

だが1対1やワンツーでの突破は、ここまでの2試合はすべて失敗している。
とはいえ2得点した。

ロナウドはインテルにいた1997~2002年の5年間、ミラノに暮らしたので、ミラノは馴染んだ街だ。

セリエAのトリノは6連敗中で、ザッケローニ監督の解任が現実味を帯びてきた。

ザッケローニはシーズン当初から3-4-3の布陣で攻撃的なサッカーを目指したが、トリノの3バックは平凡で、広い守備範囲をコントロールできない。

そのため後手に回り、結局は5-3-2で守ることになっている。

守備の人数は足りているが、マークの受け渡しが上手くいっていない。

攻撃する時もFW3人だけとなっている。

(以下は『フットボリスタ 2007年9月5日号』から抜粋)

ユベントスの監督に就任したクラウディオ・ラニエーリは、昨シーズンはパルマの監督としてセリエA残留を果たした人だ。

ラニエーリの今季の年棒は、100万ユーロ+ボーナスと推定されている。

ラニエーリ監督はチームをじっくり育てるタイプで、彼が去った後にチームがビッグタイトルを獲ることが多い。

ラニエーリは1980年代の末に、カリアリをセリエCからセリエAまで2年で引き上げて注目された。

1993-94シーズンは、セリエBにいたフィオレンティーナを率いて、1年でセリエAに復帰させた。

フィオレンティーナ時代は、バティストゥータ、ルイ・コスタ、トルドをワールドクラスの選手に育て上げている。

ラニエーリ監督は、バレンシア時代はメンディエタを右SBから中盤にコンバートしたし、チェルシー時代はジョン・テリーを大黒柱に育て上げ、ランパードとGKクディチーニを獲得した。

ラニエーリが育てた果実を摘み取ったのが、後任監督のクーペルやモウリーニョだった。

ラニエーリは、オーソドックスな4-4-2で守備を固めるスタイルだ。

しかし柔軟性があり、昨季のパルマでは才能ある若手のジュゼッペ・ロッシを生かすため4-3-3に変更した。

今季のユベントスでも、ラニエーリは記者たちをあっと言わせた。

右SBに本来は中盤に入るサリハミジッチを使い、中盤の右には本来はボランチのノチェリーノを入れたのだ。

ラニエーリの率いる現在のユベントスは、システムは4-4-2の感じで、2トップのトレゼゲとデルピエロと、左サイドMFのネドベドが自由に動いて攻撃をする。

ボランチは、ザネッティとアルミロン。

CBはアンドラーデとクリッシト。

右SBのサリハミジッチと、右サイドMFのノチェリーノは守備がいまいちで、グリゲラとカモラネージの復帰待ちなのかもしれない。

セリエAの開幕戦で、カターニアにいる森本貴幸(19歳)が1ゴール1アシストの大活躍を見せた。

(以下は『フットボリスタ 2007年9月19日号』から抜粋)

セリエAでは2006-07シーズンに、監督のクビ切りはのべ14回行われた。

監督のクビ切りをする理由は、成績不振の批判を経営陣がかわすためだ。

だかクビ切りは多くの場合、悪い結果となる。

セリエBに降格になったチームは、いずれも監督を更迭していたし、監督を代えて混乱が生じ前任者を呼び戻すドタバタも3例あった。

(以下は『フットボリスタ 2007年11月14日号』から抜粋)

ACミランのMFセードルフは、トリノ戦でアンチェロッティ監督に反抗した。

ミランは63分にFWインザーギを投入し、システムを4-3-2-1から4-3-1-2に代えたのだが、セードルフはトップ下に居座ったため、ミランの攻守が機能不全となった。

(※セードルフは4-3-2-1の2の所にいて、システム変更で4-3-1-2の3に行くよう指示されたが、無視したのである。)

アンチェロッティは、たまらずセードルフをベンチに下げた。

セードルフは背番号10番にこだわることが示すように、トップ下が自分のポジションと確信している。

単なる我儘ではなく、カカーと共にトップ下で並んでプレーした昨季は、CLで優勝した。

トリノ戦も、カカーとセードルフがトップ下に入り、ミランはチャンスを多く作ったが、前半だけで1トップのジラルディーノが3回、カカーとピルロは1回ずつ、決定機をふいにした。

それで後半に入り、前述の選手交代とシステム変更があった。

結局、0対0で引き分けた。

ACミランは今季、ここまでのリーグ戦9試合で2勝しかできず、セリエAで13位に低迷している。

この理由には、CLや12月に行われるクラブW杯で勝つことを重視している事がある。

負傷中のFWロナウドが戻ってくれば、リーグでも勝率は上がるだろう。

ミランは2002-03シーズンにCLを制した時から、サッカー・スタイルが変わっていない。

システムは4-3-2-1、または4-3-1-2で、ウイングを置かずに中央を厚くするのが特徴だ。

これは司令塔のピルロを守りつつ、彼のパス能力を活かすことが狙いだ。

(以下は『フットボリスタ 2007年12月19日号』から抜粋)

FIFAクラブワールドカップ2007に出場する、南米王者のボカ・ジュニオールが、12月7日に来日した。
出場はできないが、リケルメも同行している。

ボカは、DFはイバーラ、マイダナ、パレッタ、モレルの4バックだ。
前線はパレルモとパラシオの2人。
MFのレデスマは恥骨炎で万全ではない。ボランチはバネガとバタグリアの2人である。
監督はミゲル・アンヘル・ルッソ。

リケルメは、最初の30人のリストに入ってなかったため、今大会は出場できない。

ヨーロッパ王者のACミランは、12月6日に来日した。

ミランは現在、セリエAで首位インテルに16ポイント差の8位と低迷中だ。

FWのロナウドがケガで欠場を続けており、MFのエメルソンも故障がち。

ミランは、最近はハイペースのサッカーはできない状態で、守りを固める相手を崩せない。

セリエAでは、アウェイ6試合で17得点しているが、ホーム7試合では相手が引いて守るのでわずか3得点だ。

正面から挑んでくる相手には、格の違いを見せている。

ミランでコンディション不良の選手は、DFはヤンクロフスキとシミッチ。MFはエメルソン、FWはロナウドだ。
文句なしの絶好調の選手はいない。

アドリアーノ・ガッリアーニ副会長は、こう語った。

「ACミランがクラブW杯に参加するのは6回目で、すごい記録だと思う。
我々は今シーズンの最大の目標を、この大会にしている。

前回の出場では、到着した翌日に試合があった。
選手たちは準備不足で良い成績が残せなかった。

近年、この大会で南米のチームが多く優勝しているのは、そういう理由もあると思う。

だから今回は、我々は何ヶ月も前から準備し、70%の状態で来日した。」

ACミランの選手たちは、ほとんどが各国の代表に入っていて、代表戦もこなしている。
このため選手は休むひまがない。

カカーらブラジル代表選手は、代表戦のたびに片道8時間のフライトと時差を体験する。

こうした選手を支えるのが、コンディション管理センターの「ミラン・ラボ」だ。

ミラン・ラボは、定期的に選手の状態をモニターし、管理する。
メンタルのデータでは、脳波や心拍数、瞳孔反射によるストレスのテストをする。

ポイントは、ベストを100とするパーセンテージで数値化されるところだ。

ミラン・ラボは、疲労や小さな故障や心理的ストレスを読み取り、先回りして対応することで、故障を未然に防いでいる。

ACミランは来日する直前の12月4日に、CLのグループリーグでセルティックと戦い、1対0で勝って決勝トーナメント進出を決めた。

この試合、セルティックは自陣に引きこもって守りを固めた。
だがゲルト・ミュラーの持つ欧州カップ戦の最多得点記録 (62点)に並んでいるインザーギが得点した。

何度も右サイド深くまで侵入してクロスボールを供給していたカフーが、カカーとのコンビネーションからクロスボールを入れ、インザーギが決めた。

インザーギは34歳で、欧州カップ戦にデビューしてから13年目にして63ゴールの新記録を達成した。

ちなみに彼は、CLでは72試合で46ゴールをあげている。

なおセルティックにいる中村俊輔は、左膝靭帯の負傷で離脱中だ。
復帰時期は未定となっている。

イタリアリーグのセリエAにいるパレルモは、11月26日にコラントゥオーノ監督が解任された。

パレルモは、ザンパリーニ会長が就任してから、5年で9度目の監督更迭となっている。

後任監督は4度目の就任となるグイドリンだ。

キャプテンのDFバルザーリは、「少し負けると大騒ぎするサポーターと会長が問題だ」と吐き捨てた。

なおパレルモは、FWにアマウリとカバーニがいる。

フィオレンティーナは、昨シーズンは最前線にトーニがいた。

DFを背負って易々とボールをキープできるトーニがいれば、チームは押し上げる時間を作れる。

トーニが移籍して、パッツィーニが代わりに入った。
だがパッツィーニはDFを背負ってキープできず、トーニのように密集の中でも体格を生かしてスペースを作りシュートを打つことができない。

パッツィーニは、裏に抜け出してパスをもらうタイプだ。

フィオレンティーナの4-3-3システムに合うCFは、パッツィーニよりもビエーリだ。
事実ビエーリは、出場時間はパッツィーニの半分以下だが、3得点している。パッツィーニは4得点だ。

プランデッリ監督は、パッツィーニを生かしきれていない。

(以下は『フットボリスタ 2008年3月26日号』から抜粋)

2007年10月27日のナポリ対ユベントスで、不可解な判定で2度のPKをナポリに与えたマウロ・ベルゴンツィ主審。

審判委員会は協議して、ベルゴンツィの1ヶ月の活動停止と、セリエBへの降格を決めた。

その後、ベルゴンツィに顔が似ている一般人が、間違われてサポーターから暴行を受けた。

イタリアでは、サポーターによる暴行事件が多発している。

(以下は『フットボリスタ 2008年4月2日号』から抜粋)

イタリアのユベントスは、ついに新スタジアムを建設するらしい。

スタジアム「デッレ・アルピ」の建て替え案は15年前からあったが、ここに来て話が進んだのは、大型スタジアムが儲かると分かったからだ。

イングランドのアーセナルは、新スタジアムの効果で収益を大きくアップさせている。

クラブがスタジアムを所有するようになったドイツ勢も、このところ躍進が目立つ。

ユベントスもすでに、2500万ユーロを支払って市からデッレ・アルピの所有権を買っている。

スタジアムの完成は、2011年の夏という。

イタリアリーグ・セリエAの八百長事件で首謀者だったルチャーノ・モッジが、 来シーズンからセリエAに戻ってくるという。それもACミランで。

公的には、モッジは先日に5年間の資格停止への異議申し立てが、裁判所によって却下されたばかりだ。

表立っては復帰できないので、モッジは片腕のジーノ・ナターリをミランに送り込む。

ジーノ・ナターリは、オリンピア・ミラノというプロバスケ・チームのゼネラルマネージャーをしていた人で、ACミランのガッリアーニ副会長と親しい。

ミランのベルルスコーニ会長は、モッジの人脈を使うため、ナターリを仲介役にするようだ。

ガッリアーニは、2008年4月の選挙でベルルスコーニらが勝ち、ベルルスコーニが首相になったら、アントニオ・マタレーゼに代わってレーガ・カルチョの会長になるという。

ちなみにガッリアーニは、以前にミラン副会長とレーガ・カルチョ会長を兼務していた事があり、その時は独占禁止法違反として糾弾された。

(2024年7月9&15日に作成)


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