サッカーのフランスリーグの話

(以下は『Number 2005年4月7日号』から抜粋)

フランスリーグのOL(オリンピック・リヨン)は、このところリーグを3連覇している。

監督はル・グエンだが、この人は選手時代はPSG(パリサンジェルマン)で活躍した人で、大学で経済学を学んだ異色の人だ。

リヨンはスカウト網が優秀で、現在はジュニーニョ、クリス、カサパ、ニルマールの4人のブラジル人選手がいる。

ル・グエンが理想とするのは、カペッロ監督時代のACミランだ。

リヨンは、紀元前にローマ帝国の植民地として街が生まれ、現在はパリに次ぐ第2の都市である。

OLは2部リーグにいた1987年に、CEGID社のジャン・ミシェル・オーラス社長が、会長となった。

それから徐々にOLの規模が大きくなり、CLの常連になった。

オーラスは現在も会長を続けている。

(以下は『フットボリスタ 2007年9月19日号』から抜粋)

フランス・リーグは、監督をちり紙のようにポイ捨てできる時代になった。

マルセイユとパリSGでは、過去10年にそれぞれ7人と6人、監督が交代している。

この2クラブは、選手も2試合不振だったらポジションが無くなると言われている。

(以下は『フットボリスタ 2008年3月26日号』から抜粋)

フランス・リーグは、ゴール数が少なくて超守備的と言われている。

監督たちは総じて守備的なスタイルで、優秀なストライカーがリーグに少ない。

さらにフランスは税金が高いので、スター選手たちから敬遠されている。

攻撃をしっかり組み立ててシュートする、という展開が著しく少ないので、突然のこぼれ球をきっちり決める集中力の高いFWが向いている。

ドリブルしてからシュートするタイプのFWは、その間にアフリカ人の身体の強い選手に潰されるので、フランス・リーグには向かない。
フランスはアフリカ人の選手が多い。

パリ・サンジェルマン(パリSG)は、クラブハウスや練習場はパリから20kmのサンジェルマンにある。

サンジェルマンは古城のある所で、高級住宅地である。
パリSGの練習場のとなりには陸軍基地がある。

クラブハウスや練習場は、すべてサンジェルマン市の所有で、意外にもパリSGは自前の施設を持っていない。

パリから離れているので、練習を見に来るファンは少ない。

選手を出待ちしてサインや写真撮影を求めると、競争相手がいないのでほぼ100%成功する。

フランス・リーグにスター選手が少ないのは、給料の低さがある。

イングランド・リーグの平均月給は14.5万ユーロ、イタリアは8.7万ユーロ、スペインは8.4万ユーロ、ドイツは6.5万ユーロだが、フランスは4.4万ユーロだ。

フランスのサラリーが安いのは、税システムが原因だ。

フランスでは、雇い主は雇用者のサラリーの40~45%を税金として納めなければならない。

仮に選手が5万ユーロの月給の場合、クラブは7.5万ユーロくらいを支払わねばならない。
イングランドでは税率は15%ほどだ。

パリSGはアメリカの投資会社に買われたが、他のチームは買収されていない。
そこがイングランド・リーグと違う。

フランスは、国外からのカネは汚いカネというイメージがあり、なかなかクラブ買収にOKが出ない。

2007年にアルメニア系のカナダ人がマルセイユを買おうとしたが、反対にあい失敗している。

(以下は『フットボリスタ 2011年7月13、20日号』から抜粋)

フランスリーグのパリサンジェルマン(パリSG)は、カタールの皇太子に買収されたばかりだ。

新オーナーであるカタールの皇太子タミーム・アル・サーニは、インテルのレオナルド監督を引き抜くことに成功した。

レオナルドは、パリSGのテクニカル・ディレクターに就任することが決まった。

レオナルドは、選手キャリアを終えた後に、ミランのガッリアーニ副会長の下でマネジメントに携わり、クラブ経営に詳しい。

レオナルドは、25歳の時に辺境の地「日本」でプレーする事を選んでJリーグに来たことからも分かるが、情熱の人である。

フラメンゴで一度現役引退した後、ミランのベルルスコーニ会長に口説かれてミランで現役復帰した過去もある。

パリSGは、フランスリーグのトップにいるチームの1つで、上手くチームを強化すればCLにコンスタントに出場できるだろう。

この点では、競争の激しいイングランド・リーグのマンチェスターCを買収したアブダビの王族よりも、目の付け所は良い。

パリSGを買ったカタール王家は、中東のテレビ局「アルジャジーラ」にフランスリーグの放映権を買わせて、フランスリーグに巨額のカネを渡してリーグを強化する構想も持っているという。

(2024年7月9日に作成)


『サッカー』 目次に戻る

『サイトのトップページ』に行く