(以下は『フットボリスタ 2007年2月21日号』から抜粋)
115年の歴史と国内リーグ18回優勝をほこるリバプールFCが、アメリカ人の2人の富豪に買収された。
買収したのは、ジレット氏とヒックス氏である。
ジレットは、NHLのモントリオール・カナディアンズのオーナーだ。
ヒックスは、NHLのダラス・スターズと、MLBのテキサス・レンジャースのオーナーだ。
リバプールFCの買収額は1億7400万ポンド(415億円)で、新スタジアム建設費やクラブの負債を含めると、総額4億7000万ポンド(1109億円)の買収額となった。
リバプールの買収は、先月まではUAEの政府系投資会社「ドバイ・インターナショナル・キャピタル」(DIC)が有力候補だった。
ほぼ合意に達していたが、ギリギリでリバプールの取締役会は売却先を変えた。
リバプール側は、6万人収容の新スタジアムの建設を切望していた。
2007年1月にヒックスは、2006年夏にアストンビラをアメリカ人のランディ・ラーナーが買収したのに影響されて、リバプール買収に参戦した。
そしてジレットとヒックスが組んだことで、高額の買収額を提示でき、DICに勝った。
新スタジアム建設の話は進み、すでに建設許可がおりて、スタジアムの命名権を売る方針だ。
英メディアは、「新オーナーは、来年度から65%も増加するテレビ放映権料に着目した」と分析している。
(以下は『フットボリスタ 2007年3月7日号』から抜粋)
イングランドリーグは、1部リーグにいればそれだけでテレビ放映権料の2600万ポンド(約60億円)がクラブに入ってくる。
だから1部に残留できるかは、巨額のマネーがかかっている。
(以下は『フットボリスタ 2007年9月5日号』から抜粋)
リバプールは、クラブ史上最高額の移籍金でフェルナンド・トーレスを獲得した。
ジェラードのパスでトーレスが決めるパターンが確立されるか見物だ。
リバプールのシステムは4-4-2で、2枚のボランチはシャビ・アロンソとジェラードである。
マスチェラーノとシッソコという強力な2人が、ボランチのバックアッパーだ。
2007年8月23日にチェルシーは、バルセロナからベレッチ(31歳)を獲得したと発表した。
これはセビージャにいるダニエウ・アウベスを獲れなかったための次善の補強である。
チェルシーはダニエウ・アウベスを獲るため、7月上旬に2300万ユーロを提示した。
だがセビージャのデル・ニド会長は断わった。
その後にチェルシーは3600万ユーロまで額を上げたが、デル・ニドは4000万ユーロなら話を聞くと言い、交渉は決裂した。
チェルシーは、ロッベン(23歳)をレアルマドリードに売って得た3600万ユーロでアウベスを買おうとしたが、550万ユーロでベレッチを買うことになった。
(以下は『フットボリスタ 2007年9月12日号』から抜粋)
中国人企業家のヤン氏が、1部リーグのバーミンガムの買収を進めている。
すでに株の30%を買い占めており、12月に買収を完了させるという。
イングランドリーグは、今季のTV放映権収入が2000億円を超え、1部の下位チームでも75億円の配当金を得る。
その一方で、2部のチームがもらえる配当金は2.5億円にとどまる。
ちなみにイングランドリーグの放映権料収入が1000億円を初めて超えたのは 2001年だった。
1部と2部で配当金のケタが違うので、2部に降格したチームが破産しないように、「パラシュート・ペイメント」という補助金が降格組には支払われる。
2部落ちをしてから2年間に、28億円の補助金を受け取るのだ。
降格したチームが皆、「2年以内に1部復帰を目指す」と言うのは、このためだ。
このルールにより、ごく一握りの1部を経験したチームだけが、2部で昇格争いをする状態になっている。
マンチェスターシティは、選手獲得を大量にしてリーグ開幕前から注目されていた。監督はエリクソンである。
戦術は、DFラインを高い位置にキープして、全体をコンパクトにしている。
この守備戦術は、裏を突かれた時に対処できる足の速いCBが必要だ。
マンCは19歳のリチャーズという足の速いCBがいる。
リチャーズは大柄でスピードもある。
エリクソンは、イングランド代表監督の時は賛否両論あったが、本質的に練習を通してチームを強くするタイプである。
イングランド人は、「自分たちは強い」と思っているので、親善試合だと各クラブは選手を代表に送るのを渋る。
この状態なので、練習重視のエリクソンは力を発揮できなかった。
2007年4月に、アーセナルで10年にわたり経営を取り仕切ってきたデイビッド・ディーン(63歳)が、幹部との確執から辞職した。
その後、8月30日にディーンは、自身の持つアーセナル株の14.5%を、アーセナル買収を目指すロシア企業に売却した。
ディーンは同企業の会長に就任し、アーセナル買収を目指している。
(以下は『フットボリスタ 2007年9月19日号』から抜粋)
西ヨーロッパの6大リーグでは、1シーズンで2~4割の監督が交代になる。
イングランドリーグは、監督の平均在任期間は3.35年で、6大リーグの中で最長だ。
イングランド人は、古きものを愛する気質で、築100年の家が新築よりも人気があり値段も高い。
この感性が、サッカー監督の長期在任につながっていそうだ。
成績不振になっても、監督を交代してゼロから再スタートすることに抵抗を感じるようだ。
マンUのファーガソン監督や、アーセナルのベンゲル監督は長期政権を築き、選手の入れ替えを主導している。
フロントが長期政権をマンネリと見ることはなく、ファンが求める結果を出せば監督は留任される。
ただし、イングランドリーグのチームは外国人に買収されてきており、こうした文化は一変する可能性がある。
実際にフルアムのオーナーのアルファイドは、買収から10年間で6人の監督をクビにしている。
ウェストハムを買収したマグヌソンも、早々にパーデュー監督をクビにした。
(以下は『フットボリスタ 2007年11月14日号』から抜粋)
2007-08シーズンの開幕前に、アーセナルはベンゲル監督と二人三脚でチーム作りをしてきたディーン副会長が退団した。
これを受けて、アンリもバルセロナに移籍した。
エースとして得点を沢山とってきたアンリが抜けたため心配されたが、アーセナルは開幕から10試合で得点数22と、昨年の16を上回っている。
アンリがいなくなったことで、他の選手たちの得点意欲が増した結果、セスク、フレブ、ロシツキーのMF3人は昨季は合計7得点だったのが、今季はすでに8得点している。
また、新加入のSBサニャも活躍している。
MFではボランチのフラミニが守備で活躍しており、攻撃に参加したSBのカバーリングは特に上手い。
SBの代わりに、ボールを持つ相手をタッチライン際へと押し込み時間を稼いでいる。
フラミニがいることで、セスクは円滑な攻撃参加ができる。
アーセナルの選手は2タッチ以下でパスを出すのが基本だが、フレブだけはボールをキープしてタメを作っている。
フレブがタメて、セスクが前線に飛び出し、そこにフレブがパスするのが1つの形になっている。
(以下は『フットボリスタ 2007年12月19日号』から抜粋)
マンUのライアン・ギグスが、イングランド・リーグで通算100ゴールを達成した。
17歳でマンUでデビューしてから、519試合での達成。
ギグスは34歳で、ボビー・チャールトンが持つマンUの公式戦最多出場記録(759試合)に、あと23試合まで迫っている。
チェルシーは、グラント監督になってから好調で、負けたのは初采配のマンU戦だけで、その後は15試合無敗である。
だがエースのドログバが膝の手術をし、当面の欠場が決まった。
エシアンも出場停止の処分中。
ミドルスブラは、イングランド・リーグで18位におり、降格圏内にいる。
昨季に合計で35得点したヤクブとビドゥカの2人が移籍したのが大きい。
新たにミド、トゥンジャイ、アリアディエールの3人を獲得したが、現時点で3人で4得点しかしていない。
ゲームメイカーのフリオ・アルカがケガで離脱しているのも痛い。
イングランド・リーグで最も辛抱強いオーナーと評判のギブソン会長は、サウスゲイト監督(37歳)の学習期間と捉えている。
しかし最近は、ホームゲームで1万席以上の空席も珍しくない。
ポーツマスのハリー・レドナップ監督が逮捕された。
4年前に、ポーツマスがアムディ・ファイ選手を獲得した際、代理人が手にした移籍金の一部が選手本人に流れた疑いである。
レドナップは、マクラーレンの後任としてイングランド代表監督になる有力候補だったが、その目は消えた。
(以下は『フットボリスタ 2008年1月16日号』から抜粋)
◎西部謙司の話
CLはベスト16まで来たが、とにかくリバプールは負けてほしい。
リバプールのサッカーが大嫌いだからだ。
ここ数年のリバプールは、サッカーがとにかく冴えない。
DFは少しプレッシャーがかかるだけで、何も考えないでボールを蹴り返す。ノー・アイディアだ。
アイディアとテクニックを否定する何かが、彼らの中にある。
リバプールは昨季はCLの決勝戦まで行き、3シーズン前には優勝しているが、サッカーはパッとしない。
ただ勝つためにプレーする、つまらないサッカーの標本だ。
ファビオ・カペッロの率いるチームと、つまらなさで双壁だが、カペッロのチームよりもずっとバタバタしている。
リバプールは、プレーのスピードをやたらと上げる。
自分たちも相手もコントロールできないレベルまでスピードを上げるので、ミスの連発になるが、試合自体はリバプールが勝ってしまう。
それがベニテス監督の機略なのか。
◎ニューカッスルとマンUの逮捕事件など
イングランド・リーグのニューカッスルに今季から加入したMFジョーイ・バートンは、 暴行容疑で2007年12月27日に逮捕され、留置場で新年を迎えた。
釈放されてからも警察の監視下にあり、まだ試合に出られない。
ニューカッスルのアラーダイス監督は、自ら経営陣を説得してジョーイ・バートンを獲得したが、この結果となった。
2007年末のクリスマスは、マンUが話題をさらった。
マンUの選手たちはクリスマス・パーティを開いたが、音頭をとったリオ・ファーディナンドは会費として90万円を集めたという。
このパーティは、監督と選手たちの妻、恋人は出席禁止で、美女100人を招いた。
そして参加した20歳のDFエバンズが、婦女暴行容疑で逮捕され、大事件となってしまった。
イングランドの2部リーグにいるQPR(クイーンズ・パーク・レンジャース)は、2007年9月にインド人の大富豪ラクシュミ・ミッタルが買収してオーナーになった。
ミッタルは、チェルシーのアブラモビッチよりも金持ちの鉄鋼王だ。
買収後、10月末にイタリア人のルイジ・デ・カーニオが監督に就任した。
(以下は『フットボリスタ 2008年2月13日号』から抜粋)
イングランド・リーグは、2008年1月の冬の移籍で、総額300億円以上を移籍金として使った。
これは単に、破格のテレビ放映権料収入で生まれたバブル景気である。
リーグ下位のチームでも、昨季より30億円近い増収となる、110億円の放映権収入があったので、選手の市場価格が高騰したのである。
チェルシーは、アネルカをボルトンから33億円で買ったが、価格急騰で当初の6億円増で買わざるを得なかった。
冬の移籍市場は、市場に出る商品(選手)が各クラブのいらない選手に限られるため、現在主力で活躍している選手を引き抜こうとすれば、割高な金額を提示するしかない。
ミドルスブラは、オランダのヘーレンフェーンから1600万ユーロ(26億円)でA・アウベスを獲得したが、この移籍は揉めている。
アウベスは2007年12月にAZと契約したが、所属先のヘーレンフェーンと合意がなく、二重契約になっていた。
アウベスはミドルスブラに移籍するため、AZとの契約は無効と言い出し、AZはFIFAに調停を求めた。
アウベスには出場停止の処分が下るかもしれない。
1部リーグの最下位いるダービーが、105億円でアメリカの資本家に買収された。
新オーナーのGSEグループは、クラブの50億円強の負債を肩代わりする。
イングランド・リーグは、半数以上のクラブが外国資本に買収されており、クラブは投資対象となっている。
そのため転売の噂が絶たず、ポーツマスはロシア系フランス人がオーナーだが、「6000万ポンド(126億円)以上で売却したい」と公表したばかりだ。
イングランド・リーグは、サッカー少年買いが流行している。
マンUはオーストラリアから9歳の少年をユースに呼び入れ、「ルーニー2世を手に入れた」と騒いだばかりだ。
アーセナルは4年半前に、16歳のセスク・ファブレガスをバルセロナから移籍金なしで引き抜き、世界的な選手に育てた。
アーセナルは今季は15歳のフリーマンを4千万円で獲得し、チェルシーも18歳の FWディ・サントを7.4億円で獲得した。
マンUはファビオ・シウバ(17歳、ブラジル)を11.2億円で、 マンCはフェリペ・カイセド(19歳)を11億円で獲得した。
(以下は『フットボリスタ 2008年3月26日号』から抜粋)
もうすぐイングランド・リーグのチェルシー対アーセナル戦がある。
チェルシーは、攻撃の中心はランパードで、彼の前線への飛び出しが武器になっている。
ドログバがDFを引きつけてポストプレーし、スペースにランパードが駆け上がり得点を量産している。
アーセナルのCBは、ドログバのマークで手一杯だろう。
だからスペースに走り込んでくるランパードは、アンカーのフラミニが付く必要がある。
だがチェルシーには、ランパードと同じくらい攻め上がりを得意とするバラックもいる。
だからフラミニはDFラインとマークの受け渡しをうまく行えるかが、勝敗のポイントの1つになる。
イングランド・リーグで首位のマンUは、攻撃の組み立ては前線から下がってきたルーニーが行うことが多い。
中盤に下がりすぎるルーニーに対し、ファーガソン監督は「もう少しゴールに近い位置で得点を狙え」と指示したほどだ。
リバプールのフェルナンド・トーレスは、ここ6試合で9得点と爆発している。
ベニテス監督が、トーレスの体力温存のために、昨年秋に起用を限定した成果が現われている。
(以下は『フットボリスタ 2008年10月15日号』から抜粋)
アストンビラにいる23歳のサイドハーフ、アシュリー・ヤングが大活躍している。
昨季はアシスト能力が開花して、アーセナルのセスクに次ぐ17アシストをあげた。
ヤングは両足を使えるので、クロスボールを上げるのとカットインの両方で決定機をつくれる。
プレースキックの精度も高いし、足も速い。
すでにイングランドのA代表に入っている。
ポーツマスに売却の噂が出ている。
このチームは外国人がオーナーで、120億円の負債を抱えるポーツマスを、40億円の手付金で受り渡す方針という。
報道によると、ポーツマスは年間収益130億円の9割が人件費で消えている。
(以下は『フットボリスタ 2009年11月11日号』から抜粋)
イングランド・リーグのポーツマスは、過去に獲得した選手の移籍金を支払わず、選手獲得が禁止となった。
ポーツマスは経営危機になっていて、2009年8月にUAEの投資家アルファイム(31歳)が買収した。
ところが10月にアルファイムは、サウジアラビアのアルファライ(40歳)に持ち株の90%を売却し、わずか40日でオーナーが代わった。
イングランド・リーグでは、チェルシーも2011年1月まで新しい選手の登録が禁止になっている。
(以下は『フットボリスタ 2010年6月16日号』から抜粋)
リバプールはイングランド・リーグを7位で終え、6月5日にベニテス監督が契約途中で解任された。
違約金は300万ポンドである。
ベニテスは結局、在任中にリーグ優勝ができなかった。(※CLでは優勝している)
リバプールは3.5億ポンドの負債を抱えている。
(以下は『フットボリスタ 2010年7月14日号』から抜粋
2011年11月16日にノートにとり勉強)
リバプールの新監督は、ホジソン(前フルアム)に決定した。
(以下は『フットボリスタ 2010年8月11日号』から抜粋)
◎リバプール
2010年6月3日に、ベニテス監督が違約金6.8億円をもらって解任された。
これは本来の違約金の3分の1の額である。
7月1日にロイ・ホジソンが新監督になると発表された。
ホジソンを2.7億円の賠償金を払ってフルアムから引き抜いた。
リバプールの現オーナは、4月に売却の意向を発表している。
現オーナーは07年2月に買収してリバプールを手に入れた。
09年6月末時点で 負債は3.5億ポンドに達している。
(以下は『フットボリスタ 2010年9月15日号』から抜粋)
◎夏のオフシーズンの選手移籍
〇アーセナル
コシエルニー(24)←ロリアン
スキラッチ (30)←セビージャ
シャマフ(26)←ボルドー
センデロス(25)→フルハム
キャンベル(35)→ニューカッスル
ギャラス(33)→トットナム
エドゥアルド(27)→シャフタール
シルベストル(33)→ブレーメン
A・トラオレ(20)→ユベントス(レンタル)
メリダ(20)→A・マドリード
○チェルシー
ラミーレス(23)←ベンフィカ 2200万ユーロ
ベナユン(30)←リバプール
R・カルバーリョ (32)→レアルマドリード
デコ (32)→フルミネンセ
ベレッチ(34)→フルミネンセ
バラック (33)→レバークーゼン
J・コール(28)→リバプール
○マンチェスターシティ
ハート(23、GK)←バーミンガム
シルバ (24)←バレンシア 4000万ユーロ
ミルナー(24)←アストンビラ
コラロフ(24)←ラツィオ 1800万ユーロ
T・ヤヤ(27) ←バルセロナ
バロテッリ (20)←インテル 2800万ユーロ
アイルランド(24)→アストンビラ
ロビーニョ(26)→ミラン
M・ペトロフ (31)→ボルトン
ボジノフ(24) →パルマ
○マンチェスター・ユナイテッド
スモーリング(20) ←フルアム
J・エルナンデス (22) ←チーバス
トシッチ (23)→CSKAモスクワ
(以下は『フットボリスタ 2011年7月13、20日号』から抜粋)
チェルシーの新監督が、ビラス・ボアス(33歳)に決まった。
ビラス・ボアスは、元はチェルシーのスカウトで、ポルト監督としてELで優勝したことから、チェルシーに引き抜かれた。
33歳という年齢は、チェルシーの副キャプテンのランパードと同じだ。
ちなみにキャプテンのテリーは31歳である。
同じ位の年齢の選手たちに、ベンチ行きなどを指示できるか、プライドの高いスター選手たちの心を掌握できるかが、見物だ。
チェルシーのオーナーのアブラモビッチは、CLの優勝を求めている。
これを達成できなければ、すぐにクビになる可能性もある。
アブラモビッチは、監督らスタッフの雇用と解雇に、オーナーになってからの8年で100億円近くを支出してきた。
(2024年7月9日、11月3日に作成)