サッカーのスペインリーグの話

(以下は『Number 2005年4月7日号』から抜粋)

2004年12月に、レアルマドリードのシーズン3人目の監督として、ルシェンブルゴが就任した。

そのルシェンブルゴにインタビューした。

質問

レアルマドリードは多くのスター選手がいるチームですが、どうですか。

ルシェンブルゴ

ヨーロッパのビッグクラブにブラジル人監督が就任したのは、私が初めてです。

ビッグクラブを率いる上で最も重要なのは、選手たちにエゴを捨てさせてチームを優先させることです。

質問

グラベセンの加入で、安定感が増しましたね。

ルシェンブルゴ

ダイヤ型の中盤の底にグラベセンを置くことで、守備が強化されました。

彼がいれば、中盤の左にジダン、右にベッカム、前にフィーゴと3人の攻撃的MFが置けます。

ダイヤ型の布陣はバランスが良く、私は好きです。

質問

レアルのサッカーのリズムは、少し遅いのではないですか?

ルシェンブルゴ

今のレアルの選手達にはスピードはありません。
私は無理なことは求めません。

(以下は『フットボリスタ 2007年2月21日号』から抜粋)

レアルマドリードはスペインリーグにおいて、第21節までに奪った得点はわずか28で、深刻な得点不足の状態だ。

その中でFWのロナウドが、冬の移籍期間にミランに移籍した。

だが1月には、イグアイン (19歳)とガゴ(20歳)という2人のアルゼンチン人を獲得したから 、活躍すれば好転するかもしれない。

レアルマドリードでは、FWのカッサーノはカペッロ監督から戦力外の扱いで、ラウールの負傷もあり、イグアインはすぐに試合に出始めた。

イグアインは、ファン・ニステルローイの後方でプレイしている。

同チームのベッカムは、クラブに相談することなく来季の移籍先を発表してから、ベンチ外に置かれることが続いていた。

この事について、グティが選手を代表してカペッロ監督と話し、「ベッカムを試合で使ってほしい」と直訴した。
この結果、ベッカムは2月10日のレアルソシエダ戦で復帰した。
この試合は、ベッカムのFKで得点して勝利した。

レアルマドリードは現在、スペイン・リーグで3位におり、カペッロの解任論が盛り上がっている。

(以下は『フットボリスタ 2007年3月7日号』から抜粋)

CLの決勝トーナメントが始まり、バルセロナとリバプールが対戦した。

第1レグはバルサのホームだったが、リバプールが2対1で勝った。

このため第2レグではバルサは勝たなければならなかったが、この試合もリバプールが2対1で勝った。

リバプールの監督はベニテスだ。

第2レグでは、リバプールは激しいプレスをかけて、29のファウルを積み上げたが、ペナルティエリア付近ではほとんどファウルはしなかった。
バルサのビルドアップの所で厳しくチェックし、チャンスの芽をつんでいった。

バルサは監督はライカールトで、4-3-3の陣形。

FWは、左からロナウジーニョ、エトー、メッシ。

MFは、イニエスタ、モッタ(アンカー)、デコ。

DFは、ファンブロンクホルスト、プジョル、テュラム、ザンブロッタ。

GKはバルデス。

ラウール(29歳、レアル・マドリード所属)とフェルナンド・トーレス(22歳、アトレティコ・マドリード所属)は、共通点が多い。

19歳でスペイン代表デビュー、マドリッド出身、今では郊外のポスエロに住んでいること、で共通する。

トーレスはAマドリードのユース上がりで、2001年5月に2部リーグにいた同チームでプロデビューした。

ラウールは15歳までAマドリードのユースにいたので、Aマドリードが予算削減のためユースの整理をしなければ、トーレスと一緒にプレーしていたかもしれない。

ラウールは、1998-99と2000-01シーズンに、スペインリーグの得点王になった。

だがレアルマドリードに4年前にロナウドが加入したため、ペナルティエリアから離れてプレーすることが多くなり、得点数は減っていた。

ロナウドが2007年1月にミランに移籍したので、ラウールにチャンスが訪れている。

(以下は『週刊サッカーマガジン 2007年4月17日号』から抜粋)

FCバルセロナに所属するブラジル代表のロナウジーニョは、現在スペインリーグで17得点しているが、以前のようにサッカーを楽しめていないように見える。

彼はブラジル代表としてコパ・アメリカに出場せず(※出場を辞退した)、「スペインリーグが 終わったら2ヵ月のバカンスを取る」と表明した。

ロナウジーニョのマネージャーである、兄のアシスは、このところイタリアのミラノによく現れている。
どうやらインテルやACミランとコンタクトを取っているらしい。

ACミランのオーナーであるベルルスコーニは、ブラジル人のスター選手であるロナウドとカカーをすでに獲得しており、ロナウジーニョも狙っている。

(※ロナウジーニョは、その後にミランに移籍した)

(以下は『フットボリスタ 2007年9月5日号』から抜粋)

レアルマドリードは、リーグ優勝したのにカペッロ監督をクビにして、「ゲームの質」を求めてシュスター監督に替えた。

カペッロは守備的ボランチ2人を入れた4-2-3-1で戦っていたが、シュスターは中盤を変形にした4-4-2や、4-3-3を試している。

2007年夏のシーズンオフに、レアルマドリードは1億1900万ユーロ(184億円)を選手獲得に費やした。

補強した選手は、CBにメッツェルダーとペペ、GKにドゥテクを獲り、FWはサビオラとソルダードを獲った。

その後、さらにスナイダー、ドレンテ、ロッベンを獲り、退団したロベルト・カルロスの代わりとしてエインセも獲った。

退団したのは、ロベカルの他には、ベッカム、エメルソン、エルゲラがいる。

バルセロナは、昨季は優勝できなかったが、成績は圧倒的で、78得点33失点とリーグ最多得点・最小失点だった。

優勝できなかったのは、引き分けが10と多かったからだ。

今季もライカールトが監督が続投し、補強はヤヤ・トゥーレ、アビダル、アンリ、ガブリエル・ミリートである。
主力選手の退団はなかった。

バルサの戦術は研究し尽くされており、今までの4-3-3だけでは厳しい。

昨季も3-4-3や5-2-3をテストしていた。

期待の若手として、ボージャンとジオバニ・ドスサントスが現れており、強力なバックアッパーになりそうだ。

アトレティコ・マドリードは、エースのフェルナンド・トーレスを放出し、それで得たカネで大量に選手を入団させた。

フォルラン、レジェス、ルイス・ガルシア、シモン、ラウール・ガルシアの実力ある選手たちだ。

すでにアグエロとマキシ・ロドリゲスがいるので、攻撃陣は充実している。

昨季に続いてアギーレ監督が率いるが、4-4-2や4-2-3-1の布陣は変えないだろう。

アトレティコ・マドリードは選手獲得に、7100万ユーロ(110億円)を投じた。

レアルマドリードのラモン・カルデロン会長は、「ミヤトビッチをトップとするスポーツ部門の決定に介入しない」といつも述べているが、本当は介入している。

カルデロンはインタビューで、こう自白してしまった。

「ミヤトビッチはいつもレアルの監督候補として、クーマン、ベンゲル、ラウドルップを挙げた。シュスターは彼の好みではなかった。

しかし(私が説得して)その後にシュスターがベストだと(彼は)結論した。

1年ほど前、レアルの会長選挙の最中にミヤトビッチは、実績のあるカペッロ監督にすると私に告げた。
私が会長選挙でシュスターの名を挙げたことに、ミヤトビッチは反対していた。

カペッロ監督は守備的で、マケレレの獲得とロベルト・カルロスの契約更新を私に求めた。
だからクビにした。」

(以下は『フットボリスタ 2007年9月19日号』から抜粋)

スペインリーグは、監督が短命だ。

例えばバルセロナは、91シーズンで58人の監督と、2年に1回以上のペースで監督が替わっている。

バルセロナで最長だった監督は8シーズンのクライフで、もし現在のライカールト監督が今シーズンの最後まで監督に居続ければ史上3位の長期政権となる。

Aマドリードは1988-89シーズンに、次々と監督が交代して、のべ6人の監督がベンチに座るという怪記録をつくっている。

スペインでは、経営陣がすぐに監督のクビを切るので、監督のほうも良いオファーがあればすぐに移籍してしまう。

スペインでは、誰も監督にクラブ愛を求めていない。

スペインでは、3~4シーズンで1つのサイクルが終わり、長くチーム内を変えないと下降線をたどるとの考えが普及している。

ラテン民族の気の短さや、独裁オーナーの気分まかせの監督解任も、監督がすぐクビ切りにあう理由だろう。

レアルマドリードは、選手獲得に大金を投じるので、累積債務が2億7000万ユーロに達しているらしい。

だがカルデロン会長は平気な顔をしている。

以前にレアルマドリードは、市内に持つ練習場を市に4億1200万ユーロで売却し、債務を帳消しにした上で、ジダン、フィーゴ、ベッカムらを買ったことがある。

この時はペレス会長だったが、ペレスはスペインでも指折りの建設会社を持つ人で、市当局と癒着して市に通常の数倍の値段で練習場の土地を買わせた。

今度も、同じような裏取引が行われるのだろうか。

(以下は『週刊サッカーマガジン2007年9月25日号』から抜粋)

FCバルセロナに所属し、「ロナウジーニョ2世」と呼ばれる18歳のFW、ジオバニ・ドスサントスが、2007年9月についに公式戦デビューした。

ドスサントスはメキシコ人で、8月にスペイン国籍を取得している。

(※これは二重国籍で、ドスサントスはメキシコ代表で活躍した)

(以下は『フットボリスタ 2007年11月14日号』から抜粋)

今季のレアル・マドリードは、10節を終えた時点で勝ち点25、得点数も25と好調だ。
シュスター監督が魅せるサッカーを進めている。

昨季のカペッロ監督は、4バックと2ボランチで守りを固め、攻撃は両サイドからのクロスとグティのパス頼みだった。
この退屈なサッカーにファンたちは愛想を尽かしていた。

今季は左サイドMFにスナイダーが入ったことで、パサーがグディの他にもう1人いる。
これにより、2トップのファン・ニステルローイとラウールも活きている。

ラウールは、本職のセカンドトップで起用され、ここまで5得点している。

彼はこれまで何年も、サイドのウイングとして起用されることが多かった。

ラウールは2006年9月からスペイン代表に呼ばれていないが、それも疲労が減りリーグで好調な一因だろう。

2007年10月29日に、バレンシアのキケ・フローレス監督(42歳)が解任された。

スペインリーグでバレンシアは現在、首位と勝ち点4差の4位にいる。
また過去2シーズン連続でCL出場権を獲得してきたが、フローレス監督はファンたちに嫌われた結果クビになった。

フローレスは記者会見で、「バレンシアで監督をしたこの2年、完全に孤独だった」とコメントした。

フローレスはCLでベスト8にチームを導いたが、堅守速攻のスタイルがファンたちに嫌われた。

バレンシアはフローレスを解任した2日後に、「PSVのロナルド・クーマン監督を引き抜いて監督にする」と発表した。

バレンシアは、今年の夏にカルボーニSDが解任されてから、フローレスの解任を求めるファンが圧倒的だった。

ソレール会長がフローレスを擁護しなかったのも、フローレスを孤立化させる要因だった。

(以下は『フットボリスタ 2008年3月26日号』から抜粋)

スペインリーグでは、1部リーグのチームの半数が4-2-3-1を採用している。
つまり1トップが主流だ。

パスをつなぐサッカーが賞賛されるスペインでは、FWもパス回しの駒の1つで、スペースに走り込むことと、囲まれてもボールを奪われないことが求められる。
タムードやマカーイがこのタイプだ。

スペインでFWが成功するには、もらったボールを確実に味方につなぐことと、シュートを枠に入れることが秘訣だ。

ロングボールの放り込みが許されないお国柄なので、1トップはシャドーストライカーと組むことが多い。

過去10年でヘディングの得意な大型FWが得点王になったのは、1997-98シーズンのビエリのみだ。

スペインリーグでは、FWはヘディングの強さよりも、動きの量と質が求められる。

ただしビッグクラブは良質のウイングがいるので、パスをワンタッチでシュートして決めるFWも活躍できる。
ラウールやボージャンがこのタイプだ。

バルセロナで99試合71得点しているエトーは、マジョルカに在籍した時期も5シーズンで54得点しCL出場に導いている。

エトーは、スペインリーグで理想的なストライカーだ。

ただし今季はエトーはケガで出場が少なく、セビージャのルイス・ファビアーノが得点王になりそうだ。

2008年3月1日に、バレンシアのソレール会長が辞任した。

モレラ新会長は、「アルベルダの問題を解決したい」と語るが、ソレールが筆頭株主として君臨するかぎり、モレラは操り人形との疑念が残る。

(以下は『フットボリスタ 2009年11月11日号』から抜粋)

レアルマドリードは、エースのクリスティアーノ・ロナウドがケガで離脱してから、2勝1分3敗とブレーキがかかっている。

カカー、ベンゼマ、イグアインがFWにいるが,クリロナの穴を埋められていない。

(2024年7月9&16日に作成)


『サッカー』 目次に戻る

『サイトのトップページ』に行く