(以下は『フットボリスタ 2007年11月14日号』から抜粋)
EUでは「ボスマン判決」が出た1995年12月から、クラブと選手の契約交渉において、契約満了すると選手は自由が保障され、契約延長の拒否が可能となった。
EUは、サッカー選手が移籍(転職)する際に移籍金が発生するのを問題視して、1998年にFIFAに対し移籍金の撤廃と移籍の自由化を勧告した。
これを受けてFIFAは2001年に、『選手のステイタスと移籍にする規定』を発表した。
これは、一方的な契約解消を、契約期間内でも認めるものだ。
ただし、契約を一方的に解消した場合、4~6ヵ月の出場停止と、FIFAの算定する違約金の支払いが課せられる。
上記の出場停止は、「満28歳未満で交わした契約は締結してから3年、28歳以上は同2年」が経てば、適用されない。
またFIFAの算定する違約金は、通常の移籍金よりも安い。
つまり、契約してから2~3年経った選手は自主的に退団・移籍ができて、その違約金はあまり高額ではなく、移籍先のクラブが支払えばいいのだ。
この手法だと、クラブは市場価格よりもずっと安く選手を獲得できる。
上述の移籍の仕方は、これまでの慣習をこわすものである。
だから2001年に規定は作られたが、2006年までは誰も行使しなかった。
しかし2006年の夏に、25歳のDF、アンドリュー・ウェブスターが、この移籍の方法を使った。違約金は62万5千ポンド (1.5億円)だった。
2007年夏には、ウディネーゼにいたGKのモルガン・デ・サンクティスが、この方法でセビージャに移籍した。
バルセロナにいるロナウジーニョは、契約したのが2005年なので、2008年夏には3年経ち、一方的に契約解除できる。
違約金は2000万ユーロくらいと見られ、ビッグクラブなら支払える額だ。
ロナウジーニョの年棒は900万ユーロと言われていて、28歳の今が売り時とバルセロナは判断するかもしれない。
(2024年7月16日に作成)