戦術リストランテから学ぶ④
色々②

(以下は『フットボリスタ2011年2月か3月の号 戦術リストランテ第88回』から抜粋
2011年9月9日にノートにとり勉強)

○PSG(パリ・サンジェルマン)のサッカーと特徴

PSGの攻撃の中心は、モナコから新加入した左WGのネネーだ。

守備の中心はフランス代表のママドゥ・サコで、クペからポジションを奪ったGKエデルもレベルが高い。

守備では、CBコンビのサコ、カマラが良く、堅調だ。
サコはデサイーのレベルになれる素材で、まだ21才。

CBの能力は高く、単純なハイボールの放り込みではノー・チャンスとなる。

フランスは伝統的に、フィジカルの強い黒人がCBを務めてきた。

PSGのシステムは、オーソドックスな4-2-3-1。

ボランチの2枚は、クレマン、シャントーム、マケレレ、ボドメルが務める。

攻撃時は4-4-2に近くなり、起点は両サイドのネネーとジュリが担う。
PSGは伝統的にブラジル人が中心にいることが多い。
(※ネネーはブラジル人)

ロングボールはけらず、ワンタッチ・パスでつなぐスタイルだ。

○PSGの特徴

このチームは、パリにチームを作ろうということで1970年に誕生したが、パリのサッカー熱は高くない。

パリは大きすぎる街だ。東京をイメージするとわかりやすい。

メイン・スポンサーは長らく「カナル・プリュス」だったが、この放送局はリーグ全体のスポンサーでもあり、おかしな状態になっていた。

ブラジル選手のロナウドが絶頂期の頃、PSGに入団が決まりかけた事がある。
だがカナル・プリュスの役員の「PSGだけ強くなるとリーグがつまらなくなる」という反対で却下された。

放送局の上層部がサッカーをわかっておらず、スーパースターが来た方が盛り上がることすら分からないのだ。

PSGはハーフタイムになると、チアガールが踊る。

メディアはPSGをネタにすると盛り上がるので、褒める時は褒め上げるが、こきおろす時は強烈に叩く。

サポーターも勝ち上がると喜ぶが、負けると一気に熱が冷める。

(以下は『フットボリスタ2011年?号 戦術リストランテ第94回』から抜粋
2011年12月22日にノートにとり勉強)

○ポルト

ポルトはスカウティングが上手いことで有名なチームだ。

フォーメーションは、4-3-3を長く続けている。

ビラス・ボアス監督になってからは、DFラインをフラットにし、高めのラインにして攻撃的になった。前線からプレスをかける。

ポルトのFWには、Jリーグでもプレイしたフッキがいる。
Jリーグ時代は自分のことしか考えていなかったが、今はチームの中で生きるようになった。
今は右ウイングに固定されて、プレーがはっきりした。

元々ポルトは各ポジションの役割が明確で、両ウイングがいつも優秀だ。

現在はフッキとC・ロドリゲスが両WGで、2人共に体幹が強く、ゴリゴリと前にボールを運べる。
そのためCFにハンマー・タイプの良い選手がいると強い。

ポルトは、MFは伝統的に1ボランチで、その前にゲームメイカーとオールラウンダー を置く。

1ボランチはフェルナンドで、以前はコスティーニャだった。

ゲームメイカーはモウチーニョで、以前はデコだった。

オールラウンダーはグアリンで、以前はマニシェだった。

CFはファルカオだが、彼はボックス内でワンタッチで得点するタイプで、GKとDFの間を狙うのがうまい。
動きのタイミングがすばらしい選手で、インザーギに似ている。

1対1では止められないフッキからのクロスボールを、ファルカオが決めている。

ポルトはイングランドのチームっぽくて、各ポジションに職人的なスペシャリストを揃えている。

選手をビッグクラブに引き抜かれることは多いが、各ポジションの役割がはっきりしているので、必要な選手をリストアップしやすい。

ブラジルとコネが強くて、良いブラジル選手を常に抱えている。

コスタ会長はワンマンだが、人選は的確だ。

ユース出身の選手が少ないのは課題である。

〇ビラス・ボアス監督の経歴

近所に住んでいたロブソン監督と親しくなり、16才でポルトのスタッフとして働くようになった。

モウリーニョ監督に可愛がられ、アシスタント・コーチになった。

昨季の途中でアカデミカの監督に就くと、降格ゾーンからチームを引き上げた。
それが評価され、今季(2010ー11シーズン)からポルトの監督に。

ポルトガルは、選手経験の有無をあまり監督選考で重視しない。
(※ビラス・ボアスはプロ選手の経験がない)

なおビラス・ボアスは、英国系の貴族の出身である。

(以下は『フットボリスタ2011年6月1日号 戦術リストランテ第95回』から抜粋
2011年12月14日にノートにとり勉強)

○CLの決勝、バルセロナ対マンUの見どころ

マンUの鍵を握るのはパク・チソンだ。唯一運動量の落ちない選手である。

マンUは、いかに守るかがポイントだ。
ボールを持たれても構わないという割り切りが必要。

ゴール前を固めるか、ハーフフェイ・ラインからのハイプレスのどちらかで守るだろう。

バルセロナがボールをキープをするので、時間が経つにつれてバルセロナが有利になる。だからマンUは先制点を取る必要がある。

バルセロナはスロー・スターターなので、試合開始から10~15分に全てをかけるべきだ。

マンUがFWにエルナンデスを起用するなら、先手必勝のためだ。
彼は点取り屋で、それ以外はできない。

エルナンデスにパス能力はなく、パスはルーニー→エルナンデスの一方通行になっている。

アーセナルがバルセロナ戦で見せた戦術は正しい。
行ける所までがんばり、後は根性で耐えるしかない。

バルセロナの守備プレスは、奪われた瞬間にプレスにゆく。
これはセオリーに反している。
普通は引いて守備ブロックを作る。

バルセロナは前からプレスをかけるが、これはマンツーマンに近い考え方だ。

バルセロナの守備に対しては、落ちついていなせる技術が必要となる。
そのためマンUは、キャリック、フレッチャーではなく、足元の技術が高いギグス、アンデルソンをボランチに使うだろう。

○ボール・ポゼッション率について

昔はポゼッション率が65%を超えていたら、ほぼ負けだった。
なぜならボールを持たされている状態だったからだ。

その定説をくつがえしたのが現在のバルセロナである。違いはボール奪取の早さだろう。

(以下は『フットボリスタ2011年6月?日号 戦術リストランテ第96回』から抜粋
2011年12月22日にノートにとり勉強)

○CLの決勝、バルセロナ対マンUの感想

試合が始まると、マンUは積極的にプレスをかけて、前線でボールを奪いに行った。

しかし試合開始から10分しかプレスは続かなかった。
先発メンバーはこの作戦のために選んだので、10分以降の引いた展開では機能しなかった。

2トップにルーニーとエルナンデスの足の早い2人を起用し、前線からプレスをかける方法をとった。

マンUは、最初の10~15分の間に先制点を取るプランだった。
バルセロナのGKバルテズがボールを持つ時を、マンUは狙っていた。

マンUは守備の時は、外を捨てて、中を4バック+2ボランチで固めていた。

だがCB2人が、エリア内では強いが、アジリティが弱くて、バルセロナのスピードについていけなかった。

さらにマンUはカウンター攻撃を全然出せなかった。
キャリックよりもアンデルソンを起用した方が、カウンターをできたはずだ。

マンUのメッシ対策は、マンマークはせずに、ゾーンで守っていた。
DFは「突っ込まない」という正しい守備をしていたが、距離を取りすぎで、メッシにとってはフリーと同じになっていた。

マンUの限界は、後半に再びリードされた時に流れを変えるため投入する選手を持っていなかった事だ。

ギグスはスタミナが切れてしまい、後半は消えていた。

後半からパクとギグスのポジションを入れかえたのは、ギグスのスタミナを温存させるためだった。
しかしパクというマーカーが外れたことで、ダニエウ・アウベスに自由を与えてしまった。

マンUは、2年前にCL決勝でバルセロナと戦った時よりも弱体化しており、特にカウンターの威力が低下していた。

現在のトップレベルの試合では、ベテラン選手が1試合出続けるのは難しい。

(2024年10月22日に作成)


『サッカー』 目次に戻る

『サイトのトップページ』に行く