ジーコ・ジャパンの話

(以下は『Number 2005年4月7日号』から抜粋)

ワールドカップのアジア最終予選がスタートし、ジーコ・ジャパンは初戦となったホームの北朝鮮戦で、苦戦しながらも勝利した。

次はアウェーでイラン戦だが、ジーコ監督は「勝ち点3を取りに行きます」と言う。

ジーコは、こうも付け加えた。
「ただし絶対に落とせないのは、イラン戦の次にあるホームのバーレーン戦です」

中田英寿はケガなどで、このところ所属チームで出場していない。
だがジーコ監督は、イラン戦を前に招集にふみ切った。

ジーコは言う。

「中田英は、キャリアの中でも最も辛い時期と思う。
彼がどういう状況か、じっくり話し合いたい。
元気になってほしいし、そのために何でもしてあげたい。

彼はスタメンでフル出場するタイプだが、ケガや所属チームの戦術により、それが出来ていない。

彼には精神的なリフレッシュが必要です。だから日本代表で楽しんでほしい。

彼は遠慮なくものを言う人だが、私にどんどんぶつけてほしい。
彼が代表を離れて1年ぐらい経つから、もう戻ってもいいでしょう。

あれだけの才能だから、コンディションが良ければスタメンもあり得ます。
才能はすごいから、良い形で戻ってきてほしいと思っています。

MFでは、稲本もケガが治って調子を上げてきてますが、稲本がケガをしてから福西が本当によくやっているから、福西がスタメンです。」

先日(2005年2月)の北朝鮮戦では、中村俊輔と高原直泰が先発から外れた。

ジーコはこう説明した。

「戦術とシチュエーションで、スタメンは変わってきます。

私も現役時代にスタメンから外れたことはあります。
でも私は、スタメンから外れても、実力が下という気持ちは一切なかった。

だから彼らにも、『君たちの今のベストな使い方は、短い時間なんだ』と言いました。

北朝鮮戦では、『中村と高原をわざわざ(海外から)呼んだのに、ベンチに置いた』と批判されました。

逆にシンガポール戦の時は、彼らを先発で使ったら、『なぜもっと早く交代させなかった(ベンチに下げなかった)のか』と批判された。

すごく憤慨しています。

私はスタメンを固定したくない。
あとから来た選手が虎視眈々とポジションを狙うのが、一番良い状態でしょう。」

今のジーコ・ジャパンは、サイドバックの層が薄いのが弱点になっている。
ジーコはどう思っているのか。

ジーコはこう語る。

「サイドのスペシャリストが、加地、三都主、三浦淳宏の3人しかいません。

山田暢久は、真ん中でプレーすることが多い。

日本人はウイングバックはいるけど、サイドバックが少ないですね。」

Jリーグのほとんどのチームが3バックなので、どうしてもサイドバックは少なくなる。
そこでコンバート案も浮上している。

ジーコ

「緊急用として、左サイドバックに中田浩二と茶野隆行、右サイドバックに坪井慶介を考えています。

できるかどうか合宿で見極めます。」

最後にジーコは、直近のイラン戦について、「布陣は4-4-2。ボランチは福西と小野伸二。残り2枚のMFは、中村と、小笠原か中田英を考えている」と語った。

(2025年1月1日に作成)


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