(『東京新聞2023年3月28日』から抜粋)
「量子コンピュータ」とは、光や原子、電子といった、「量子」と呼ばれる粒子の性質を利用したコンピュータである。
従来のコンピュータは、0か1の状態を示す「ビット」を使う。
これに対し量子コンピュータは、0でもあり1でもあるという「重ね合わせ」も含めた、量子ビットを使う。
量子コンピュータは、一度に処理できる量が飛躍的に増える。
そのためAI(人工知能)と相性が良いという。
ただし量子コンピュータは、量子ビットが壊れやすく、計算エラーが起きやすい。
これを解決する技術は発展途上で、実用化の障害になっている。
アメリカのIBM社は2022年11月に、433量子ビットの装置を開発したと発表した。
日本では理化学研究所などが量子コンピュータを開発しており、初の国産機が2023年3月27日に稼働した。
これは外部の研究者らがクラウドを通じて利用できるようにする。
アルゴリズムの改良や人材育成につなげたい考えだ。
今回の国産機は、極低温で電気が流れやすくなる(電気抵抗がゼロになる)「超電導」を利用しており、64量子ビットである。
この技術は、アメリカのグーグルやIBMも採用している。
現在は一部に動作不良があり、53量子ビットで動作している。
まだ小規模で基礎的な計算をしている段階である。
量子コンピュータが本格的な計算をするには、100万量子ビットが必要といわれている。