(以下は『東京新聞 2016年8月9日』から抜粋)
韓国は、平均寿命は伸びているが、人口10万人当たりの自殺者数が経済協力開発機構(OECD)加盟の34カ国中でワーストだ。
特に高齢者の自殺率が高い。
貧困や孤独が、自殺の主な原因だ。
韓国では、平均退職年齢は53歳。
年金がもらえる60歳まで働かなくてはならないが、再就職は難しく、50歳以上の半数近くは平均月収が100万ウォン(約9万5千円)未満だ。
これが自殺増加につながっている。
東洋英和女学院大学の春木育美・准教授は、こう解説する。
「息子や娘が退職後の親に仕送りするのが慣習だったが、はっきりと減った。
自分の子供の進学や結婚で物入りなのに、父母を扶養する余裕はない。」
変化のきっかけは、1997年の通貨危機だった。
企業は人員整理に走り、その後の(IMF主導で作られた)グローバル経済も人々の生活苦を生んだ。
韓国は、国民皆年金の制度が実現してまだ17年で、65歳以上の年金受給率は36%、平均支給月額は32万ウォン(約3万1千円)にすぎない。
高齢世帯の3分の1以上が生活困窮者だ。
韓国経済は貿易額が世界トップ10に入ったが、社会保障の財源は不足している。
(以上は2025年7月9日に作成)