マリの状況(以下は『毎日新聞 2013年1月14日』から抜粋)
イスラム過激派の南進を阻止するため、フランスが軍事介入した。
これを受けて、ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)は軍の派遣を決めた。
国連安保理は、昨年12月にECOWASの軍事介入を承認している。
マリの北部はサハラ砂漠が広がり、イスラム過激派やアルカイダが支配している。
1月10日にイスラム過激派が中部コンナを制圧したため、マリ政府は旧宗主国であるフランスに支援を要請した。
フランス軍は11日に部隊を派遣して、コンナを奪還した。
🔵ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)とは
1975年に設立された、地域協力のための機構。15ヵ国が加盟している。
経済協力の他に、政治の安定にも取り組んでいる。そのため軍を持っている。
日本政府も無償資金の支援をしている。
(以下は『毎日新聞 2013年1月18日』から抜粋)
1月14日にイスラム過激派は中部のディアバルを制圧した。
フランス軍とマリ軍は、ディアバルの奪還を至上命題としている。
ECOWASの部隊は17日から参加する予定。
フランスは2500人を派兵する予定。
(以下は『毎日新聞 2013年1月20日』から抜粋)
仏軍とマリ軍が苦戦している。
イスラム過激派の装備が予想以上に充実しているためだ。
リビアのカダフィ政権が崩壊した後に武器が流出し、過激派に渡っているらしい。
過激派は南米産のコカインを欧州に密輸するブラックビジネスに関わっているとされ、潤沢な資金があるらしい。
過激派は統制が取れており、一般市民の中に紛れるゲリラ戦術を採り始めている。
(以下は『毎日新聞 2013年1月22日』から抜粋)
マリの首都はバマコである。
マリは穏健なイスラム教徒の国で、多くの国民はイスラム法の厳格な適用を進めるイスラム過激派に批判的だ。
バマコの住民は、「フランス軍の介入がなければ、過激派は間違いなくバマコまで来た」と話す。
フランス軍の作戦が早期終結する保証はない。
米国は力で抑え込むやり方でイスラム世界と対決し、テロを世界に広げてしまった。
アジア経済研究所の武内進一氏は、「テロの背景には貧困などの問題があるとされ、軍事作戦だけでは対テロ戦争は成功しない」と語る。
(以下は『毎日新聞 2013年2月4日』から抜粋)
🔵マリの近年の状況
2011年8月
リビアのカダフィ政権が崩壊した。
マリに帰還した兵士が、「アザワド解放民族運動(MNLA)」を結成。
2012年4月 MNLAなどが北部を掌握。
7月 イスラム過激派がMNLAを放逐し、北部を支配。
12月 国連安保理はマリへの軍事介入を承認。
2013年1月10日
イスラム過激派はマリ中部のコンナを制圧。
首都バマコにも危険が迫ったと判断したマリ政府は、国連とフランス政府に軍事支援を要請。
1月11日 フランス軍が介入し、コンナを奪還。
1月12日 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)がマリへの軍派遣を決定。
1月14日 イスラム過激派がマリ中部のディアバルを奪取。
1月21日 フランス軍・マリ軍がディアバルを奪還。
🔵解説
フランスは3500人の地上軍を展開。2週間で過激派の拠点をほぼ制圧した。
今後の主戦場はサハラ砂漠になるが、ゲリラ戦を含む長期化を警戒している。
フランス政府は、マリ政府と反政府勢力の仲介にのり出した。
MNLAとはマリ政府も交渉可能とみている。
マリは1960年に独立するまで、フランスの植民地だった。
現在でも公用語はフランス語で、つながりが続いている。
フランスとの独立戦争で多数の犠牲者が出たアルジェリアと異なり、マリ国民の対仏感情は比較的良好。
隣国のニジェールには、「フランスの原子力大手のアレバ社」が採掘するウラン鉱山がある。
この鉱山は、アレバ社のウラン産出の3分の1、フランスにある原発で使用するウラン燃料の3分の1をまかなっている。
この地域の不安定化は、原子力大国フランスの足元を揺るがす可能性がある。
(以下は『毎日新聞 2013年2月13日』から抜粋)
マリでは1月11日にフランス軍が軍事介入し、北部の都市を次々と奪還してきた。
この過程で戦闘はほとんどなく、過激派は早々に撤退していた。
過激派はゲリラ戦術を狙っている。
(2025年10月27日~11月4日に作成)