(『南アフリカを知るための62章』から抜粋)
南アフリカでは、キリスト教徒が8割を占めている。
しかし、その内実は多様だ。
南アのキリスト教会は、「白人入植者が拓いた教会」と、そこから独立し「土着の文化と融合した独立協会」に分けられる。
代表的な独立協会である「ザイオン・キリスト教会」は、500万人の信徒を抱え、南アで最大である。
ローマ・カトリック(320万人)、オランダ改革派(300万人)、メソディスト(300万人)が、それに続く。
近年は、異言や癒しを重視する「ペンテコステ=カリスマ派」が、目覚しく信徒を増やしている。
多くの黒人キリスト教徒は、キリスト教の信仰と呪術とが、心の中で自然に同居している。
オランダ改革派は、アパルトヘイト時代に国民党政権(白人政権)を支えた。
独特の教義によって、アパルトヘイトを正当化した。
注意しなければいけないのは、教派によってアパルトヘイトへの態度が一様に決まっていたのではない事である。
オランダ改革派の中にも、果敢にアパルトヘイトに立ち向かった人は居た。