(毎日新聞2012年11月の記事から)
ベネズエラは、南米最大の産油国である。
チャべス大統領は、10月の選挙で4選を決めた。
チャべス政権下の13年余で、ベネズエラは南米一の格差のない国に変わった。
失業率は15.3%→8.8%に低下した。
ベネズエラでは、票と引き換えに石油収入をばら撒く政治が、1970年代から続いている。
チャべス政権になり、恩恵を受ける層が貧困層に代わった。
チャべスは国有化を進めて、これまでに1168の企業と農地200万ヘクタールが国有化された。
撤退を余儀なくされた、アメリカの石油会社やカナダの金採掘会社は、損害賠償を求めている。
ベネズエラが抱える提訴数は、世界一となっている。
チャべスは「判決は無視する」と宣言し、6月までに欧米の銀行に預けていた金準備を引き揚げた。
この姿勢の根本には、「南米諸国が協力し合えば、生きていける」という考えがある。
ベネズエラは、国家予算が明らかではなく、透明度は世界で172位である。
それでも成り立つのは、輸出収入の95%を占める石油のおかげだ。
国が発展するには、貧困層が中間層に成長する必要がある。
これを実現したのが、ブラジルだ。