プーチン政権の有力派閥③
オーゼロ・グループ

(『プーチン 人間的考察』木村汎著から抜粋)

ウラジーミル・プーチンの人脈には、ペテルブルク市役所に勤務した5年間に築いた「オーゼロ・グループ」がある。

ペテルブルクの北東へ1時間半ほどドライブすると、カレリア地方のイストムスがある。

このイストムスにプーチンは、1996年に7人の仲間と共同で別荘を購入した。

彼ら8人の協同別荘組合は「オーゼロ(ロシア語で湖の意味)」と名付けられた。

その後、プーチンが大出世して大統領になると、残りの7人が引き立てられた。

つまり、ウラジーミル・ヤクーニンはロシア鉄道の社長に、アンドレイ・フルセンコは教育・科学相を経て大統領補佐官に、その弟のセルゲイ・フルセンコは国民メディア・グループの総裁となった。

ユーリイ・コヴァルチュークとニコライ・シャマロフは銀行「ロシア」を創設し、同行は急成長をしてオリガルヒ(新興財閥の意)の一員となった。

オーゼロ・グループのメンバーは、プーチン大統領と自由に面会できるし、電話でも話せる。

ウラジーミル・ヤクーニンは、2005年以来「ロシア鉄道」の総裁を務めているが、ここは世界一の職員数(88万人)を擁する、ロシア最大の国営企業である。

ヤクーニンの長男アンドレイは、その家族と共にロンドンのマンション(時価720万ドル)で暮している。

次男のビクトルも、スイスのレマン湖畔にあるマンションで暮している。

オーゼロ・グループの2人が創設した銀行「ロシア」は、国営企業「ガスプロム」の子会社を破格の安値で次々と買収した。

つまり、2004年には「ソーガス」、06年には年金基金の「ガスフォンド」、07年には金融部門の「ガスプロム銀行」を買収した。

プーチン政権が2014年3月にクリミア半島を強引にロシアに併合した時、アメリカのオバマ政権が制裁措置として在米資金の凍結などをしたのが、銀行「ロシア」だった。

同行の幹部たちは、プーチンのお友達の代表格である。

なお同行の幹部だったセルゲイ・コレスニコフは、プーチン大統領用の豪華な宮殿の建設を告発している。

(2021年5月25日に作成)


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