(『中国の歴史を知るための60章』から抜粋)
中国共産党の上層部は、「上層部の賢人化」を基本政策としている。
「党指導部に賢人を登用して、賢人による統治を施すこと」を目指している。
この考え方は、孔子の教えにまで遡れる発想とも言える。
共産党は、首脳部の交代の制度化を、鄧小平時代から模索・整備してきた。
2002年に江沢民は、任期満了として党総書記を退任し、党のトップの終身制を廃止した。
その後の胡錦濤時代に、「首脳部の交代の制度化」は、ほぼ完成した。
その内容は、次の5点にまとめられる。
① 首脳部の任期は、2期10年とする
ただし66歳以上になると、2期目に再選されず引退する
② 安定性を確保するため、党総書記と首相は必ず60歳前後に
就任し、2期10年を務める
③ 地方省で党書記を経験した者のみを、首脳部に起用する
④ 党総書記と首相には、政治局常務委員を1期5年以上
務めた者を指名する
⑤ ②~④の条件があるゆえに、党総書記と首相の候補者には、
50歳前後から地方省の党書記を経験させ、55歳前後に
政治局常務委員に起用する
共産党は、このような制度化を通して、首脳部人事を「透明化・賢人化・安定化」しようとしている。
この制度では、40歳前後の党幹部から後継者を見つけて、20年かけて人格と能力を見極めつつ育てていく。
この制度のために、10~15年後の人事がどうなるかを、予見できる。
現在トップの習近平と李克強は、共に10年前からトップになる事が周知されていた。
2022年に新たにトップになる者は、胡春華と孫政才になる事が、2009年末に決定されて周知された。
○村本のコメント
このシステムについては、まだ日本ではあまり知られていません。
私も、この本で初めて知りました。
これが本当なら、ずいぶん大胆な政治システムを導入したものですね。
しかし、「中国ならばあり得るかな」と思います。