(以下は『毎日新聞2012年11月16日』の記事から抜粋)
党大会の初日に、引退したはずの保守派の長老たちが登場し、習近平らと並んで座った。
習政権の背後には、終身現役の長老集団がいる。
これでは改革は進まない。
習近平は、もともとは派閥色の薄い地方官僚であった。
しかし、太子党の一員として、江沢民派から支持された。
上海閥(上海グループ)は、江沢民が総書記だった時代に、上海から自分の部下を呼び寄せて形成したグループである。
上海出身や上海勤務経験者を軸に結びついている。
習近平は、上海市のトップを務めたことがあり、このグループに近いとされる。
今年の春先に、薄煕来のスキャンダルが発覚して、薄は政治局・常務委員の候補から落選した。
そのために、激しい権力抗争が起きた。
薄煕来を保守系長老や江沢民派がかばい、胡錦濤派は厳しい処分を求めた。
習近平は胡錦濤派につき、江沢民派との距離が一時開いた。
今回、胡錦濤が完全に引退する事で、江沢民派の影響力が決定的になった。
胡錦濤はかつて鄧小平が後継者に指名した人物で、江沢民は反鄧小平派が担いだ人物である。
今回の権力闘争は、「改革開放路線」の鄧小平系と、「保守派」の反鄧小平系の対立が根底にある。
鄧小平は、周辺国との紛争を避けて、国内の経済建設に全力を挙げた。
江沢民は、愛国主義を鼓舞して、軍事力を増強した。
これからの中国は、高齢化が進み経済は減速する。
鄧の路線に立ち返るのが良い。