中国指導部・政治局常務委員

(毎日新聞2012年11月の記事から)

指導部の10年に1度の世代交代の場となった「第18回共産党大会」が終わり、習近平体制が発足した。

中国共産党の最高指導部を構成するのは、『政治局常務委員会』である。

同委員は今回、9人から7人に減った。

習近平とナンバー2の李克強・副首相を除く5人は、5年後に引退すると見られる高齢者たちである。

常務委員枠の削減については、「7人でも問題ないと判断された」「委員の特権への批判が強かった」が背景にあるという。

新たに委員に昇格したのは、習、李の両氏を除く5人である。

昇格が有力視されながら外れたのは、いずれも胡錦濤に近い、李源潮、汪洋広、女性の劉延東の3人。

胡錦濤は、長老の江沢民に委員選びを譲り、軍幹部に自らに近い人物を抜擢する事を選んだらしい。
抜擢した人物を5年後に委員に昇格させる布石を打つことで、江と折り合いをつけたらしい。

新常務委員のうち、共青団(共産党主義青年団)の出身は、李克強だけである。

(胡錦濤は共青団の出身です)

李克強と王岐山を除いた5人(習近平を含む)は、江沢民寄りとされる。
特にユ正声と張高麗は、江沢民の後押しで昇格したと見られる。

今年の夏に、党幹部が集まって開かれた、「北戴河会議」。

ここで胡錦濤は、自らに近い李源潮らの委員入りを求めた。
だが江に拒否された。

錦濤は、人事で敗北したと見られている。

鄧小平の時から、最高実力者は総書記を譲っても、中央軍事委員会主席に留まる慣例が続いてきた。
しかし錦濤は、軍事委主席も辞めて完全に引退する。

錦濤は軍との関係が薄く、権力構造が二重になるのを望まなかったという。

「江氏は胡氏のやり方が気に入らずに介入をし、胡氏にはそれをはね返す力が無かった」と、党の研究者は言う。

新体制では、習近平が軍を統括する「中央軍事委員会主席」に就任し、劉雲山は党の日常業務を担当する「党中央書記処の筆頭書記」、張徳江が「全人代(国会)の委員長」になると見られる。

ユ正声は国政助言機関である「政治協商会議」の主席、張高麗は筆頭副主席になると見られる。

中国の政治家を説明する時には、高級幹部の息子を指す「太子党」と、共産党の青年組織「共青団」で色分けをする事が多い。

しかし、太子党でありながら共青団に所属する人物も多く、区別は難しい。


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