(以下は『中国の歴史を知るための60章』から抜粋)
江沢民ら政府首脳部は、様々な利益団体の牽制を抑え込み、2001年12月にWTOへの加盟を実現させた。
アメリカを始めとする諸国への妥協を重ねた末のものだったが、WTO加盟は中国の市場経済をグローバル化させ、改革と開放が急速に進んだ。
アメリカン・スタンダードで作られたWTOシステムは、大国に有利なものであり、中国は多くの恩恵を受けることになった。
加盟により、平均10%の年間成長を続けていった。
2008年には北京オリンピック、2010年には上海万博があった事も寄与して、経済発展と国際的な地位の向上に成功した。
2010年には、アメリカに次ぐ世界第2位のGDPとなった。
(以下は『毎日新聞 2013年2月6日』から抜粋)
中国大使館員を勤めた津上俊哉が、『中国台頭の終焉』という本を出版した。
津上はこの本の中で、「中国の経済規模がアメリカを抜くことはない」と論じている。
根拠の1つは人口動態で、中国の出生率は1.18であることが明らかになった。
中国の生産年齢人口(15~64歳)は、来年から減少に転じる。
これが成長引き下げの圧力となる。
津上は中国の潜在成長率は5%台に低下していると見ており、アメリカが2%の成長を続ければアメリカを追い抜けないと説く。