(『誰にでもわかる中東』小山茂樹著から)
イランは、決して単一民族の国ではない。
言語的にも、人種的にも、宗教的にも、異なる民族の集合体である。
宗教的に見れば、90%はシーア派ムスリムである。
言語的には、主流はペルシア語(ペルシア人)だが、50~60%に過ぎない。
トルコ語系が25%を占め、この中ではアゼリー語(アゼルバイジャン人)が85%を占めている。
彼らはシーア派のため、分離主義にはなっていない。
トルコ語系で2番目に多いのはカシュガイ人で、南部で主として遊牧に従事していて、シーア派である。
北東部には、トルクメンがいる。
彼らはスンナ派で、2000年時点で120万人である。
イラン西部の山岳地帯には、クルド語を話すクルド人がいる。
全人口の7%、430万人(2000年時点)と推定されている。
クルド人は、宗教的には主としてスンナ派である。
イラン南西部のフーゼスタン地域には、アラブ人が186万人いる。
こちらはほとんどがシーア派である。
パキスタンとの国境地域には、スンナ派のバルーチ人(120万人ほど)がいる。
(2014年8月23日に作成)