タイトルイギリスのEU離脱が決定(2016年6月)

(以下は『東京新聞 2016年6月25日』から抜粋)

EUからの離脱を問うイギリス(英国)の国民投票が、6月23日に行われた。

離脱支持が51.89%となり、離脱が決定した。

これを受け、残留を訴えてきたキャメロン首相は辞意を表明した。

イギリスの通貨ポンドと株価は急落し、世界に波紋を広げている。

投票では、離脱派は、地方に住む人、高齢者、労働者が中心だった。
残留派は、都市部に住む人と、若者、高学歴者が中心だった。

EUが1993年に発足して以来、加盟国が脱退するのは初めてだ。

英政府は2年かけて脱退の交渉を進めていく見通し。

今回の結果を受けて、離脱を求める運動が他国に飛び火する可能性がある。

ロンドン北部でもEU不信は広がっている。その声を取材した。

教員のローレンさん(40歳)

「離脱に投票した。移民が増えすぎて、福祉も医療も国民にサービスが届かない。

離脱の悲観的な影響ばかりを話すキャメロン首相には、本当に失望した。」

バーで働くデーブ・マーティンさん (45歳)

「職もカネもない。本当は大工の仕事をしたいが、移民がすべて奪っていく。」

残留派は「離脱すれば経済に打撃がある」と言い、アメリカのオバマ大統領は「離脱すれば列の後ろに並ぶことになる」と脅していた。

ローレンさん

「オバマの発言にはうんざりした。なぜアメリカに口出しされなければいけないのか。」

EUは、各国の主権を制限し、出荷するイチゴの直径などまで規制の網を張り巡らせている。

残留派が多いロンドンを出れば、イングランドの大半は離脱派に占められる。

特に漁業が衰退したイングランド東部は、若者の失業率は3割を超えている。

EUに懐疑を抱く人々は、イギリスにとどまらない。

世論調査では、「EUを好ましくない」と思う市民は、ドイツで48%(イギリスと同等)、スペインでは49%、フランスでは61%にも上る。

社会の底辺にいる人々にとって、EUは官僚機構としか映らない。

イギリスはEU加盟国28ヵ国のうち、ドイツに次ぐ経済規模だ。

離脱するとその規模が低下する可能性がある。

中期的にはイギリスとEUの間で、関税が復活する。
そうなればイギリスを欧州各国への輸出拠点としている日本企業は競争で不利になる。

EUの中でイギリスは最もロシアに批判的だったため、「イギリスのEU離脱の勝者はプーチンだ」という声が出ている。

イギリスはロシア制裁で主導的な役割を果たしてきただけに、ロシア包囲網は弱体化する。
プーチンは包囲網の切り崩しを進めるとみられる。

一方でアメリカは、イギリスとの同盟を足掛かりに欧州で影響力を行使してきたから、「欧州での影響力が損われる」と予測される。

残留派が多数を占めるスコットランドでは、スタージョン行政府首相が「イギリスからの独立を再び住民投票で問う」と表明した。

スコットランドでは残留票が62%を占め、スタージョン氏は「私たちはEUを離脱したくない」と述べた。

なお北アイルランドでも残留票が56%だった。


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