タイトル学生の練習について

(以下は『東京新聞 2018年10月5日』から抜粋)

中学・高校の運動部は、長すぎる練習時間が以前から問題視されている。

成長期の体に過度な負荷となり、けがのリスクも高まるからだ。

そのためスポーツ庁は2018年3月に、「部活動は平日は2時間、休日は3時間程度」と上限を示した。

イタリアの少年サッカー事情に詳しく、著作もある宮崎隆司さんに、日伊の違いを聞いた。

🔵宮崎隆司の話

イタリアには学校単位の「部活」は無く、サッカーは「街クラブ」と呼ばれる地域のチームで行う。
これは6~19歳までが参加でき、チームは1歳刻みで構成されている。

休養日は週3日を確保し、1日の練習時間も2時間に満たない。
練習前には前回の疲れや、痛む部分の有無などをチェックする。

プロチームの下部組織も、10代のうちは週2~3日の休養日がある。
成長期の過度な練習はけがのリスクを高め、健全な発達を阻害するからだ。

イタリアのサッカー少年は、長時間練習で疲弊していない分、練習に集中し、頭を使って取り組めている。

日本の部活ではおなじみの走り込みも、イタリアでは見られない。

試合で必要なのは、考えながら走ることで、一定の速度で走る力は試合では全く役に立たない。

練習だけで体に相当な負荷がかかっているため、筋トレも控えている。

🔵松田貴雄(日本スポーツ協会の認定ドクター)の話

日本では、中高生の段階で大怪我をし、競技の続行を断念する子が多い。

練習のしすぎによる疲労骨折や、膝前十字靱帯断裂などが典型例だ。

スポーツ庁は中学生への指導に対し、「疲労骨折のリスクが高まるため、週16時間以上の練習は控えてほしい」と指針を出している。

体の同じ部位だけ長時間使うのを懸念し、カナダのように中学生に複数競技を行うよう義務付ける国もある。

単一競技を長時間やり続けることが、最も怪我のリスクを高める。

怪我なく競技を続けるには、長時間の練習をやめ、休養日を週2日は設ける必要がある。

(以上は2025年11月18日に作成)


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