(『世界の紛争イスラム・アメリカ対立の構図』から抜粋)
ムスリム同胞団は、1928年にエジプトで、アル・バンナーによって創設された、スンニ派のイスラム原理主義の組織である。
彼らは、「コーランに基づくイスラム教国家の建設」を掲げた。
ムスリム同胞団は、都市の大衆や学生の間に勢力を築き、政治運動や社会運動(モスク、学校、病院の建設・運営など)を行った。
労働運動や出版活動も行った。
一方で、秘密の軍事組織も作った。
当時イギリスは、エジプトに非常な干渉をしており、人々はイギリスの支配下にあるエジプト王制に、反対するようになっていった。
アル・バンナーは、秘密警察によって1948年に暗殺された。
アル・フダビーが跡を継ぎ、パレスチナで反英闘争を展開した。
アル・フダビーは、後にエジプト王制を倒すナセルやサダト達に、強い影響を与えた。
1952年7月に、ナセルやサダトら「自由将校団」は、エジプト王制の打倒のクーデターに成功して、政権をとった。
ナセルは大統領になったが、次第に世俗主義を鮮明にして、ムスリム同胞団とは乖離していった。
ナセルへの暗殺未遂事件が起きると、ナセルはムスリム同胞団を非難し、弾圧を始めた。
その後、エジプトやシリアでは「アラブ民族主義」と「社会主義」が台頭し、ムスリム同胞団は支持されなくなった。