ハディースとは

(『イスラム世界のこれが常識』から抜粋)

ハディース(伝承)は、「ムハンマドの言行を集大成したもの」である。

ムハンマドの言行は、長らく口伝で流布していた。
8世紀半ば~10世紀にかけて、学者たちによって編纂が始まった。

イスマーイール・アル・ブハーリー(810~870年)は、20万ものハディースを集めて、2762だけを本物として認定し、それを編纂した。

このブハーリーのヴァージョンが、権威として認められている。

ハディースは、本文(マトン)と、伝承がどのような過程をたどったかを記録したイスナード(経路)で、構成されている。

10世紀には、経路が本物かを調査する「ハディース批判学」も生まれた。
この結果、経路に登場する人物たちの伝記も作られた。

批判学を通して、本物とされるハディースが選ばれていった。

ハディースは、ブハーリーのヴァージョンを含めて、6書が尊重されたという。

ムハンマドが実践した事は、「スンナ(範例・慣行)」と言われ、スンナの定義はハディースの研究によって行われる。

ハディースのほとんどは偽作である、とする人もいるが、スンニ派(スンナ派)にとっての重要な文献となっている。

スンニ派は、「スンナ(スンニ)に従う人々」の意味である。

スンニ派にとってはハディースがスンニだが、シーア派ではイマームの言行の伝承をハディースとする。


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