(『イスラム世界のこれが常識』から抜粋)
アラビア語でシャリーアは、「水場に至る道」を意味する。
これは、「正しき道」「行くべき大道」という事である。
シャリーアは、神への帰依の道をたどるための、世俗的な規範である。
シャリーアは大きく分けると、信仰・儀式などの宗教面での規範と、日常生活の規範に大別される。
イスラム教徒は、シャリーアの順守は当然とされる。
ただし、19世紀以降は西洋の法律が導入されて、シャリーアのすべてが適用されることはなくなった。
それでも、信仰と道徳については、現在も効力を有している。
サウジアラビアとイランでは、シャリーアが大幅に導入されている。
シャリーアでは、犯罪への刑罰は絶対的で、人間が勝手に減刑してはならない事になっている。
そして、「目には目を、歯には歯を」の報復を、権利として認めている。
しかし実際には、賠償金の支払いという刑で決着が行われている。
○村本のコメント
このシャリーアが、イスラム社会をいつまでも前時代的にしている元凶だと、私は思います。
シャリーアは権威として定着していますが、これはアッラーの教え(コーラン)と直接的な関係がなくて、ムハンマドが他界してずっと経ってから「宗教指導者や権力者が定めた(解釈した)法」なのです。
シャリーアは、元々がコーランとハディースを解釈して作ったものなのですから、時代に合わせてどんどん変えていけばいい(解釈し直せばいい)のです。
それを勘違いして、昔のシャリーアを維持し続けるから、社会が機能しなくなる(社会が混乱し、しょっちゅう紛争が起きる)のだと思います。