(以下は『毎日新聞 2013年3月15日』から抜粋)
キリスト教カトリック派に、初めて中南米出身の法王(※組織のトップ)が誕生する。
新法王は、フランシスコ1世(76歳)。本名はホルヘ・マリオ・ベルゴリオだ。
彼はコンクラーベ(選挙)で1位になった。
1272年ぶりに欧州以外の地域から法王が選ばれた。
彼は2005年の前回コンクラーベでは、2位だった。
今回のコンクラーベでは、改革派と法王庁派の対立があった。
ベルゴリオは改革派寄りである。
ベルゴリオが名前を頂いた聖フランシスコは、富裕な家に生まれながら貧者や病者の中に身を投じ、托鉢僧として弱者救済に尽くした人。
ローマ教会(※カトリックの総本山)を訪ねた時、最初はそのみすぼらしい姿に門前払いをされたという。
フランシスコ1世の法名を選んだのは、「バチカンを変えようという決意の表れ」と受けとられている。
ベルゴリオは、アルゼンチンのブエノスアイレス出身。両親はイタリアからの移民だ。
布教と清貧を旨とするイエスズ会に21歳で入会。
枢機卿になった後も小さなアパート暮らしを続け、食事も自炊するなど質素な態度だった。華美な衣装を嫌う。
ベルゴリオの選出は、「もう欧州には任せておけない」との声が多数派になった事を意味する。
中南米のカトリック派の信者数は、全世界の信者数の4割に当たる4.8億人だ。
アルゼンチンは9割以上、メキシコは8割、ブラジルは7割がカトリック信者とされる。
熱心な信者は収入の1~2割を教会に献金し、教会は国政も支配してきた。
現在、中南米でもカトリック離れが進み、「キリストは信じるが、教会は信じない」という人も多い。
(以下は『毎日新聞 2013年3月30日』から抜粋)
先日に新しい法王フランシスコに就いたホルヘ・ベルゴリオは、「洗足式」を行い、少年院で12人の足を洗った。
出席者には、少女やイスラム教徒も含まれていた。
洗足式は教会で行われるのが通例で、少年院では初めてだった。
儀式では、法王は1人1人の前でひざまずき、水で清めた足に口づけをした。
そして「足を洗う行為は、『あなたのために奉仕しています』という事であり、お互いに助け合わなければならないという意味なのだ」と述べた。
(以下は『毎日新聞 2013年4月4日』から抜粋)
法王フランシスコは、就任以来、法王を名乗らず、一貫して「ローマ司教」という呼称を使っている。
法王の豪華な居室に引っ越さず、離れの別棟で暮らしている。
4月3日の一般謁見では、「女性の役割」を強調した。
このような態度には、「大衆迎合は時間の無駄」との声も出ている。