(『ニュートン 2014年7月号』から抜粋)
火星では、水が流れて出来たと思われる地形や、水の底で出来たと考えられる岩石が見つかっている。
この事実から、『火星に大量の水があったこと』は確実視されるようになった。
海と呼べるほどの大量の水が存在したのは、40~35億年前までと考えられている。
水による地形変化が、おおむねこの年代以降には作られていないためである。
黒川宏之らは、火星から地球に飛んできた隕石を解析した。
水素と重水素の比率を調べたのである。
その結果、火星が誕生した45億年前からの4億年の間に、表面の水の50%以上が失われた事が分かった。
残りの水は、現在も氷として地下に存在する可能性がある。
火星の水は、地下に染み込んで、氷の状態で存在している可能性がある。
NASAの探査機「マーズ・オデッセイ」が行った観測により、地下に大量の水素が存在するらしいと判明した。
地下水は、少量は地表に流れ出している。
というのも、クレーターの斜面に水の流れた跡がいくつも発見されているからだ。
これは夏に観測される事が多く、夏に地表が温められると地下の氷が溶け出すらしい。
火星の北極には、『極冠』がある。
極冠とは、高緯度の地域にできる氷に覆われた領域のことで、火星の場合、直径1100kmで厚さは2kmにもなる。
表面は二酸化炭素の氷(ドライアイス)だが、内部は氷状の水である。
(2014年10月23日に作成)